決着!クレオパトラVS楊貴妃 ~東西悪女対決Ⅲ~
地獄で巻き起こった鬼兵隊の蜂起。
クレオパトラと楊貴妃が吉田松陰の影響を受け、攘夷思想に目覚めてしまったことが発端だった。
獄卒たちを率いて反乱を起こし、地獄は未曾有の大混乱。
閻魔大王は天界に泣きつくが、神々は相変わらずヘラヘラと笑うばかり。
ついには天界VS地獄の全面戦争が勃発しかけるが――
その時、光り輝く存在が現れた。
「さてさて、お戯れはこの辺りで。」
新たな「遊び」によって、事態は思わぬ決着を迎えることに。
果たして、クレオパトラと楊貴妃の運命は?
そして、地獄と天界の行く末は――?
「神々の遊び」、第5弾、開幕!
◆ 地獄の反乱と閻魔大王の嘆き
地獄はかつてない大混乱に陥っていた。
クレオパトラと楊貴妃が、吉田松陰の影響を受けて攘夷思想に目覚め、不平不満を抱えた獄卒たちを率い**「鬼兵隊」を結成。
地獄各地で待遇改善デモと実力行使**を繰り返し、獄卒たちは次々と反乱に参加していった。
「鬼にも労働環境を!」
「新しき地獄を我らの手に!」
「閻魔打倒!地獄改新!」
火炎と怒号が飛び交い、地獄はかつてない混乱に包まれていた。
次第に獄卒たちは人間の罪人たちと結託し、あちこちの牢を解放し始めた。地獄のシステムは完全に崩壊寸前となり、閻魔大王は震える手で頭を抱えた。
「どうしてこうなった…?」
閻魔大王は唯一の原因である吉田松陰に仲裁を頼んだ。
しかし、松陰は涼しい顔でこう言い放った。
「やむにやまれぬ大和魂。上に立つ者は、下の者がそれを起こした原因を考えるべきだ。」
閻魔大王はその場に崩れ落ちた。
「ま、待ってくれ!その論理で言ったら、私はどうすれば…!?」 「それはお前が考えることだ。」 「何なのだ貴様はァァァァ!!!」
◆ 天界のゆるい反応と閻魔のブチ切れ
事態が収拾不能になった閻魔大王は、ついに天界にクレームを入れた。
ところが、天界の神々は相変わらずヘラヘラしていた。
「いやぁ、地獄の獄卒が攘夷運動って、そんなことある?」 「まさか維新を起こすとは…やっぱ松陰は規格外だなぁ。」 「鬼兵隊ってネーミングセンスが最高すぎるだろ。」
「貴様ら!!この大惨事を見てまだ他人事のつもりか!!」
閻魔大王の怒りがついに爆発した。
「ここまで好き勝手にしておいて、協力しないのであれば、我ら地獄は天界に対して正式に宣戦布告をする!!」
この瞬間、天界の空気が凍りついた。
「え、マジで?」 「地獄って戦争とかするの?」 「いや、マズくないか?」
神々の顔色が変わり始めた頃、ちょうど休暇中だったゼウスが急遽戻ってきた。
「お前ら、今度は何をやらかした?」 「ゼウス!地獄がマジギレしてる…」 「だから言っただろ!?いい加減にしろと!!」
ゼウスは雷を纏いながら怒りに震えたが、そんな中、雷神たち――インドラ、トール、タケミカヅチが呑気な声を上げる。
「雷落とせば終わるっしょ。」
「所詮は地獄だし、ボカーンとやれば片付くぜ!」
「焼き尽くせば問題解決じゃない?」
ゼウスの拳が彼らの頭に炸裂するのは言うまでもなかった。
◆ 予想外の訪問者
事態を収拾すべく、ゼウスと閻魔大王は緊急会議を開いた。
しかし、打開策は見つからず、2人は頭を抱えたままうなだれていた。
その時――
「おやおや、思春期ですかな?」
不意に会議室の扉が開かれ、光り輝く存在が現れた。
その場にいた全員が息を呑んだ。
その微笑は静かに、しかし全てを見透かすように輝いていた。
「さて、この者たちに再戦の場を設けてあげるのが最善でしょう。」
こうして、第三戦が決定された。
◆ 銀座キャバクラ特設ステージ:大和撫子編
再び銀座のキャバクラに舞台が整えられた。
しかし、今回のクレオパトラと楊貴妃は違った。
彼女たちは着物姿でしとやかに座っていた。
これには神々も驚愕した。
「えっ、なんか雰囲気違わない?」 「し、しとやかになってる…?」 「恐るべし、吉田松陰の矯正力…!」
だが、今回の相手は、色仕掛けでもなく、攘夷でもなく――
例の「光り輝く者」だった。
神々は固唾を飲んで見守る。
◆ そして1時間後…
キャバクラの扉が開き、
そこには――2人の尼僧がいた。
「クレオパトラと楊貴妃が尼になってるーーーッ!!」
天界と地獄の全員が仰天した。
静かに手を合わせた2人は、穏やかに語り始めた。
「私たちは、生前、時代の激流に身を置き、己の弱さに翻弄され、哀れな最期を迎えました。」
「死して尚、煩悩に支配され、争いの業火に身を焦がしておりました。」
「しかし、あるお方のおかげで、ようやく目が覚めました。」
「これからは、その導きに従い、涅槃の道を歩みます。」
その時、神々の視線がゆっくりと動き――
「光り輝く客」の正体が明らかになった。
そこにいたのは、釈迦だった。
一同、息を呑んだ。
「釈迦様…!!」
微笑を浮かべ、静かに合掌する釈迦。
そして穏やかに語る。
◆ 釈迦の慈悲
「皆様、この2人は、これから私と共に涅槃に参ります。救えぬ魂を救ってこその慈悲でございます。」
「彼女たちもまた、抗えぬ運命に翻弄され、心を廃れさせ、煩悩の虜となった哀れな者たち…。」
「だが、煩悩は、己の心を知ることでしか断つことはできません。」
釈迦は、目を細めながら、2人を見つめた。
そして、再び全員に向き直る。
「各々方には、この釈迦に免じて、今まで彼女たちが犯した狼藉を、水に流していただければ幸いです。」
すると、ゼウスが一歩前に進み、静かに言った。
「滅相もない。我々こそ、学ばせていただいた。」
閻魔大王もまた、神妙な面持ちで頷く。
「彼女たちが、このような道を選んだことは、我々にとっても意義深いことだ…。」
釈迦は微笑し、ゆっくりと手を振った。
すると、地獄の混乱で荒れ果てた大地が、瞬く間に世にも美しい華々で覆われた。
神々と獄卒たちは、その奇跡にひれ伏した。
そして、釈迦はクレオパトラと楊貴妃を連れ、光る雲に乗り、涅槃へと旅立っていった。
◆ ただ一人、嘆く閻魔
誰もが、釈迦の神通力と慈悲に感嘆していた。
……ただ一人、閻魔大王を除いて。
「……これでは、地獄にならん……。」
◆ エピローグ:反省しない神々
さすがの神々も今回ばかりは神妙な面持ちになった――
……かと思いきや。
「さすがに今回はやりすぎたな。」
「そうだなぁ。」
「ゼウス、すごい怒ってたよなぁ。」
「そうだなぁ。」
「釈迦、水に流すって言ってたよなぁ。」
「そうだなぁ。」
「……じゃあ、次は何やる?」
神々の遊びは終わらない。