ENCOUNTER
初めて“吹奏楽”というものを生で聴いた私の感動は、半端なもんじゃなかった。
あれは小学校六年生、木枯らしの吹く11月頃のこと。
今でもはっきりと覚えている。高校生の演奏だった。曲目は、「南風のマーチ」。以前コンクールの課題曲になったこともある、有名なマーチらしかった。
トランペットの華やかな音が会場の空気を揺らし、コントラバスの温かみのある音が会場を包んだ。
それに合わせて会場に響く、乾いた手拍子の音。お客さん達の感嘆の声。
でも、中でも私が目を奪われたのは、舞台の最前列で銀色に輝くフルートだった。
一瞬だけあった、フルートのソロ。ふわっと、やわらかな高音が会場全体に響いた。
その瞬間だけ手拍子が止み、明らかに雰囲気が変わった。
そのあとを、クラリネットが優しい音で引き取っていった。
でも、そのクラリネットの音、いや、そのあとの曲は正直言ってほとんど聴いていなかった。ずっとぼんやりしていた。
なんで吹奏楽をしたいと思ったか、聞かれたらこう答えることになると思う。
「一目惚れ」。
だって、それ以外に答える理由がない。
実際、あの数分で私は吹奏楽に、フルートに魅せられてしまった。
多分、聴いている私の目も、楽器や、高校生たちと同じくらいに輝いていただろう。
いつかあんな舞台に立ってみたい。
いつかあんな風に吹いてみたい。
きっと、それがはじまりだったんだと思う。
<吹部あるある あるある度★★☆最初の一歩は希望で一杯だった>
私が吹奏楽やろうと思ったきっかけは、こんなもんじゃなかった。
なんか聞いたらすごいなーって思ったから。あとはずっとぼんやりしていた。
きっと、それがはじまりだった(ぇ
※流石に冗談です察してください