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エピソード2 いきなり大ピンチ(自業自得)

 そんなわけで、前世の記憶を取り戻してから10年。15歳になった私。

 ゲームのはじまり、入学式である。


 第二王子様とヒロインは入学式で出会い運命的な恋に落ちる。

 ヒロインの純真な姿に、婚約者がいながらも恋に落ちていくのを止められない王子様。

 背徳心に身を焼かれそうになる王子様がまたかっこよかったのを覚えている。

 あのキャラデザ、好きだったな。

 

 ん? あれ、何か、ひっかかるような……?

 婚約者がいながらも……?


「いなあああああああああいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」


 第二王子様、婚約者いない問題!

 私が婚約者になるのを全力回避したら、なぜか第二王子の婚約者が空白のままだった。

 まさかこれが乙女ゲー転生の『強制力』というものかと戦慄した日もあったけど、そのうち何とかなると超ポジティブシンキングをしていたせいですっかり忘れていた。

 まずいな、これ前提が壊れてる。


 もしかして、婚約者になってないと、ゲーム始まらない……とか?

 もう今からやり直しとか無理よね?

 これからお父様にお願いして第二王子と無理やり婚約してくるってのは、もっと無理よね?


 うああああ! やらかしたあぁぁぁぁぁっ!


 頭を抱えて奇声を上げて、頭の中では高速で思考を巡らすが、よい解決方法など見つからない。

 

 「うふふふ、ふふふ、ふふふ。」

 

 これはもう、どうしようもない、わ。

 悪役令嬢よろしく高笑いを上げてもよかったけれど、不気味な笑いを漏らして、自分を落ち着ける。

 抱えていた手を降ろして、手櫛で乱れた髪を整えてっと。


 よし! ヒロインには近づかない。王子様にも近づかない。他の攻略キャラにもライバルキャラにも近づかない。

 オールスルーで学園生活を終えましょう。そうしましょう。


 ……でもやっぱり、今からでも婚約、間に合うかしら? ヒロインと第二王子が恋に落ちるためには王子に婚約者が必要かもしれないし。

 関わらないと決めたけれど、心は揺れまくっている。

 攻略キャラは第二王子だけじゃないのはわかっているけど、第二王子のシナリオ好きなんだもん。

 それに第二王子ルートなら断罪されることなくヒロインに助けてもらえるもんね、イザベルは。

 

 第二王子以外の脳筋と腹黒ルートのイザベルって……、あれ? どうなったんだっけ? そもそも出てきた? 登場はしてたし、ヒロインいじめをしていた気がする。

 でも、最後どうなったんだっけ? エンディングが思い出せない。

 第二王子のルートは事細かに思い出せるのに、なぜかそれ以外の攻略対象のルートがおぼろげで、最後にいたってはそこだけ抜け落ちたように思い出すことができないことに今気づいた。


 ……どうしよう。

 何でゲームが開始するその日になって、気づくんだろう。

 私、迂闊過ぎない? 対策万全で入学式を迎えるのが正しい悪役令嬢であるべきだった。


 イザベルに転生したと気づいた瞬間大喜びしたから、どんなルートでも断罪されるようなことはない! と思いたいけど……この迂闊さ、王子ルートのことしか考えていなかっただけかもしれない。そうしたら別ルートの場合に断罪される可能性もあるかも?

 

 私、駄目駄目すぎない?

 え、前世の記憶だと、転生悪役令嬢ってもっと巧妙に断罪回避にあらゆる手段を講じていた気がする。

 ……今日、ゲーム開始の入学式の日にあれこれ気づいて、どうにかなる?


 考えろ。私が覚えているのは第二王子ルートのみだから、何がなんでも第二王子ルートに乗せなければならない。

 だから二人が恋に落ちるように応援するべきよね。

 第二王子が恋に落ちるのに「背徳感」というスパイスが必要っぽいから、やっぱり婚約者は必要か。……こう考えると第二王子って最悪だな。まあ、あのはとこはあんまり性格いいとは言えないけど。

 

 とにかく、結論。

 第二王子ルートに乗せるため、今日家に帰ったら第二王子の婚約者になろう。無理やりにでも。

 だから今日は何のイベントも起こさないよう大人しく目立たないように終わらせることにしよう。


 とりあえず、それでいこう。 拳を握りしめ、気合を入れる。

 頑張ってヒロインと第二王子の当て馬になろう。……ちょっと冷静に考えると、どうなのそれって思うけど。考えちゃ駄目か。

 とにかく入学式だ。入学式に行かなくちゃ。

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