第一章 第七話 サクヤの過去。
いつまで続くのかな...いつまで続けられるのかな...
私は...いつまでこんなことを....パパ....ママ.......
私は、森の深く。ひっそりと立つ、小さな家に住んでいる普通の女の子だった。
パパとママは私に沢山の事を教えてくれた。パパには、魔法の使い方を。ママには、愛を。
「サクヤ。いい?この世界には沢山の魔法があるの。人の数ほど、その種類はあるとされているわ。その場所や気候に応じて、覚える魔法は変わるとされているけど、私はそうじゃないと思うの。」
「パパもそう思うぞ!サクヤの魔法は、植物を生み出す!それは、サクヤ自身の優しさが生んだ形だと思うぞ!」
「やさしい?」
「あぁ!サクヤは優しいし!可愛い!こんないい子が生まれてパパ嬉しいぞぉ!!!」
「あなた?夜なんだからそんな大きな声ださないの。」
「あぁ...すまん。ちょっと上がってしまった。」
「サクヤ。あなたはこれから先、長い人生。色んな人に出会うと思うわ。人は1人では生きていけないの。サクヤは、そのサクヤだけの力で人を助けなさい。」
それが、お父さんとお母さんの最後の会話だった。
朝、目が覚めた私は、ママとパパにおはようの挨拶をしにリビングに向かった。ただしたかっただけなのに。その光景に目を疑った。
「ぱぱ......?」
「サクヤ!来ちゃダメ!!!」
「なんだ。まだいるじゃねぇか?」
リビングには、知らない男が2人いる。刃物を持っており、その刃には、血が付着していた。
下に倒れている父。その周辺は、血の池ができあがっており、ピクリとも動かない。私はまだ理解出来ていなかった。自分の父が死んでいるということに。
「どうします?このガキ?」
「コイツは、純血じゃねぇ。殺していいぞ。」
その言葉を聞いた母は、ナイフを手に取り男の目を突き刺した。
「サクヤ逃げなさい!!!」
「この!畜生がぁ!!!」
私の目の前に母の頭が転がってきた。私が覚えているのは、ここまでだ。父と母の死にショックで倒れ、気絶したのだろう。
私が目を覚ますとそこは、牢屋の中だった。辺りには私と同じくらいの子供が沢山いた。
「起きたか。ピンク色。」
「ここは?どこ?パパとママは?」
今いる場所は、奴隷売買をする場所だと、男の子は言った。その子は、獣人。動物のような耳と尻尾が生えており、パパがいつも寝る前に読み聞かせてくれた、お話の中に出てくる人に似ていた。
ここでの生活は、酷いもんじゃない。地獄だった。腐った残飯のようなご飯を毎日食べ、お腹を下すのもあたりまえ。病気にかかっても死ぬまで放置。奴隷になるための教育だけが許された。
私が覚えたのは、男を喜ばせる方法。男は、様々な方法で欲を満たしていくことがわかった。首を絞められたり、縄で締め付けられたり、魔法で焼かれたり、叩かれたり。時には、肉を切られたりもした。しかし、終われば全て傷は感知。こんな日々を毎日過ごした。
「もうやだよぉ...しにたいよ....」
「サクヤ。辛くても生きる意味を失っちゃダメだ。いつか、必ずここから出れる。僕は、夢を叶えるまで絶対に死ねない。だからサクヤも諦めるな!」
私はその子の言葉通り、生きることを諦めなかった。
ある時、1人の男がやってきた。その日私は、牢屋から出れた。買い取られたのだ。この男に。神様に見えた。くらい闇の中に捕らわれていた私を光に導いてくれた神様だと。
しかし、現実は違った...
その男に連れていかれた場所には、屈強な男が数十人いた。そして男は言った。
「お前らにご褒美だ。この女を好きに使え。」
そう、私は男達の欲を満たす存在でしかなかったのだ。男達は、我先にと襲いかかってくる。
何人目だろう...早く終わらないかな...このまま私の人生も終わればいいのに。
もう全て慣れてしまった。服を脱げと言われれば脱ぐし。殴らせろと言われれば、その身をサンドバッグのように貸した。
(パパ...ママ...私人を助けてるよ。ちゃんとやってるよ。これでいいんだよね。)
私は人ではなく、道具なのだ。言われたことはなんでもする道具。あの男に言われたことは全部した。
クエストに参加して、人を殺し、戦利品を盗む。
ダンジョンでボスを倒させ、漁夫の利をする。どんな行いもしてきた私にできないことは、ないと思っていた。ショウさんに会うまでは。
あの人は言ってくれた。
「親切。」 「頼ってる。」
そんなこと今まで言われたこと無かった。
それに...私に「逃げろ」とあなたは、言った。嬉しかった。
「俺は人を助けるほど...優しくない。」
不器用なのですね...あなたは...
こんな気持ちになったのは、いつぶりだろう。
私は、あなたとの力になりたいと思った。
命令では、ボス部屋で隙を伺い、ショウさんを殺せと伝えられていた。しかし、こんな人。殺せるわけない。
殺せるはずがなかったのに....私は....あなたを....殺めてしまった。
涙が止まらなかった。心を動かしてくれた人をこの手で殺してしまったから。
...うっ...うぅ...なんでっ...なんでいつも...
誰かがサクヤの涙をそっと撫でるように拭き取った。
「なんで泣いてるんだ。」
目を疑った。自分の刃が彼の心臓を貫通しているはずなのに、ショウが自分の涙を拭き取った。
「お前を泣かせたのは誰だ。」
ショウは、私の口角を、ムニっと両手で上げた。
「うん。こっちの方がいい。こんな泣き顔が似合わない人、ているんだな。綺麗だ。」
私は、綺麗という言葉と同時に確かにショウがここにいることに安堵し、涙が止まらなかった。事態が終息した訳ではなかったが、なぜだがショウに安心感を覚える。
彼が...神様に見えたのだ。




