鈍感になってほしいな。
私は好きな人がいます。その人は小説とか漫画とかによくいる主人公ではなく、ハッキリ言えば察しが良すぎます。
性格は漫画や小説によくある無駄にカッコいいことをして、周りの人にもてる感じの人です。
そんなわけで、実をいうとその人はハーレムの日常を送ってます。私はそれだけには入りたくないと思い、頑張ってはいるんですが大変です。つうことで、今は諦めて傍観者になってます。
例えば、前にバレンタインデーで他の男子と同じ包みで同じ中身をその人に渡してみたんですが、その人の一声は「渡すとき顔が赤くなってたぞ、俺のこと好きなんじゃないのか?」です。私はビンタをしてやりましたとも。みんなの目の前でよくそんなことが言えるもんだ。ってね。
そんな人と私は幼馴染みの関係です。まぁ、ただ家が隣だっただけのことで幼稚園、小学校、中学校、高校、大学と来てしまったわけですよ。腐れ縁というやつですかね。
私の容姿は何処にでもある感じなんでモテることとか無いんですが、ちょっとイラつくんですよね、幼馴染みがモテるのを見てると。あっ、決して嫉妬とかではありませんよ。皆のものですし、皆が幸せですしね。
つうことで、今隣には個性豊かな彼女さんがいるわけですよ。あ、もちろん私の幼馴染みもいますよ。女がたかって見えないが。
私の近くから説明しますと、おしとやかだがアタックを繰り返す美紀ちゃん。一番応援してます。ツンデレであまり話さないがバレバレである斉藤さん。五割の力で応援してます。次は運動も勉強も完璧にできる美咲先輩。一割の力で応援してます。えーと、次はヤンデレの東条さん怖いです。一割の力で応援してます。とまぁ、割愛していきますけど元気っ子の栗栖ちゃん。ロリっ子の直美ちゃん。金持ちの三菱さん。天然で帰国子女のミントちゃん。あと、男の娘の蓮ちゃん。そして、一番端にいるのがたぶん私の幼馴染み。
もう、目まぐるしいです。私だけが中立の立場にいるので、皆から相談をよく受けます。もう、疲れましたよ。
「キスでもしましょうか?」
金持ちの三菱さんだ。
「止めてくれ、ファーストキスは誰にもやらん」
「なんでですか?私とも嫌なんですか?なんでですか?私達は結婚するをすることを約束してマイホームまで決めてるのに…教えてください!」
声をあらげるのが早すぎですよヤンデレの東条さん。あと、かってな妄想は止めましょう。
「そんなに、声をださへんでも聞こえてるわ。だよね、ダーリン」
元気っ子の栗栖ちゃんが抱きつきながら言った。
「真さんに迷惑だと思いますよ」
美紀ちゃん!絶対君だけが正常の人だと思うよ。あと、私の幼馴染みの名前も言ったね。
「ありがとな。美紀」
「あ、はい」
もう付き合った方がいいよ。お似合いだよ。
「なんで、美紀にだけ微笑んでるの!?わ、私は…嫌いなの!?」
おぉ、リアルにここまでツンデレと分かる人はいませんよ。斉藤さん。
「はぁ~貴方たち、少しは静かにしなさい。迷惑ですよ」
いや、ここにもまだ正常な人がいた。運動も勉強も完璧にできる美咲先輩。
「私と二人っきりで夜を過ごしましょう」
前言撤回、やっぱ美咲先輩はどこか抜けてる。
「今日、リップ変えてみたんだけど、僕の唇どう?」
男の娘の蓮ちゃん。なにげにキスを待ってるといった感じだな。
「お、おう、かわいいと思うぞ」
「犬だ…恐い……」
そういいながらロリっ子の直美ちゃんが私の幼馴染みの袖を掴んだ。なんだかんだでかわいいんだよな~直美ちゃん。
「安心しろ、俺が守ってやるから」
くぁー、なんて臭いことを言うんだ私の幼馴染み!
「キャッ!…すみません。尻尾踏んじゃいました」
天然で帰国子女のミントちゃん、なんてことをしたんだ。
「あぶねぇ、早く逃げるぞ!」
私の幼馴染みがそう言うと、半分は真面目に叫びながら、半分は楽しんでるかのように叫ぶ。私の幼馴染みは皆を守りつつ、犬をやり過ごした。まぁ、モブキャラの私はおいてけぼりなんだけどね。私は走って皆に追い付く。
「俺の家はここだからじゃあな」
とまぁ、私の幼馴染みが言うんですが、見んな帰るはずもなく、私の幼馴染みは一時間かけて、皆を帰らした。
「毎日毎日大変だね」
たぶん今日初めて幼馴染みに話した。
「そうだな…」
しばらく沈黙が続いちゃってるんですけど、ここは主人公らしく、場を盛り上げてよ。
主人公補正沢山の真。くそぉ、これじゃあ家に入れないじゃないか。ここで待ってるなんて足が疲れたよ、家に早く入って体を伸ばしつつ、テレビでもみたいよ。
「あのさ…」
おうおう、なんでこんなときになって手を握って来るんだよ。
「くそっ…」
幼馴染みにむかってくそとはなんだ。
「いい加減気づけよ」
手を引っ張られて幼馴染みの顔が急に近くなった。
キスをしてしまった。
「な、な、な、なんで」
「これで、気づかないのは無しだからな、この鈍感野郎」
私の幼馴染みは顔を赤くして家に入ってしまった。
私は動けず、地面に膝をついてしまった。