第一章 第四話 初めてのクエスト
ショウは小さな村で、現世に帰るための手がかりを探していた。バハムを人前に晒す訳にもいかず、情報収集の間、服の中で待っていてもらった。
やっぱりダメか...「この世界とは違う、もう1つ世界(俺のいた世界)があって、そこに行く方法を知りたい。」なんて...聞いたところで、普通の人には変人扱いが当然か。 無理もない。俺もこの異世界に来るまで存在をほぼ否定していた。興味が無かったし。今でもまだ、信じきれていない。
はぁ...これじゃ、帰る方法以前の問題だ。「俺は転生者なんですぅ〜」なんて他言でもしたら、後々面倒くさくなりそうだし。バハムにも迷惑がかかりそうだ。
そういえば、村の人達なぜか警戒していたな。
あ...これか。ここに来るまで、共に行動をした錆びた刀。鞘がないから、刃が剥き出し。そりゃ警戒されるよな。しかし、鞘を買うお金すら持っておらず、そもそもこの世界に来てからお金に触れていない。装備くらいはそろそろ整えたいところだ。何よりもふかふかのベッドで寝たい。
この錆びた刀。元の持ち主がこの世界にいないんだ
武器が買えるまで少し付き合ってもらうぞ?
それにしても...バハムを封印していた物がどうして刀?日本のような文化がこの世界にあるということなのか?分からないことが多すぎる。
ん?あの看板はなんだ?紙が沢山貼られているように見える。それに...やたらと重い装備を付けている者達が複数人いる。冒険者か?
街の中心にある看板に近づき、目を通す。そこには、冒険者向け案内という紙が多く貼ってあった。1つは、国同士の戦の報告について。もう1つは、各地の災害や、魔物の危険地域などだ。そしてクエスト。依頼を引き受けて達成後、報酬を得られるシステムだ。貼られている紙を取り、依頼者の元へと向かいクエストスタートだ。中にはアイテムの納品クエストもあり、既に持っている場合はそのアイテムを依頼者に届ければ、そこでクエスト完了となる。
俺はRPGゲームをよくやっていたから、こういう知識はあるんだよな。
んん...どれにしよう。まぁ最初だし... これだな。
人生初めてのクエストは、ダンジョン攻略だ。報酬額もそこそこ多い。それに、自分の力がどれだけ通用するのか、確認したい。
俺は村を後にし、ダンジョンへと向かった。2時間ほどだろうか、だいぶ歩いている。
あのさ。すごく気まずい。とても気まずい。
クエストボードに集まっていた重装備の人達と同じ道を歩いてる。数時間も俺の前にいる。ストーカーみたいになっている。
(ふむ。気まずいのだな。声をかけろ。一緒のパーティーに参加すればいいだろう。)
(バハムそれやめてくれ。気持ちが悪い。)
頭の中に直接バハムの声が流れてくる。これは念話だ。互いの魔素を共鳴させることで会話ができる。簡単に言えばラジオの周波数を合わせるのと一緒だ。慣れるまで時間がかかった。最初はズキズキして痛いし、魔素酔いを何度も起こしたからだ。体内にある魔素の量が減ったり、循環の速度が一定を下回ることで起こる危険信号のようなものだ。症状は現世でいう、立ちくらみに近い。だが、意識が無くなるくらい辛い。
目的はダンジョン攻略か。報酬金...山分けして欲しいけど、見た感じ5人パーティーだもんな。額は多いが、分ければ減る。恐らく俺に、分け前はないだろう。
気づけばダンジョンに着いていた。洞窟の中にある大きな扉の周囲には、同じくダンジョン攻略の為に集まった冒険者がちらほらいた。
「あのぉ...すみません。」
後ろから肩を叩かれ、振り向くとそこには桃色の髪色をした女性が立っていた。




