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プロローグ

初投稿ダークファンタジーです!

悲痛な描写苦手な方はブラウザバック推奨です( ¯꒳¯ )♡

ーー僕は、物心ついた時から、魔女と呼ばれていた

 日の下を歩くことなく、ずっと地下牢の中。

 蝋燭の灯りのもと、司祭から与えられた数冊の本、それが僕の世界の全てだった。

時々換気口の鉄格子から差し込む暖かな日差しを手のひらにかざして外の世界に思いを馳せる。夜の空に輝くという星々、触ると無くなる雪、秋の訪れと共に散る紅葉、陽光と共に舞う桜、天まで青々と生い茂る夏の木々…

僕にはどれも本の中の、手にはできない代物。

想像することだけが許された、僕の生きがい。

 

 年を重ねるたび白くなっていく髪。

毛先は私がかつて桃色の髪だったことがわかる。

 まだ若いと言うのに、老人のような白い髪だ。

触ったもの全てを死に至らしめる 呪いの子。

 僕の周りに浮かぶ毒球に触れれば誰もみな死に至る。

首輪と、手足の錠には、逃げられないように、そして力を封印するため8芒星が刻まれた鎖が幾重にも繋がっている。

「おい、ノア、水浴びに行くぞ」

見張りをしている兵士から声が掛かる。

 満月と共に力を増し、新月になると力が弱まる魔女。

今日は新月。その時だけは人と変わらないのだという。しかし念には念を入れて月の光が絶対僕にかからないよう、森に司祭の霧の魔法がかけられている。そして森の奥の泉で水浴びをすることを許されている。護衛兼いざという時の処刑人が四人背後に控えている。僕が変なそぶりを見せれば心臓に杭を打つのはこの人たちという訳だ。


 …でも。今日はいつもと違った。


 いきなり僕は押し倒された。

幾重も厳重に拘束されている僕は盛大に身体を地面とぶつける。四肢を戒められている為、受け身の体制さえ取れない儘。

「っ!!?」

そして膝で肩と胸に乗りかかられる。

「いきなり何!?痛い、やめてよ!

 ぼく、何もしてないじゃん!!!!」

「いいや?お前は歳をとったんだ、」

「可哀想だがな。お前がこの村に捨てられてから8年経った。

 18になったら魔女は覚醒する。その前に殺すんだと。」


 そんな話、今迄聞いたこともなかった。初耳だ。

 なにかのでっち上げに違いない、と必死に抵抗する。僕をいいくるめて何かをする気なんだ。と血の気が引いた。

「やめて、お願い!!やだあああああああ!!!」

無慈悲にも動かないよう膝にさらに力を込められる。

「痛い、痛いって!!!やめて!!」

「暴れるなって、なるべく痛くないようにしてやるから」

そして一人が足を抑え、地面に縫い付けられる。

恐怖が倍増し、息遣いが荒くなる。

「はぁっ、はっ、はぐっ、、、っく、ふぁ、」

歯の根が噛み合わない、かたかたと体全体が死への恐怖に震える。確かな死が忍び足で僕に近寄ってきていた。

「健気だよなあ、司教がやってたあれは、禊じゃなくてただのいじめなのに。いつか禊が終わって魔力を失ったら外に出られると思って耐えてたんだろ?」

なに、それ

聞く前に口に布を詰め込まれ、胸の上に鋭く尖った木の杭と木槌を用意される。

「んんんんんんんんんんんーーーーーーーーー!!!!!」

「悪く思うなよ、恨むなら自分を捨てた親を恨め」

ガンっ

「ーーーーーーーーっ!!!!」

身体が思い切りのけぞる、目の前に火花が見えたような気がした。胸の上が焼けるように痛い、死んでしまいたいほどに痛い。早くこの痛みから開放されたい。あぁ、と司祭から受けた鞭打ちの日々を思い、無意識に涙がこぼれ落ちる。あれは、いじめ?僕の魔力を無くすための禊ではなく?

なみだがぽろぽろとこぼれる。

 なら、なぜ、どうして、

 痛みで気が遠のく中疑問符が頭に浮かんでは消えていった。

ガン、ガンっと。

やがて僕がピクリとも動かなくなった時。

やっとその音は止んだ。

「よし、帰って司祭様に報告するぞ」

「後は司祭様に燃やしてもらうだけだな、やっと長年のこいつのお守りが終わったんだ、今夜は飲むぞ」

凄惨な光景に身じろぐ事もなくそんな呑気な会話が飛び交っていた。滲む視界の中、自分を見下ろしながらいうその声が遠のくと共に兵士の足音が遠ざかる。

 もう、痛みも感覚さえもなくなった。


 ,,,死ぬの、僕

こんな、ボロボロ。

全然可愛くないかっこで。


 やだ、やだ

まだ、星も、桜も、雪も、木々も、紅葉も何も知らない。

知らないままで、しぬの。


こんなの。あんまりじゃんか。

お父さん、お母さん。

どうして僕を捨てたの。

まだ顔も知らない。

あなたたちを許さない。


 僕を騙してた人たちも、許さない


 まだ死ねない、死ねない


 僕は外を見て、見返してやるんだ、

僕を酷い目に合わせて嗤った人たちを


 風がざわめき大地が思いに応えるように軋む。

風の音と大地の音が旋律を奏で出す。

 それはまるで、いつか聞いた子守唄のような…

「…ぁー…」

ノアは静かに目を閉じた。

その時。 

ノアの心臓を中心に広がった血溜まりが蠢き、やがて意思を持ったように動き出す。自らの身体の宿主を守る為か、それとも運命に抗う為か、はたまた神の慈悲か。

 ノアを中心に血で大きな8芒星が形作られる。

「…誰でもいい、から……かみ、さま……」

 八芒星が一気に眩い光を放ち、ノアは瞼越しに目が眩む。

「っ…!!?」

 痛みを忘れるくらいの、陽の光のような眩さ。

 最後の気力をふりしぼり瞼を開けると目の前には、いつの間にか全身に鎖の刺青が入った翡翠の目の少年がこちらを見ていた。

「…ぁ、きみ、は…??」

 その声には答えず翡翠の瞳の少年は周りを見渡したあと自らノアに跪く。

「わしを喚んだのはお前じゃな。死にかけておるな。」

「…ぁう、かはっ、」

 「今助ける故少し辛抱するんじゃぞ」

そう優しく声を掛けたあとノアの胸の杭に手を当てる。

「ataruyafa past ekto resseesshe.

 fontanaeto naiare asreye areto iaresywu sruesshe.

 (太陽の恩恵に依って癒やしを与え給え、泉から生命が湧くが如く、心の臓から血が巡るよう(さきわ)え給え)」

すると、少年の頭上に白く後光が輝く。痛みが一気に消え失せ、杭は何十羽もの光の蝶となって飛びたった。最後の蝶が飛び立つ頃には血の跡も怪我も無くなっていた。

「起き上がれるか」

 翡翠の瞳の少年は手を差し伸べる。

「ありがとう、でも僕は大丈夫みたい。君のお陰だよ」

 ゆっくり自分で立ち上がる。

「君の名前は…?なんで僕を助けたの?なんでおじいちゃんみたいな喋り方なの??」

「自分でわしを喚んでおいてそれはないじゃろう…

 わしはパル。本で読んだことくらいあるじゃろ?」

「うーん……ごめん、僕、その本読んだことない」

「そうか。わかった、説明はする。だが場所を変えよう」

 パルが指笛を鳴らす。今度はパルの瞳が青く輝いた。

 すると指笛の隙間から青い(ほのお)が吹き出され、それは形となった。焔でできた美しい大きな青い目の狼だ。

「少し落ち着いて話せる場所へ行くぞ。わしの後ろに乗ってしっかり捕まるのじゃ。ここよりもっと山の奥へ行くぞ」


 …君は、僕の救世主だ


「うん!乗る!」

 焔の狼は力強く枝の合間を縫うように駆け、一気に上空へ身を踊りだした。パルは空中をすくうように手を動かし手で仰いだ。すると光の点と点が繋がるように、天の川のような

 山の中腹まで続く光の川の道ができた。

「すごいっっ!!!君は魔女!?」

「まさか。わしは魔術師じゃ。魔女なぞではない。」

 そうして、パルは続ける。

「魔女は月の魔法を使うもの、魔術師は星の魔術を使うものじゃからな。ついでに今さっきまで君を拘束していたのは太陽の魔法、つまり聖人のものなのじゃよ」

「そうなの、すごくくわしいんだね、」

「まぁな」

「そして最後に、石の魔法がある」

「え、なんかしょぼそう」

 パルは笑った。

「そんなことは無い。石の魔法は最も古く自然を扱う強力な魔法じゃよ」

 そう言うとパルは山に向かって指を指した。

「もうすぐつくぞ」

 そうして。

 山の中腹の廃れた山小屋へ降り立った。

 「ここなら誰もこないじゃろう。」

 パルはそういうと指で地面に円を書いてから炎の絵が描いてある紙を懐から取り出し、円の中心に置いた。

円の中の紙の上に火が現れる。

「あったかい、あったかいね。」

先程まで死にかけていたのが嘘のようだ。

「で、じゃ。」

「うん」

「お主がわしを召喚したのは理解できるな?」

「うーーん。あんまり実感湧かないけど、君がいるし、うん」

「よし。後、儂のことはパルと呼ぶんじゃ。それで、今わしらは仮契約の状態なのじゃよ」

「契約?契約って、なに?」

「そうじゃな…お互いに何かをしてもらう約束をする…みたいな感じじゃよ」

「ふぅん、、、?じゃあ僕は何かをしないといけないの?それでパルも命を助けてくれたの?」

「それだけではないぞ。

 お主の望みならできることは叶えてやるぞい」

「じゃっ、じゃあ、桜を見たり、太陽の下を歩いたりしていいの!?」

「望むならなんでもしてやるが…というかそれはわしが居なくてもでき…」

「するっ!!契約するーー!!」

「お主なぁデメリットくらい訊いたらどうじゃ?」

 「じゃあデメリットなに?」

「…。はあ。まあ、仕方ない。これはわしの罰みたいなもんだしの、とくに契約者の何かをどうしようという気はないが。まぁ…お願い,にはなるじゃろうか。お主に同行させてくれ。嫌なら断ってくれて構わない。」

「そんなことでいいの?」

「ああ。…実は、わしは大失敗してしもうての。神々のいる世界と現世を隔てる真理の扉を開けてしもうての。それで、神々のいる世界に閉じ込められてしもうたんじゃ。

 その扉を探して閉めんといかんのじゃが、その扉は現世からでしか閉めれんのじゃ。

 それを閉めなければ神々の世界から悪魔や災いがやってくるのじゃ。その扉は今日に至るまで、行方知れずなのじゃ。

 それを探すのがわしの使命なのじゃが自分の力では神々の世界に閉じ込められたままじゃった。

 わしは運命の子に呼ばれない限り神々のいる世界から現世に戻ってこれなくなってな。」

「運命の子?」

「ああ。革命や戦争、大飢饉なんかの大きな災いが起きる直前。太陽神直系の王族や、大賢者、偉大な魔術師、伝導者や預言者などの神に選ばれた人間のみ儂を喚べる。お主は神に選ばれたんじゃよ、ノア」

「な、なんか凄そう。」

「それがお主なのじゃ」

「これは儂の罰じゃが、神に与えられた大事な仕事なのじゃ。お主の命令は儂にとって神命であり絶対だ」

「はぅ」

「わかってるのかどうなのか曖昧な表情はやめるのじゃ」

「僕、そんな立派な人間じゃないよ…魔女だし」

「ん?なんじゃと。」

「僕 魔女なんだ。僕の毒球に触ったものが死んじゃったの。

 それを見て司教様が魔女だ、って。だから僕、ずっと、ずっと禊も外に出たいのもずっと我慢してきてっ…、、うえええええええん」

「ああ、じゃあお主が死にかけてたのはお主が魔女だと誤解されていたからか」

「誤解?」

「ああ。お主は魔女じゃないから安心するのじゃ」

「本当に!?」

「神に誓って、じゃよ」

「わあああああああああん」

「泣くな泣くな。お主に魔法の制御は教えてやるからな」

「ありがどおおおおお」

 

パルは笑っていた。

「今までの契約者の中で初めてじゃよ。お主みたいなひよっこは…

 わしも老けたもんだ。お主を見て孫を思い出した」

「え、パルって僕より若そうなのに孫いるの?」

「まあな」


「では寝る前にさっさと契約を終わらせてええかの」


そういうと、パルは祝詞を謡い始めた。

『fuwaiefaherya,watsuiesreen,danetaya.

 utuyafapast,waasuitu,zuifaomesshe.(聖なる天上に座し座したるかの掛けまくも(かしこ)き御霊、偉大なる太陽よ。

その恩寵によって御働きをここに現し給え)』

『agareza pal astera famasitta,retaye

 (我が真名パルアステラに於いて契約を)』

「おぉ〜!?なんかすごいね!僕はノア!」

「ん?待て。真名でないと契約できんぞ。真名はなんじゃ」

「真名?ノア」

「うむ、それはわかった。苗字は?王族じゃろ?」

「ん?ちがうよ、僕孤児だし。苗字はわかんない。」

「んん…わかった。それがお主の本名じゃな」

『yueNoah ru artru sinruse estye

 (召喚者ノアと、神の名の下契約を)』

と。ここまで来て何度もチラッと目配せしてくる。

「な,何?」

「おぬし、本当に召喚のこと何も知らないのじゃな…

儂の胸に8芒星を描くのじゃよ、」

ノアは慌ててごめんって!と言いながら胸の中心に歪ながら8芒星を描いた。

「これ書くの難しいってパル…」

するとパルの胸に描いた八芒星が眩く光始めた。

「ぐっ…うっ…」

パルを戒めていた鎖の刺青が、文字に変化し肌に焼きつく。

「ノア!早く、早く読むのじゃ!神の呪いは痛いんじゃ!」

「これ昔の文字じゃん!読めないってばぁ!!!」

「いった!ぐああっ、そうじゃった…く、っはぁ、…っ、『truya aparu sariffanye,

 sharru wgdunuru sariffan galoye

 neik esshet agareza ruse,

 udureenye assyet tooto esshe

(愚かなる心の戒めたるを、萬の罪穢れの戒めたる鎖を去らしめ給いて我が真名のもとにこの御霊を放たれ、納め給え)だ!!!」

「わかった!!えっと、えっと、

 パルを、tooto esshe(放たれ収め給え)!!」

「なんでじゃーー!!!全部飛ばしたなお主っ、、、」

ノアが唱えた瞬間すううっと文字が焼き付くのをやめ,パルの肌の中に消えた。

「すごいの、簡易契約をさらに簡易に…。」

「まま、出来たならいいじゃん?」

 そしてパルは、星の詩を教えてくれた。

 星の詩を謳えば自分の守護星が分かるというのだ。

 ノアは星の詩を謳う。

 「集中するのじゃ、今すこし手伝うてやるからの」

 パルが山に掛かった霧を晴らしてくれた。

 「あの星々のどれかが君の星じゃ」

「目を閉じて耳を澄ましてみよ、星の声が聞こえるはずじゃ」

不安ながら目を閉じるノア。

「お主を呼ぶ声が、名前を教えてくれるはずじゃ」

キラキラ周囲が輝き始める

「……………!」

 その名を読んだ瞬間。

 ノアの瞳が青く輝く。

 風がうずまき花びらと紅葉のような光が溢れ、ノアが夢に見ていた美しい景色が現実になる。それとともに春の訪れのように抱え込んでいた力に目覚める。

 森の中を走りだし見るもの触るもの全てに命を吹き込むように身体の中からあふれる光が周りに溢れながらノアは人生で初めての嬉しさが内から巻き上がった。

 雪が降り、オーロラが輝き爆発し、星の精霊と一体化して声が聞こえるようになる。

 ノアは息が切れ、立ち止まり、肩で息をする。

 その様子を見ていたパルは微笑む。

「上手くいったな」

 ノアも思わず微笑む。

「ありがとう、これが、パルが言ってた、魔術?」

 「そうじゃ。じゃあ今日はここらへんにしようかの。明日はお主のその毒を見極めてから制御の仕方を教えてやろう」


 一方その頃泉のそばでは。

「な、なんで…」

「これはどういうことかね?いないではないか!」

「いえ、確かに殺した筈です!この目で見ましたので…

あの瀕死の状態で動けるはずが…」

 そして村でオーロラが確認された頃魔女を狩る司教が到着していた。ノアが杭を打たれたその場所に、彼らはいた。だがそこには一滴の血の痕跡すら無かった。

「ではなぜいないんだ!!!!

 司教の名はウマベル。彼は禿げているが少し残された後頭部の髪を細く三つ編みにしていた。これは彼が太陽神教の司祭である証なのだ。

 光の天使ウマベルを守護天使としている為、その名を天使から継承していた。

「魔女を殺すのだ!皆、魔女狩りの準備だ」

 村人たちはその言葉にありったけの武器を集める。

「これで魔女を殺したならば私も本教会から認められて聖人に近づけるはずだ、今にミカエル様に認めていただける…リゲルやバーバラなど追い抜き聖人に…」

司教は必ず魔女を倒すことを太陽に誓う。

 翌日早朝銃や弓矢、鎌や斧を構える村人たちがいた。

「よし、では行こうか、哀れで邪悪な魔女を倒しに」

 麓から登り始める一行は登っている途中で霧が晴れたことに気づく。司教は声を潜めた。

「魔女の力が弱まったのか…それとも…」

 

 一方その頃ノア達は下山していた。

「そういえばパルは何で来てくれたの?」

「愚問だな。お主が呼んだんじゃろ?」

「ふぅん」

「見殺しにできないじゃろ」

「見殺し?」

「わしもこちらの世界に早く来たかったんじゃ。それで喚ばれた先で魔術師なのに魔女と間違えられて17歳の若者が殺されかけておるのを黙ってみてはおれんかった」

「あぁ、そっか、今日、僕17になったから殺されかけたんだ」

「どういうことだ」

「魔女は18になると才能が開花して邪悪な力を自在に操れるんだって…それに僕、孤児だし厄介者だったから」

「なるほどな。確かに、力を持たぬ民草にはわからぬか…月と日と星と石の魔力の違いは。」

「でももう僕が魔女じゃないって解ったから村の人たちともきっと仲良くなれる、力も前よりうまく使えるし」

 「それは難しいかもな」

「え」

「ほら、来たぞ」

 ノアは前を見るとそこには武器を構える村人たちと司教が立ちはだかっていた。

「そんな…なんで」

「で?どちらが魔女だ」

 ウマベルが2人を見やって村人たちに問う。

「あっちは知らない、そこの白い髪の女が魔女だ!」

「そこの人、離れな!!あんた騙されてるんだ!」

「なるほど。哀れな子羊よこちらへ来なさい!

 その魔女は危険だ、大丈夫、聖なる守護天使を使役する私が守ってあげよう」

「パル、お願い、説明して、分かってもらえるかも」

「…はぁ。絶対無理じゃろうけどな。

 ……必要ない!!この娘はわしが貰い受ける、

 安心しろ、魔女じゃない、この子は星の魔術師じゃ!!」

「魔女め!!哀れな子羊を洗脳したのか!!!

 やはり生かしておけぬ、火あぶりにしてやる」

「ほらな。話が通じる相手じゃない」

「ど…どうすれば…」

聖書を持ち、聖歌を歌い出す司祭。

『umabelheryea azanye taktesshe

 (ウマベル座下、力を貸し給え)』

 太陽のような火が後光のように何重にも背後に円環として現れ、そこから白い焔が放たれる。

「うわああああ!!!」

 ノアが叫ぶ。刹那、パルが手で狼を作り星の名を呼ぶ。

 瞬間青い瞳が煌めき、青い焔の狼が手の中から飛び出し放たれた炎すべてを食べる。司教は焦ってさけぶ。

「お前も悪魔の力を使ったな!!ばけものめ!!」

「だから、星の力だって言ってるじゃろうに」

 司教は全く聞く気がない。

『elemen arferaya,agaresekconye

 (気高き天使よ、我が元へ来たれ)』

 歌うと聖書がめくれ、光の翼が現れる

 天使の輪が聖書の上に現れる。

「なにあれ…!?」

「守護天使を呼んだのじゃ、わしら星使いが星を呼ぶように。聖人は守護天使を、魔女は悪魔を呼ぶ。まぁ、あれは不完全な権限じゃが」

「不完全?じゃあ大丈夫?」

「いや。確かに逆五芒星の魔女や8芒星の聖人とは違って特別秀でた力は星使いにはない。最高神からは力を受け取らないからじゃ」

「そんな、、、」

「でもな」

「その代わりにわしらは、星に選ばれ、契約し、命を削って

時にはその加護と同等以上の力を持つんじゃ」

 「大丈夫。その名を呼べば、応えてくれるじゃろう」

 

 聖書から無数の祈りの手が現れ、2人の首元へと向かって飛んでいく。さらにパルは手で笛の形を作って中に息をフーッと吹き込んだ。すると青い焔が出口から迸り、祈りの手を焼き尽くしてしまった。圧倒的な力の差にウマベルは思わず膝から崩れ落ち、聖書を落として肩を項垂れた。

「ばけものどもに………この私が……負けるなど……」

 パルは再度司教に語りかける。

「わしらは星の魔術師だ。お前たちが魔女と呼ぶ存在は、月を操る。同じ魔術は使えど、本質は全く異なるものなのだ。

 月は願いを、星は想いを受け継ぐ。自分勝手な願いを叶えようとする月と違い、星は人々が今まで紡いできた思いを受け継ぐのじゃよ。」

 司教は聖教魔法院で習ったことを思い出していた。

 この世には、星を使役する者、石を使役する者、太陽を使役する者、月を使役する者がいると。

そして星の魔術師としては異端で尊大で崇高な存在がいると。

 その名は確かーーー

「ルキフェル(Lucifer)」

 この目の前にいる存在がそうなのだ。

 かつての天使長の名であり、暁に輝く星の名であり、つまりそれは太陽と星の両方に加護されていることを示している。

 過去から未来へ人から人へ想いを託す星の中では、1人想いを抱えて永遠の時を生きる異端。

 それでいて、星の魔術師たちからは賢者として崇められる存在。

 その存在が今、目の前にいた。

初投稿です( *´꒳`*)ダークファンタジーを目標にしています

設定めちゃくちゃ考えて沢山あるのでちょっとずつ小出しにしていきます。

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