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最強のコック vs 切り裂きジャック 〜微塵切り対決〜

天界の神々が、またしても退屈していた。

そこで、一柱の神が突拍子もない提案をする。


「切り裂きジャックと、合気道の達人でもあるあの大柄なコックを対決させてみようじゃないか。テーマは…そうだ、微塵切り対決だ!」


だが、問題が一つあった。


「いや待て、そのコックはまだ死んでないだろう?」


……沈黙。


「ま、まぁ、細かいことは気にするな。」


こうして、神々の新たな遊びが幕を開ける。

しかし、単なる料理勝負のはずが、まさかのカオスな大乱闘へと発展!?


果たして、この異色の対決の行方は?

そして、神々のリアクションは――?


「神々の遊び」、第6弾、開幕!

◆ 暇を持て余した神々の遊び

天上の神々が、またしても退屈しきっていた。楊貴妃とクレオパトラの一件以降、最高神ゼウスにきつくお灸を据えられていたからだ。皆テンションが下がってしまい、以降面白いアイデアすら浮かばない。そんな中、一柱の神が口を開いた。

「実は暇すぎて、最近料理を始めたんだ。味付けとかは楽しいんだが、野菜を切るのとか、面倒くさいんだよなぁ〜。特に微塵切りとかね・・・」


このどうでもいい話を聞いていた一柱の神が、突如突拍子もない企画を閃いた。

「そうだ!料理だ!いや、微塵切りだ!!」

「どうした?頭でも打ったか?」

「違う、対決だ!!そうだなぁ〜、よし!切り裂きジャックと、例の合気道の達人のあのコックを対決させてみようじゃないか。そう、微塵切り対決だ!」

「いや待て、そのコックはまだ死んでないだろう?」

別の神が眉をひそめた。

…沈黙。

「ま、まぁ、細かいことは気にするな。」

全員が深く頷き、神々は対決の舞台を整え始めた。


◆ 対決の舞台

舞台は、神々が用意した「キッチンスタジアム」。

大理石のカウンター、輝く包丁、無数の調理器具が整然と並ぶ豪華な空間。

テーブルには大量の新鮮な野菜が積まれていた。

しかし、肝心の対戦者たちはまだ姿を現さない。

「切り裂きジャックはどこだ?」

神々が周囲を見回すと――

暗がりの中に、ひっそりと潜むジャックの姿があった。

彼の細身の体は闇に溶け込み、不気味な雰囲気を醸し出している。

「ではコックは?」

しかし、もう一方の対戦者であるコックも会場にはいない。

「まさか…逃げたのか?」

神々がざわめく中、会場の入り口に視線が集中する。

だが、扉は静まり返ったままだった――。


◆ ジャック、我慢できず動き出す

ジャックが影の中からじわりと姿を現した。

彼の視線は、キッチン台の上に置かれた野菜に釘付けだ。

「人じゃないのが残念だが…仕方ない。」

彼は渋々野菜を掴み、包丁を手に取り、切り始める。

トントントン…

その包丁さばきは意外にも鮮やかで、細かく均一な切り口が並んでいく。

「ふむ、意外と器用だな。」

神々が感心して見守る中、ジャックは突然、包丁を握る手を止めた。

「…野菜じゃつまらん。人が斬りたい!」

彼の顔に狂気の笑みが浮かび、

ゆっくりと近くに立っていたアシスタントの女性へと視線を向ける。

「おいおい、まさか!」

神々が制止する間もなく、ジャックは包丁を振り上げた――。

その瞬間。


◆ 「待たせたな…」

ドンッ!

会場の扉が勢いよく開かれた。

「待たせたな…そこの狂ったナイフ野郎。そろそろ俺の出番だ。」

遅刻したコックが、余裕たっぷりの態度で登場した。

太い腕を組み、胸を張り、皮肉げな笑みを浮かべている。

「遅れて悪かったな。セレブはこういうもんだ。」

彼はアシスタントの女性を庇いながら、ジャックに向き直った。

「邪魔だ!」

ジャックが包丁を振り下ろす。だが、その瞬間――。

バキッ!

コックの前蹴りが炸裂。

ジャックは壁に叩きつけられ、気絶してしまった。

神々「………。」


◆ コックの独壇場

コックは悠然と包丁を取り上げ、ニヤリと笑った。

「おいおい、野菜を切る勝負だったろ?まずお手本見せてやるよ。」

そして、手際よく野菜を微塵切りにしていく。

トトトトトトトッッッ!!!

その動きは無駄がなく、切り口の美しさはまるで芸術。

スピード、正確さ、すべてが完璧だった。

「サクサクっと終わったぜ。さあ、お前の番だ。」

そう言いながら、コックはアメリカンジョークを放つ。

「なあ、これでサラダ作ったらどうなると思う? まあ、食べる前に病院行きだろうな!」

……誰も笑わない。

しかし、本人は満足げにニヤついていた。


◆ 暴走ジャック

意識を取り戻したジャックが、激昂して立ち上がった。

「貴様、俺を侮辱したな!」

彼は包丁を握り直し、再びコックに向かって襲いかかる。

しかし――。

ヒュッ!

コックは簡単に攻撃をかわし、ジャックの動きをいなしていく。

その動きはゆったりとしているが、確実にジャックの包丁を無効化していった。

「その程度か?料理人を舐めるなよ。」

次の瞬間――。

バキッ!

ジャックの腕がひねり上げられ、悲鳴が上がる。

さらに、彼はキッチンの棚に投げ飛ばされた。

「クッ…まだだ!」

ジャックは何とかコックの服の袖を切ることに成功した。

だが、それ以上の反撃は許されなかった。


◆ 沈黙の結末

コックはジャックの肩関節を外すと、

顔面をシンクに叩きつけて再び気絶させた。

そして、悠々と電子レンジに野菜や金たわしなどを詰め込み、操作を始める。

「さて、これが俺の必殺技だ。」

ピッピッピッ…

神々(まさか…またやるのか!?)

次の瞬間――。

ドカーン!!!

電子レンジが爆発し、ジャックは粉微塵に吹き飛ばされた。

会場が静寂に包まれる中、コックは平然と立ち上がる。

「野菜だけじゃなく、コイツまで微塵にしちまったよ。」

そう言いながら、ニヤリと笑う。

そして、アシスタントの女性にウィンクした。

「お嬢さん、次のディナーは君にしようかな?」

……誰もツッコめない。


◆ エピローグ

神々がしばらく沈黙した後、ぽつりと呟いた。

「…今の対決、なんだったんだ?」

「ま、まぁ、細かいことは気にするな。」

一柱の神がそう言い放つと、全員が爆笑しながら、

次なる遊びを考え始めた――。

神々の遊びは終わらない。

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