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百遍百万遍

ミロク-369-

作者: 天本有泉

 私はミロクといいます。

「この人間界という地獄よりもひどい世界を変えて来い。」と。

兜率天(とそつてん)というところから、派遣されてきたけれど、この世界の人間達はあまりにも愚かで、少々食傷気味です。

 たとえば船に穴が開いていて沈没しかかっているのに、狭い船のなかで、「おれは船のこの部屋がいいんだ、ここに座らせろ」などとどうでもよいことで争い、日がな一日を人間たちは過ごしています。

 早く船底を塞ぐか逃げるかしたほうがいいのに。「船底を塞ぐと服が濡れるだの、誰がやるのか、」争いネタが尽きることはなく、まあ、これが地獄よりもひどい人間界なわけです。

 昔、人間界に派遣されてきたときは、こんなにひどかったのでしょうか? まだ、神や仏を信じていたのでしょう。もう少しましな気がします。

 が、末法から無仏の時代といわれる現代です。だから、派遣されてしまったわけですから。

 では、一体なにをすればいいのでしょうか?

 とりあえず現代社会について学びました。愚かな人間界ですが、仕組みを知らなくてはなりません。

 でも学びの世界にも嘘や欺瞞が満ちあふれ、なかなか真実が隠蔽されます。

 人間界の大部分のものたちには、わずかな仏のかけらがあるばかりで、善行も偽善やみえや欲得ずくで行われることが多いわけだ。

 日々うまいものを求めては食いあさり、見た目の美しさを競い、見栄を張りあい、いじめと小競り合いに明け暮れるわけです。仏の教えなんざあ、どこへやら。

 地獄よりひどい世界なんだから当たり前だといえばそのとおりなのですが、

ミロクである私は、そこを変えないといけません。でも脆弱な肉体しか与えられておりませんで、すぐに風邪を引いたり腰痛に悩まされたりしております。

 嫌気がさしているので、もう、お役目を御免になりたいわけですが、なかなか許してもらえず、今に至っているわけです。

 毎日毎日、天上へ戻れることを(こいねが)っているのですが、なかなか願いは聞き届けられずです。

 じゃあ、なにができるかって?

 この世の人間たちを抹殺してしまおうか?そうすれば、きっと住みよい世の中になることでしょう。

 でも、慈悲を人間たちに与えなくてはならないので、それもできないですね。

 で、中途半端な自分としては、日がな一日、暇つぶしをしているわけですね。

 腐敗した寺社に仏はいないし、出家しても意味がないし。

 あんまりえげつないことをして、金儲けをするのはいやなので、餓えない程度に金を稼ぎ、この世に漂っています。

 いままでは、人類救済だとかいろいろと考えていたわけですが、そんな意味のないことはやめて、

芸術を楽しんだり、美しいものでも見て、さしあたって富士山でも見学しようかと思い立ったわけです。

挿絵(By みてみん)         挿絵(By みてみん) 

ある日、富士山に登り、ご来光を浴びていると、富士の神なのでしょうか?私をこの世界につかわされた方からなのでしょうか?「仲間を集めよ」との声をいただきました。私と同じミロクの使命を帯びた者たちが一定数いるはずなので、仲間を集めよとの指令を受けました。

 仲間が集まれば、もう少しましなことができるだろうと。ただ単に、隠れて、餓えない程度に金を稼ぎ、この世に、浮遊霊のごとく漂っているだけでなく、、、

ほかミロクたちはいったいなにをしているのでしょうかね?たぶん、私ひとりではないと、信じたいのですがね。ほんとうにいるのでしょうか?

 もし、私と同じ使命を持って、この世に派遣されてしまった方がいたら、ミロク倶楽部でもつくり、人類救済計画でも考えませんか?

 

仲間を集めたいというのは、私の内なる声ですね。

じゃあ、人類救済計画って、どうするの?

ノアをまねて方舟でもつくろうか?

なんてね。

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― 新着の感想 ―
[一言]  私自身、考えさせられるものがあった物語でした。深い思考がベースにあってこそ書けた作品だと思います。すばらしい。
2012/10/04 23:43 退会済み
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