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部活のマネージャーより

なはは、私はバスケ部のマネージャーやってるんですけどね、今私は恋をしてるんですよ。


バスケ部のマネージャーを始めたきっかけは、なんとなーく高校では帰宅部でもいいかな~なんて思ってたときにですね、君にマネージャーを頼まれたわけなんですよ。君とは学校では普通に話してたけど、こんなことになるとは思いもよらなかったわけですよ。


一生懸命にバスケをしてる君に惚れちゃったわけですよ。


君は中学生からバスケを始めて、周りの小学生から始めてる人には負けているけど、とっても楽しそうにバスケをして、笑って、真剣なところに心がひかれちゃったんですよ。


そして、今日も影ながらに君のことを見つつ、応援しているんですよ。


バスケの部員は三年生が三人、二年生が四人、そして君がいる一年生が七人なわけで、一年生も体育館で練習してるんですよ。


そんなこんなでバスケ部のマネージャーをしてるんですが、君が好きだと分かったのはつい最近のことで、そう…一昨日ぐらいかな?


一昨日から結構アピールはしてるつもりなんだけど、気づいてくれないんだよね。まぁ、すぐに気がつかないもんだと分かってるんですけどね。


そして、今日はどんなアピールをしようか考えてるんだよな~。


なんか起きないかな~、例えば君と二人きりになれるような事件、というか出来事。


私は君のことをじっ、と十秒間見つめる。


「なはは、なにも起きないか」


私は君から目を離すと、君の叫び声があがった。すぐに私は君のことを見ると、たぶんリバウンドをして、落ちてきてるときに他の人の足を踏んで挫いてしまったように見える。


私はすぐに君の近くにいって、君の肩を持つ。


「私が保健室に連れていきます」


私は痛がる君を見るのが嫌で、すぐにこんなことを言ってしまったと思うんだ。


周りの部員も了解して、私と君で保健室にいくことになったんだ。


確かに二人きりになれたけど、こんなことになるなら二人きりにならなくてもいいのに~。神様を恨んでやる~。


「悪いな」

「大丈夫だよ、マネージャーの仕事だもん」


でも、やっぱり嬉しいな。


「足をくじいたんだよね?」

「たぶんな…」


弱々しく君が言う。でも、やっぱり嫌だな。


それから、なにも話せずに保健室についちゃったんですよ。私は君のそばにいたかったんだけど、君に体育館に戻れって言われたので、戻ってきちゃいました。


部員にはまだわからないと言っておいた。


君がきたのは、三十分後だった。くじいたと思われる右足には包帯でぎっちり固定されていた。


君は練習の邪魔にならないように、足を引きずりながら脇を通って私のところに来る。


「一週間は止めとけだって」


君が悲しそうに私に言った後、顧問の先生にも言った。


そして、私の隣に座って大きな声で声を出し始めた。いつも見てきたから分かるけど、なんか君は泣き出しそうに見えた。



∇▲∇▲∇



あいにく、私は自転車通学だから君と一緒には帰られないんだな。


悔しい思いをしながら、自転車に乗ってこぎ始める。


前方に君が足を引きずりながら歩いていた。私は自転車から降りて、君のとなりを歩いた。


「本当に大丈夫?」

「大丈夫だ、問題ない」

「ぷぷぷ、あれでしょ、あの~イーノッ○だったかな」

「そうそう、よく分かったな」


そのあと私はなにもできずに、ただ君と話をしていた。


う~、もっと話していたいな~。


私の前にはバス乗り場がある。あそこでお別れになってしまうぅ。


「ねぇねぇ、ご飯食べていかない?」


ここら辺にはファーストフード店が結構あるのだ。しかも、部活が終わるのは夜に近くて、部員は食べて帰ったりすることがよくあるのだ。


「それは、お誘いかな?」


君が少しだけ笑いながらいってくる。


「ち、違うの、ただお腹減ったから、どうかな~って思っただけ」


なんで、焦って行っちゃったのかな~。変に思われちゃうかもしれないじゃん。


「ん~、分かった分かった。そんなに行きたいなら行こうか?…ん?」


君が私を少しだけ馬鹿にしながら、頭を撫でながら言ってきた。


「ありがとよ」


私は軽く君の腹にパンチを入れながら言った。


私達は一番近くにあったファーストフード店に入っていった。私は飲み物にハンバーガーを一つ、君は飲み物にハンバーガーを二つとサイドメニューのチキンを二つ買った。


二人で空いてる席に座り、ハンバーガーを食べ始める。


「おいおい、そんな少なくて大丈夫か?」

「大丈夫だよ~、女子力をつかえば少なくても腹一杯になるのだ!」

「つまり、我慢ってわけか」

「ん~、まぁそんな感じかな。ダイエットだよダイエット」

「マネージャーが倒れたらどおすんだよ」


そう言って、君は私にチキンを一つくれた。心配してくれてるって思ってもいいよね?


「ありがと」

「ん、まぁ、これをきっかけにどんどん太ってくかもな」

「絶対に太らないもん!」


そう言いながら、私は君がくれたチキンを食べた。


「そういやさ、マネージャー大変か?俺が巻き込んじゃったわけだしよ」

「全然大丈夫だよ」

「もう一人マネージャーになってくれそうな人がいるんだよ」

「絶対いらない」


もしかしたら、って思っちゃうから。


「ふーん、まぁ考えとく」


君が言った。私の思いよ届いてくれ~。


そのあとは何気ない話をした後、家に帰った。



∇▲∇▲∇



「あぁ、疲れた」


私はベッドにジャージのままダイブをする。


少し寝たあと、お風呂にはいって、歯磨きをして、寝た。



∇▲∇▲∇



「これからお世話になります。先輩たちの力になれるように頑張っていきたいです」


な、なんで…マネージャーが増えてるのー!?


私は君を見たら、君は笑顔で手を振った。


うぅ、一週間は二人きりで隣どおしになれたと思ったのに。君は足をくじいて一週間は止めとけと言われているので、私の隣で一緒に声だしをするつもりだったのに。


それからまもなくして、練習が始まった。



∇▲∇▲∇



部活が終了して、みんなが帰っていく、私も帰ろうと体育館をでて、更衣室に入り少し汗で体にまとわりついてる下着を脱ぎ始める。


「あの~、すみません」


さっきの女の子が私に話しかけてきた。前までは私一人の更衣室だったのに。


「たぶんなんですが…好きですよね?」

「なにが?」


少し不機嫌に私は返答をした。


「あの~、怪我をしてた男の人」


ビクッと体をはねらせながら、ゆっくり女の子を見ると、「やっぱり」と言った。


「な、なんでかな?」

「見てれば誰だって気づきますよ」

「も、ももしかして、部員の人達は?」

「みんな知ってますよ。ついでに言いますが顧問の先生もです。あ、でも男の人は気づいてませんよ。鈍感と言った感じですかね」


も、もしかして「私達はライバルですね」とか言ったりしないよね?


「応援したいです!」


女の子は私の両手を握りながら言った。


「いや…でも…」

「わたしに任せてください」


そう言いながら、女の子は着替え始めた。


悪い予感しかしないよ~。



∇▲∇▲∇



「ということで、裏庭に呼んでおきました」

「ど、どういうことで?というか誰を呼んだのかな?」

「決まってるじゃないですか、あなたの好きな人ですよ」


やっぱりね~、わかってたけど聞かないと信じられないんですよ。


「む、無理、帰る」

「一人にさせちゃうんですか?」


半分脅しながら言ってくる。


「ぷ~、分かった、いけばいいんでしょ」

「頑張ってください!」


裏庭にはやはり、君がいた。もう後戻りはできないのだ。いけ!私!


「おーい」

「ん?どうした?もしかしてお前が呼んだのか?」


誰が呼んだのか分かってないのか。その呼び出した本人は後ろの角で見張っている。


「じ、実は、話があるんだ」

「い、いきなしなんだよ。これから告白するみてぇじゃねぇか」


するんだよ、告白。


「ふぅー、私は君のことが…」


次が言い出せない。もしかしたら、マネージャーを辞めないといけなくなってしまうかもしれない。嫌だ…このままがいい。


「やっぱ、なんでもない」


私は俯いてしまう。


「おいおい、なんで泣いてんだよ」


そう言いながら、君は私の頭を撫でた。


私、いま泣いてるのか…悔しいから?このままの状態がつづくのが嬉しいから?どっちも違う。


なんで、なんで、なんで、君は気づいてくれないの?


「どうすればいいんだよ。なんで泣いてるのかわかんねぇし」


君のせいだ。もう、いい加減に気づいてよ。ここまで来るのにどれだけ勇気がいるのか気づいてよ。


「ねぇ…」

「ど、どうした?」

「君は私のことをどう思ってる?」


私は俯いたまま君に話しかけた。


しばらく沈黙がながれた。


数十秒たったあと、君が口を開いた。


「好きだ」

「………え?」

「………友達として」


ぬか喜びさせないでよ。もう、嫌だ。こんなところから逃げ出したい。


私はそのまま、後ろを向いて走り出す。涙で視界が歪む。


ドンッ


誰かにぶつかってしまう。尻餅をつきながらその人を見ると、部活の先輩だった。


「おいおい!ハッキリ言うんじゃなかったのか!?」


先輩は大きな声で言った。そういや先輩も私が君のことが好きだってわかるんだよね。


「せっかく、呼び出してあげたのによ。俊也!」


君の名前を大きな声でハッキリと言った。


「すみません!」


そう言いながら、君は私に駆け寄ってくる。意味がわかんないよ。


「前から、好きだった。友達としてではなく、一人の女性として好きだ」


え?分かんないよ、頭が追いついていかない。


「と、まぁこういうことですよ」


後ろから女の子が歩きながら言ってきた。


「両思いだったということです」


女の子の言葉と一緒に、バスケ部の部員全員が叫びながら、さっきまで女の子が隠れてたところから出てきた。



∇▲∇▲∇



次の日からは部活が大変だった。もう、いろいろと。でも、私はとっても嬉しいです。


君が隣にいてくれるから。

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