張飛VS黒田清隆VS大巨人~世界最強の呑兵衛決定戦! ~
神々が暇を持て余した結果、今度は**「世界最強の呑兵衛決定戦」**を開催!
歴史に名を残す酒豪たち―― 黒田清隆、張飛、そしてフランスの大巨人レネ が激突する。
だが、試合前に用意した酒がすべて消えるという異常事態が発生!?
犯人はまさかの 「レネ」。
さらにはゼウスの酒まで盗まれ、大激怒の最高神が参戦し、勝負はさらにカオスな展開へ――!
神々すら呆れる伝説の酒豪対決、その結末はいかに!?
◆ 暇を持て余した神々
天界の神々は、相も変わらず暇を持て余していた。
「ワインの美味しい季節だねぇ」
「だねぇ~」
「天界、季節関係ないだろう」
「だねぇ~」
「いつでも酒って美味いよねぇ」
「だねぇ~」
「……よし、やるか!」
そうして決まったのは――
「世界最強の呑兵衛決定戦!」
神々が選び抜いた出場者は、以下の3人だった。
●黒田清隆(日本・初代内閣総理大臣にして無類の酒豪)
●張飛(三国志最強クラスの猛将、蜀の五虎将軍の一角、そして伝説的な酒乱)
●レネ(フランスのプロレスラー・「世界8番目の不思議」と呼ばれた大巨人)
彼らがどれだけ飲めるのか、神々は固唾を飲んで見守ることにした。
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◆ 消えた酒樽
試合を始めようとした瞬間、神々は異変に気づく。
「おい、酒がないぞ?」
用意したはずの大量の酒樽が、忽然と消えていたのだ。
慌てて周囲を見回すと、トイレのドアが開き、のっそりと巨大な男が現れた。
「さあ、本番だ。始めよう。」
出場者のひとり、大巨人レネが、満足げな表情で席についた。
神々「……まさか?」
彼の前には、からっぽの酒樽が山積みになっていた。
そう――試合開始前に、レネが全て飲み干してしまったのだ。
黒田清隆と張飛はドン引きし、神々は頭を抱えた。
しかし、その時――
「酒ならここにあるよ!」
ゼウスの息子であるヘルメスが満面の笑みで、大量のワインと蒸留酒を担いで現れた。
どうやら、ゼウスの酒蔵からくすねてきたらしい。
神々「……あいつ、またやりやがった。どうする?」
「何の話かね?我々は何も知らない。ただヘルメスがお酒を持ってきただけですよ。」
「確かにそうだが…」
「問題があるなら、それはゼウスとヘルメスの問題だよ。つまり親子喧嘩だ!つまりだ…」
「楽しそう…」
「つまり…」
「問題ないな!よし、始めよう!!」
ゼウスの怒りが天界を揺るがす予感を抱えながらも、呑兵衛たちは、ようやく本番の酒宴へと突入するのだった。
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◆ 怒涛の呑み合い開始!
黒田と張飛は、レネの圧倒的先制に焦り、汚名挽回とばかりに急ピッチで酒を飲み始める。
「この燕人張飛がこんなことで負けてられるか!うおおおおおお!!」
張飛が紹興酒の入った甕を一気飲みした。さすが飲み過ぎが原因で部下に殺されただけはある。
「オイも負けてられもはん!」
後先考えない張飛に触発されて、黒田清隆も負けじと一升瓶をラッパ飲みする。
二人のペースは凄まじく、次々と酒樽が空になっていく。
しかし、レネはなおも悠然としていた。レネは、生前、飛行機に搭載された酒をすべて飲み干したとか、ビール200本を飲んだという伝説を持つ怪物である。
張飛が一瓶を空ける間に、レネは三瓶を開け、黒田が一升瓶を飲み干す間に、レネは樽を抱えて飲み干す。
張飛「こ、こやつ、まさに一人民族大移動!」
黒田「いや、まさに人間山脈だ…」
酒豪2人のペースが落ちてくる中、
レネは朗らかに笑いながら言った。
「このワイン美味いねぇ。どこ産?」とワインの味を楽しむ余裕を見せている。
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◆ 酒乱 vs 酒豪 vs 大巨人
やがて、黒田と張飛の二人は、危険な本性を現し始める。
歴史に(汚)名を残す酒乱たちが、本格的に制御不能となったのだ。
「チェーイ!薩摩隼人に、酒乱なしじゃぁあああ!!」
「言ったな!? なら勝負だ!」
酩酊した2人は、ついに喧嘩を始める。
薩摩隼人・黒田清隆 vs 蜀の猛将・張飛、二人の戦闘民族の一騎打ちの開幕である。
神々「うおおお、これは名勝負の予感!!」
だが――
フラフラの泥試合になってしまった。
張飛は、丈八蛇矛をつきながら、フラフラと蛇行している。黒田に近づこうとして、足をもつれさせて転ぶ。
黒田は、「太刀、太刀がない」と脇に差している太刀を見つけられない始末。
神々「なんだこれ……」
「しょうがねぇなぁ。」
レネは、大きな腕を伸ばして瀕死の二人を捕まえ、そのまま頭同士を「ゴチン!」とぶつけた。
黒田 & 張飛「ぐぼぉ……」 → KO
神々「……」
「……勝者、レネ。」
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◆ 最高神ゼウス、激怒!
その時――
ゴロゴロゴロ……ドォン!!
雷鳴と共に、最高神ゼウスが降臨した。
「誰だ!ワシのワインを飲んだ奴は!?」
神々は、ゆっくりとヘルメスを指差した。
しかし、当の本人は大爆笑してる。
しかし、ゼウスの眼光はすぐに、
巨大な男の前に積み上げられた酒樽に向けられる。
中央には、のっそりと立ち上がるフランスの大巨人、レネ。
彼の前には、すでに数十本の空になったワインの大瓶が転がっていた。
「……なるほど。これは貴様の仕業か?」
ゼウスが問い詰めるが、レネは呑気に笑いながら、
手元のワイングラスを優雅に傾ける。
「どうりで美味いと思ったぜ!あんたも飲めよ。」
グラスの中には、ヘルメスが盗んできた、
ゼウスの特別醸造ワインが注がれている。
しかも、それを一口で飲み干し、
さらに大樽を抱え込み、
ワインの注ぎ口をそのまま口に突っ込んで、
一気にラッパ飲みを始めた。
ゴクゴクゴク……!
周囲の神々「……こいつ、まだ飲むのか?」
◆ ゼウス vs レネ
ゼウスは、雷鳴轟かせながら、レネを睨みつける。
「貴様、人の分際で最高神であるこのゼウスの酒を飲んだとということが、どういうことか分かるか!?」
「俺は、あんたらに『酒を好きなだけ飲んで良い』と言われただけだ。文句があるなら、彼らにいえよ。それにこんな上等な酒を前にして、何を怒っているんだ。酒が不味くなるぜ。一緒に飲もうぜ。それとも負けるのが怖いのか?」
そう言ってレネはワインボトルをゼウスに向ける。
ゼウスの顔が怒りで紅潮する。
「よかろう……ワシと呑み比べ勝負だ!!!」
雷のごとき声が響き渡ると、
ゼウスの手には黄金の酒杯が出現する。
ゼウスは注がれたワインを一気に飲み干す。
「美味い!もう一杯!!」
そしてゼウスとレネの一騎打ちが始まった。
ーーー一時間後ーーー
ゼウスの手からグラスが滑り落ちる。
カラン……
彼は、ついに酒の前に膝をついた。
神々「ゼウスが……負けた……!!?」
レネは、大きく息をつくと、
雷をまとったゼウスを横目に、にっこりと笑った。
「お前もまあまあやるな。」
そして、ゴロゴロと低い音が響いた。
ブボオオオオオオオオ!!!!
神々「……は?」
ゼウスの顔の前で、
レネが巨大なオナラを放った。
ゼウス「………………」
神々「………………………………」
沈黙。
レネ「よし、これで完全勝利だな。」
ゼウス「……あぁ、もう、好きにしろ。」
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◆ 赤ワインと日本の友人
レネはヘルメスのもとへ行き、ニヤリと笑った。
「赤ワイン、まだ持ってるだろ?」
「お土産か?」
「ああ、最近こっちに来た日本の友人にな。」
そう言うと、レネは夕日を背に帰っていく――。
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◆ 神々は懲りない
「あの大巨人、すごかったな…」
「ああ、あのゼウスを倒しちまったんだからな。」
「つーか、あいつが負けたおかげで、ゼウスの怒り、有耶無耶になったな。」
「まだまだいけるな。」
「次は、ヘルメスに何捕ってきてもらう?」
まだまだ懲りない神々だった――。