詳細:現実ホラー [二千文字小説]
前に書いた「現実ホラー」の詳細版。
あれは夕方だっただろうか?
それとも、おやつの時間だっただろうか?
残念ながら詳しい時間は覚えていないが、時刻は昼飯後から夜飯前だったということは正確に覚えている。
そして、これは作者が体験した実話であるということを先に言っておこうではないか。
それでは、詳細:現実ホラーのスタートである→→→
俺は母親にふと「買い物に行こう」言われ、スーパーに向かうことになった。
まぁ、所謂【親の荷物持ち】のようなものだ。
俺は買い物カゴを持って母親と一緒にスーパーの中に入り、いろんなものを買い始めた。
まずはトマト、次にジャガイモ・・・そんな感じでスーパーの中を進み続けた。
すると、魚介類コーナーのところらへんでだろうか?
俺の目の前には、身長140cmくらいの少し腰の曲がりかけた女性が背中を向けて立っていた。
そこで、俺はその女性の目線が気になったのである。
何故かというと、後姿からでもわかるくらい不自然に、近くにいた30代くらい女性を“ジッー”と見つめていたから。
まぁ、とにかく俺はそんな不自然な女性が気になって見つめていたのである。
そして、そんな女性を見つめていた俺は女性が振り返った瞬間!!
目が一瞬だけ、、、時間にするならば0.1秒間目が合ってしまったのである。
それが俺の運の尽きだった―――。
なんと、不自然な女性はさっきまで見つめていた女性から、ターゲットを俺に変えたのである。
それからというものの、ひたすら“ジッー”と見つめられる俺。
俺はここで、俺のことを見つめる女性の様子を横目で窺っていたわけだ。
それで、わかったこと。
それは、年齢は多分60以上。
髪は黒に白が混じった斑模様。
そして、手に持っているモノは何もない。
スーパーの中だというのに、カートもカゴも商品の一つも持っていない。
さらに、真っ黒なくまができている目はしっかりと座っている。
だが、逆に座りすぎで目力なんかじゃなく、なんだか怖いオーラを放っている。
もう、ラリッている感じに見えてきた。
だが、ここでいうラリッている感じとは、薬をやっているような奴の話ではなく、黒魔術系に侵されているような頭のおかしな人の感じ。
そして、そのオーラを文字にするなら、「呪い殺してやる」という感じである。
俺はそんなオーラを魚介類コーナーから肉コーナーまでずっと浴びせられた・・・。
まぁ、時間にして数分という長い間。
俺はその間、ずっと後を付けられていた。
女性は“ジッー”見つめながら、俺の2,3メートル後をピタリとくっ付いてきていたのである。
それは、もはやウザいなんてものではすまない。
ノロノロと歩く様、 鋭く刺すような目つき、
何処をとっても何かが、、、全てが、、、おかしい。。。
―俺は呪われたのだろうか?
そんなことを考えていた時である。
ふと、後ろの方から目線を感じなくなった。
俺自身、その瞬間もずっと見つめて入ればよかったのだが、残念ながら後ろにまで目はないのでな。
そんな器用な真似はできないわけなんだよ。
とにかく、俺が女の人に背中を向けている時に、女の人はターゲットを変えたらしい。
俺が気付いた時には、すでに違う人を見つめていた。
それは40代くらいの女性。
この人もまた、犠牲者になるのだろうか?
俺も、俺の前の30代くらいの女性も、その後の40代くらいの女性も、呪い殺されてしまうのだろうか?
そんなことを考えながら、買ったモノを袋に詰めていると、俺は入口のところで黒魔術の女性を見つけるのである。
まるで、ターゲットを探すような、不自然な目の動き。
相も変わらずな、ノロノロとした変な歩き方。
変というよりは、奇妙といった方が言葉はあっているかもしれない。
だが、とにかく女性は次のターゲットを探しているらしい。
そして、見つけたのである―――――。
また、後を付けて、探していた時より強烈なオーラを放つ。
これもまた、呪い・・・なのだろうか?
俺はそんなことを考えながら、スーパーを出ようとした。
だが、ここで俺はまた黒魔術の女性を発見してしまうのである。
俺が発見した時はちょうど、先ほどまで何も持っていなかった手に、買い物カゴを持ち、ゆっくりと店内を歩きはじめようとしていたところだった。
そして、黒魔術の女性は店内を順路に沿ってフラフラと歩きはじめるのである。
ここで重要なのは、ノロノロからフラフラへと変わったこと。
さっきまでの独特の歩き方は消え、今度は右へフラフラ、左へフラフラと歩くのである。
まぁ、それも独特といえば独特なのだが、千鳥足手前の酔っ払いならばできる芸当である。
だが、黒魔術の女性はカゴの中に何もいれようとはしない。
ただ、フラフラしているだけ―――。
いや、少し立ち止まった。
それからは、また独特の歩き方に戻る。
右手には買い物カゴ。 左手には何もない。
そして、真っ黒なくまのできた目で見つめるのは、新たな犠牲者。
俺はその光景を後に、スーパーから退散した―――。