少年時
夏の浜辺·····浜辺には大勢の人達が居て、海水浴を楽しんでいる。彼らは、この暗い時代において、一時の夏を楽しみ、永遠を希み、そうして青春の苦き味わいを、とわの思い出に押し留めようとしている。
青春時代·····誰にでも青春時代があり、誰にでも、甘い恋愛があった。中にはそんな目にも会えない人々も居たが、その人々はその後に青春を、楽しんだ。
青空が好きだった。そこにソフトクリームのように浮かぶ雲······
蝉が、かしましく鳴き、じりじりと暑い陽射しが、刺して、僕という存在に掴み取られていく夏。
そんな夏。僕は、絵に夢中だった。最初は僕は本が好きだった。お父さんの教えてくれたミステリーや、海外の小説。そうして僕の家には子供の頃から、たくさんの本があった。
けれども僕は、だんだん本に飽きていった。なぜなら世界中の面白い本はみんな僕が二十代の終わりまでに読んでしまったからだ。
世界の名作を全部読んだわけではないけれど、カフカも読んだしモーパッサンも少し読んだ。
ボードレールは、大体読んだし、レイモン・ラディゲの小説はみな読んでしまった。
最近僕は、サガンの小説を読もうとしているけれど、「悲しみよこんにちは」は、もう読んでしまった。
サガンの「ある微笑」を僕はまだ読んでいない。けれどもそれと前後して、僕はジャン・コクトーの絵にはまった。
ジャン・コクトーの絵は美を感じる。コクトーも、「美の特権は絶大である」と書いている。
絵は色々と不思議な所がある。どうして人間は、コクトーや、ゴッホのように素晴らしい絵やイラストや水彩画が描けるのだろう?
僕も描いてみたいなあ。絵は一瞬で鑑賞できるからみんな見てくれるかなあ?
そうして、僕は深夜の暗い部屋で、色々な絵の模写を始めた。
それから2年の月日が経った······