第4話 魔王の配下ドウドウと、街中魔王様
「RPGゲーム Your destiny will continue!」の制作会社が開設した公式スレッドにて、〈プレイヤー〉達はゲームのストーリーや魔王の配下の攻略について話をしていく。
〈桃源郷の契約者〉の発言から、彼らはゲームには分岐があることを知る。
ゲーム序盤の首都攻防戦、魔王の配下『メイラ』戦、『キラキラキラー』戦、『ドウドウ』戦に分岐があることを知った、スレ民達によって、スレッドは若干の地獄みを帯び始める。
『桃源郷の契約者』の発言によって、『ドウドウ』戦「戦闘開始直後のセリフ」から通常バージョンと分岐バージョンに違いがあることをスレ民達は知る。
158:名無しの勇者
ああ、メイラが死んだから吹っ切れたんだ。勇者に手加減しようって気も湧かなくなってたんだ。だから手加減無かったんだ
159:名無しの勇者
辛
160:名無しの勇者
辛い
161:名無しの勇者
鬼
162:名無しの勇者
辛杉ワロタ
このゲーム、もしかして鬱ゲー?
163:名無しの勇者
もしかしなくても鬱ゲー
それにどうせ、メイラ生存ルートだってクゥクァ戦で死ぬんだから、どちらにしろ鬱ゲー
164:名無しの勇者
制作者出てこい。絶望のゲームすぎだろ。救いの一つも用意しろよ。
165:名無しの勇者
作成は(株)ATAだったはず
166:名無しの勇者
ATAは鬼。TRPGも小説もアニメも漫画も、SNS上の投稿すらも、この世のATAが発するすべてがファンの心を乱す
そして今回はYDC
167:名無しのロリコン
俺、泣いていい?
ATAに心乱されまくってる
168:名無しの勇者
泣くな、ロリコン
169:名無しの勇者
メイラの考察は、登場は、シーンはまだ、終わっちゃいない!
170:名無しの勇者
メイラの雄姿をみろ!
171:名無しの勇者
168、169、170って全員、別人なんだよね
よくこんな秒速でスムーズに出来るな
172:名無しの勇者
ちなみにドウドウの攻略方法として、一斉掃射は極力受けるな。どんな方法を使ってでもいいから、できる限り回避しろ。
それが無理なら、ヒーラーを自己治癒させて、絶対に死なせるな。
もしも、一斉掃射を受けたときに全員回避させずにさらに、ヒーラーがいないとヒーラーの一斉回復が利用できないから、一気に全滅する。
173:名無しの桃源郷の契約者
≫172 それが間違いない方法
あと注意すべきなのはドウさんが同じ場所に1ターン以上留まっていた場合。その場合、ドウさんの武器の命中確率が10パーセント上昇する仕様になってる。
公式から言われているその仕様の名前は「年の功」。まあ、経験が物を言う的なスキルなんだろうな。
だから、ドウさんを毎ターン場所移動せざるおえないようにすることを心掛けた方がいい
銃剣の攻撃力も高めだから、パーティーメンバーの防御力アップとか回避獲得、レベルアップは事前に行うことを忘れないように
174:名無しの勇者
了解です
175:名無しの勇者
そうだったのか
176:名無しの勇者
よし、逝こう
177:名無しの勇者
意外と皆、苦戦してるのが分かるな
178:名無しの小説班
ちょっと目を離した隙に大分、スレ進んでた
でも、話は進んでない
あと、桃源郷の契約者はドウドウのターンになってから発言量増えた気がしなくもないんだけど、何かあった?
179:名無しの勇者
あ、小説班
180:名無しの勇者
お、勇者から小説家になった元勇者だ
181:名無しの勇者
確かに契約者の発言多くなった気もするけどどうして?
182:名無しの桃源郷の契約者
理由は一つしかないだろ
分岐が絶対に存在するのはラストシーンだ。一番好きなラストシーンがドウさんのラストシーンなんだよ。
ドウドウの勝利
「すまない、勇者達。これが私が君にできる最善のことだ」
「……守り切れたぞ、──―」
ドウドウの敗北(俺は破業剣で倒したからそれで書く)
勇者の持つ剣がドウドウの胸を突き抜ける。その瞬間、彼がこちらを見て目を見開いたのが見えた気がした。見て見ぬ振りをした。
その時が長く感じた。10分にも20分にも、30分にも感じられた。誰もその場から動かなかった。動けなかった。
剣の柄からドウドウの血が滴り落ちてくる。温かい、人の温もりを感じた。敵であろうともその血は赤く、紅く、温かかった。
「すまん、守り、きれなかった」
掠れるような声で苦し紛れにそう言う声が聞こえた。それは今まさに真正面から勇者から剣を胸に突き立てられているドウドウの声だった
勇者が剣を引き抜くとドウドウはその場に両膝をついた。胸には穴が開いていて、血がしみ出していた。
「役、立たず、は、私、だ」
血に染まった両手を見て、自らを皮肉るように彼は笑う。その言葉は勇者に対しても、勇者一行に対して言っているようにも、感じられなかった。そして、静かに目を閉じる。
「後は、頼んだ、ぞ……ジン」
勇者の遥か後ろをほんの少し、目を開き、見た後、そう言って彼はうつ伏せで倒れた。その手には血だらけの封印具「銃剣」が握られていた。
鬱ゲー待ったなし!
183:名無しの勇者
「後は、頼んだぞ……ジン」
ここが分岐なんだな
唯一、託せるのは息子かァ
184:名無しの勇者
≫182
185:名無しの勇者
≫182
186:名無しの勇者
≫182
187:名無しの勇者
≫182
188:名無しのパパ
≫182
189:名無しの勇者
≫182
190:名無しの考察班
≫182
スイートピー『別離』『優しい思い出』
サルビア『家族愛』
ドウドウのフラワーなんだけど、さ……
191:名無しの勇者
≫190 これ以上何も言うなああああああああああああああああああああああ!!!!!
192:名無しの考察班
ドウドウはさ、子どもはいるのに奥さんは出てこない。つまり、それはあやかしである奥さんは死んでいて子どもを託されているっていうふうにも考察できるんだよね。
妻と死別で『別離』した
妻と、家族といた時間は彼にとって幸せで敵となったドウドウにとっては『優しい思い出』だった
それに、だからこそ、彼は家族を愛していて、家族を守ろうとしてた。だから、メイラが死んだとき、吹っ切れたんだ。
子どもを、家族を、仲間を守り切れないから「役立たず」
だから、せめても、息子にだけは勝って、生きてほしかった。
だから、「後は、頼んだぞ……ジン」ってことか
193:名無しの勇者
≫192 お前は人の傷を抉る天才か
194:名無しの勇者
≫192 お前は考察のプロ
195:名無しの勇者
≫192 エグい知識に感嘆。滅べ
196:名無しのパパ
≫192 解釈一致させる天才だな
197:名無しのロリコン
≫192 もう、死にたい。まだ、死ねないの。もう致命傷なんだけど。お前のせいだぞ、考察班
198:名無しの小説班
≫192 契約者と考察班が手を組むとオーバーキルされる現実に絶望する。死亡宣告じゃん
199:名無しの桃源郷の契約者
俺にまで被害来てるんだが。考察班のせいだ
200:名無しの考察班
俺はただ、考察しただけなのに。200ゲット
201:名無しの勇者
ってか、今、気付いたんだけど、次の幹部戦が化物世界だったのって、このドウドウと家族の話があったからだったのかな。
奥さんは化物世界のあやかしだし、ジンも確か、あやかしだったからその縁で行ったのかな
202:名無しの勇者
≫201 あ、そういうことか
203:名無しの勇者
ようやく、話が講師に移ろうとしてることを察知して参加。
204:名無しの勇者
あ、じゃあ、総員に考察班がクリティカルのオーバーキルしたし、講師の話に移るか
205:名無しの元100
いや、次はちょっと気になることがあるんだ。9章について
206:名無しの勇者
9章?
207:名無しの勇者
9章か
208:名無しのロリコン
確か、勇者の過去についての章だっけ
209:名無しの元100
≫208 そうそう、それ。勇者の幼少期から、首都にお呼ばれするまでのストーリーを辿る章。
9章のシーンで一つ気になるシーンがあってさ。9章中盤ら辺で勇者が街中で人助けしてるシーンで韓紅色の眼に桃色の髪の男の人が出てきたじゃん。魔王にそっくりの。
あれ、絶対に魔王だよね
210:名無しの勇者
あー、それは確かに。異様に似てたもんな。公開されてる魔王に服装とか髪型以外は似てたよな
211:名無しの勇者
でも、魔王って街中普通いなくね。
212:名無しの勇者
カイならやりそう
213:名無しの勇者
やりそうではある
214:名無しのロリコン
まあ、やりそう。CM映像とか公式の情報見る限りは。
でも、普通に考えたら勇者に会おうとするか、魔王
それも街中で
215:考察班
どちらにしろ、魔王関係者が過去に勇者に接触していた可能性はあるってことだな。それが魔王本人だったとしても、誰かの変装だったとしても
216:名無しの勇者
むむう、何故、接触したのかは分からないが、後にその理由は明かされてほしい。ってか、いつかは明かされると思ってる。
「『辛ラー』さん、暇潰しに見るYDC公式スレは面白いですか」
不意に私にかけられた声。視線を上げれば、既にラーメンを食べ終えたらしい──の姿。
少々不満げなのは私がスマホに気を取られていたからだろう。
「面白いな。プレイヤー達の絶望が手に取るように分かる。まだ序盤だというのに相当なダメージを受けている」
休業日に「ラーメンが食べたいから来ました~」と行ってやって来た──。
致し方なく、作って食べさせていれば、いつの間にか食べ終えていた。そして、ここ一年ほど流行っているゲーム『YDC』の公式スレッドを見ていた私に──は話しかけた。
多分、話し相手がいなくて、一人でスマホをイジっているのも飽きたと思われる。
「ふーん。……今、──さんの章と9章辺りの話をしてるんですね。『原くん』戦とか、『辛ラー』戦、『カイ』戦とかの分岐見たときに絶命してませんか、この人達」
「してるだろうな」
「即答~」
私が現在進行形で見ている『YDC』公式スレッドを見ているのか、──は私に向けていた顔をスマホの画面に向け、スマホの画面に触れている指を上下に動かす。そして、何とも言えない困惑した顔になった。
『ドウドウ』戦の考察で叫んでいるスレッド参加者を見ての反応だと、手に取るように分かる。
「俺達も多分、何も知らずにこのゲームやったら絶望するだろうって確信ありますけど、こう、できない状況だからこそ他人の絶望を見てると面白いですよね」
「意外と酷いこと言うな、お前」
私が──の言葉に即答でそう返せば、彼は不満げな視線を私へと向ける。
「元はと言えば、『辛ラー』さんが公式スレ見てたのが原因でしょうが!」
「口を滑らせたお前が悪い。それを言うなら、このスレとゲームを作ろうとか言い出した、──と『カラス』が元凶だろう」
私の言葉に──は確かに、と落ち着いた様子で頷く。
「というか、元凶の一人はATA発売に関与してるから良しとして、もう一人の元凶は裏側から手を回したり、色々、こう、操ってると考えると『カラス』ちゃんってリアルでもゲーム内でもラスボス感満載では? 俺そう感じるんですけど、どう思います、『辛ラー』さん」
「雑魚感も感じるが、言われてみれば、確かに『原』の言うとおり、ラスボス感ありまくってるな」
誰もいない店内で、私達は現実でもゲーム上でもラスボス感全開な約2名の人物の姿を思い出し、苦笑いをお互いに浮かべてしまったのだった。
魔王配下の父親と街中にいる魔王、それとラーメン屋、終幕




