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僕は少女漫画の様な恋がしたい

僕はイケメンだ。しかし、モテない。何故だ?


僕の顔は友達に認められるほどカッコいいし、運動も勉強も完璧にできる。


小六から一人称を「我」から「僕」に変えた。その理由は「僕」のほうがモテそうだからだ。その他にも、ワイルドな男子を演じたり、落ち着いた男子やスポーツ一途の男子も演じてみた。


どれも不発に終わってしまう。


中二の初めに中二病にかかってしまった。意味もなく漫画にでてきたクサイ言葉を言ってしまう。しかし、二ヶ月で完治をさせた。他の男子より、大人なのだ。


なのに、なのに、なんで!僕はモテないんだ!


でも、僕には理想がある。小一から見てる少女漫画の様な恋がしたいのだ!なんだ、あの心臓がチクチクする感じ、締め付けられる感じがたまらないのだ!


しかし、昔から受けの姿勢だった。誰かが告白するだろうと思っていた。ということで、僕は受けの姿勢から攻めの姿勢になると決めた。


ふふふふふ、本気になると僕がどれだけモテるか皆にみせてやる!



∇▲∇▲∇



朝九時、日曜日。都会の中心。


まず、少女漫画によくあるものから始めよう。そう、襲われてる女性を助けるのだ。ベタだなと思われるかもしれないがそれがまたいいんだ!


「そこの、お嬢さん。一緒にお茶でもいかないか?」


僕は違う高校の部活に行く女子生徒に話しかけた。


髪を乱雑にして、ワイルドな男子になって僕は少女を路地裏に寄せていく。女子生徒は当然嫌がって逃げようとする。


「行かせねぇよ」


僕は少女の行き先に立ち塞がりながら、路地裏に連れ込む。


「早く行こうぜ~」

「い、嫌です」


逃げようとする少女の手を乱暴に掴む。


「その手を離せっ!」


路地裏の曲がり角から落ち着いた男子の声が聞こえさせるようにした。


何度もいろんなキャラを演じてきたこの僕にかかれば、声のトーンや大きさでいろんな状況にあわせた声がだせるのだ。


「なんだ?出てこい!」

「君が来てくれよ。もちろん逃げないよね」

「あたりまえだろ」


僕は一人で二人の声をだしながら、話を進めていく。


僕は話の通りに、 曲がり角をまがる。


「やってやる。ぐはっ!つ、強すぎる!」


そして、僕はやられたふりをしたあと、逃げ台詞を言いながら立ち去ったようにする。


次に、ワックスを使って髪を整えて、用意してあった服に速攻で着替える。清楚で落ち着いた男子になりきる。


「大丈夫だったかい?」


優しく微笑んで、少女に話しかける。


「あ、ありがとうございます」


少女は頭を深く下げながら言った。


「そんな、当たり前のことをしたまでだよ」

「本当にありがとうございます。すみません、急いでいて、今すぐにいかないといけないので…」


少女は本当に焦っているようだ。


こういうとき、普通なら少女は「あとでお礼がしたいです」とでも言って、メルアドをゲットできるのだが…まぁ、現実はうまくいくはずがない。今回からは攻めの姿勢になると決めたんだ。


「君って可愛いね」


いきなり、何をいってるんだ僕は!普通にナンパしてるだけだろ!さっきやった男とかわんねぇよ。


「あ、ありがとうございます」


よ、よし、さっき助けたことがプラスされていて、少女は少し照れながら言ってくれた。


「今度さ、お茶しない?」


だーかーらー、さっきの男と同じだよ!


「あ、はい…」


やばい、少女が微妙な顔になってきた。ここはメルアドをゲットすることが目的なんだ。


「ごめんね、急すぎるよね。時間があるときでいいから、連絡ちょうだい。だから、メルアド交換しない?」


だめだ!もうキャラが崩壊しかけてる!落ち着いた男子をしてるつもりなのに、ただの遊び人じゃないか!メルアドってなんだよ、もっと、普通にいけるだろ!


「い、いいですけど…」


ありがとう!こんなキャラが崩壊しかけてるのに優しくしてくれてありがとう!攻めの姿勢は初めてだからいろいろだめだ。


そのあと、少女とメルアドを交換して別れた。



∇▲∇▲∇



朝八時、自室。


ここは攻めておくべきだ。僕は携帯をつけて、少女にメールを送る。


内容は「今日は会えますか?」だ。あまり、長いと引かれてしまう可能性があるので、あえて短くしてるのだ。


返信の内容は誘いを受けてくれるそうだ。


「よしっ!」


僕はベッドに寝転がりながら読みかけの少女漫画を勢いよく閉じた。


待ち合わせは朝の九時に昨日会った、近くの喫茶店だ。


僕は落ち着いた男子が着てそうな服を着て、少しだけラフに着る。



∇▲∇▲∇



「ごめんね、待たせちゃった?」

「全然待ってないよ」


本当は三十分待った。この会話をするためだけに待ったのだ。


少女は普通に可愛かった。彼女にしたいと思った。


「よしっ、別れよう」

「……えぇっ!?なんで!?というか私達まだ付き合ってもないよ!」


あ、やばい、少女漫画の「別れ」を早くしすぎた。「別れ」があってこそ、恋は実るのだ。


「実はね、私、一目惚れしちゃったんだ」


おぉ!なんという!よくある展開!


「あなたって面白そうだし…付き合ってもいいかな?」


…。


「マジで別れよう。楽しいからを理由にしないでくれ。僕は恋のある恋愛がしたいんだ!」


僕は喫茶店をとびだした。


僕は彼女いない歴は年齢。


この世界には僕みたいなイケメンにあう、少女漫画によくでる少女はいないのだろうか?


答えは否だ!見つけてやる!この手で!

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