第一章 第一話 竜と刀
ここは、どこだ?(2回目)
転生したのか?俺。実感ないな。ここは洞窟の中?かな。花が沢山咲いてる。
ん?水の音?川がある。なんか...現世の水より綺麗に見える。伊豆諸島にある、入浴剤をぶちまけたような色のそれだ。ちなみに褒めてる。ちゃんとね。
そういや、やけに喉が渇いてる。転生後は、喉くらい潤して欲しかった。
川に近づき、水を口に含もうとしたが、川に映る自分の姿を見て、違和感があった。なんだろうこの違和感。
「つか苦っ!!?何だこの水!青臭いし...不味い。」
なんか青汁の味がする。凄く舌に残る。嫌な味だ。
そんなことはどうでもいい。今は少し考えよう。
まずここは、どこなのだろう。見た感じ洞窟のようだ。けど、洞窟の割には明るい。そしてしばらく歩き回ったが...ここ以外に繋がる道がない。自然にできたものなのか。ここは...
1人...ぼっちだな。はぁ...
「おい...俺を...元の世界に帰らせろぉぉぉ!...なんて事を言ってみる。それで帰れるわけもないけど、なんか...スッキリした。」
「おい小僧。うるさいぞ。我の眠りを妨げるな。」
聞かれていた...凄く恥ずかしい...
「誰?盗み聞きなんて趣味悪いぞ。」
「盗み聞きだと?貴様が勝手に来て、勝手に叫んだのだろう?」
転生直後からすぐ近くにいたようで、声の聞こえる元へ行くとそこには、鞘がない錆びた刀が地面に突き刺さっていた。
「刀が、喋ったのか?これが...異世界か。」
「我は、刀では無いわ!この地に封印されし竜だ。」
話に聞くと今から60年前にここに封印されたドラゴンらしい。おとぎばなしに出てくるアレだ。だが、目の前にいるのは刀だ。説得力に欠けていた。
「ほんとにドラゴンなのか?てか俺転生者なんだけど。帰る方法知らない?」
「貴様...距離感壊れてないか?ん、転生者と言ったか?」
「うん。さっきここに飛ばされた。そんなことより帰る方法知らない?」
「そんなこと...で済ますのか。...まるであの男のようだ。」
「あの男?転生者か?帰る方法は?」
「ああぁ、我をここに封印した男だ。名はジェクト。」
ジェクトは転生後、ドラゴンと契約し、現世に帰る為の探求の旅に出た。その後、このダンジョン最下層に封印したそうだ。その男も俺と同じく出会った時から帰ることを望んでいたという。封印したということは、元の世界に帰れたのだろうと話してくれた。
「んで?帰る方法は?」
「貴様しつこいな!説明するから一旦黙れ。」
「簡潔に伝えよう。我にも分からん。道中の思い出は全て覚えている。しかし、貴様のいた世界に帰る方法になったとは思えないのだ。」
目の前の刀が嘘をついてるとは思えなかった。その証拠に話の最後「またジェクトに会いたいと言った。」その人物に会えば何かわかるだろうけど、元いた世界に帰ってしまった為、会うことすらできない。どーしたものか。
しかし困ったな。早く帰れると思ったのだが、なかなかうまくいかないものだ。そういや転生する、て分かってたらなろう系とはどういう意味なのか、生前に聞いてたよなぁ。基礎知識が何もない。参った。
「そうだ。じゃあ俺と契約、てやつしてよ。」
「!?な、なぜ我!がき、きき...貴様なんかと!!」
「考えてみろよ。お互い得する話だと思うんだ。俺は、元の世界に帰りたい。お前は、ジェクト、てやつに会いたい。だろ?一緒に行こう。俺の世界に。」
「つか、この世界に来てからまだ初日なんだよ。行く宛もないし。手貸してくれ。つかどこだよここ。」
刀は、ジェクトとの契約時の会話を思い出した。目の前にいる白髪の男と似た口振りだった。
「そうだ!なら俺と契約してくれよ!」
「考えればわかるだろ?お互い得する話なんだよぉ。」
「つかここどこだ?」
懐かしい。姿は違えど、まるでジェクトを見ているみたいだ。初対面だが、この男は信用できる。そう感じる。彼に近い何かを持っているのだろう。
「よかろう。契約だ。」
「貴様...名をなんと言う。」
「そういえば名前言ってなかったな。俺の名前は...えっと...ショウ。お前は?」
「我は光を司る獣。神獣の一体。名は無い。好きに呼ぶがいい。」
「神獣か...昔父さんとやっていたゲームに出てきたな。」
幼い頃RPGゲーム「最後の物語」をよく遊んでいた。ナンバリングタイトルで今もなお、続編が出ているが、その中に神獣という場に出すだけで戦況を覆すモンスターがいる。その中の人気モンスターがバハムートと言う。父さんは、バハムートが好きで名前を付けるほどだった。安直だがなぜかしっくり来たのを今でも覚えている。
その名は...
「バハム...バハム! お前の名はバハムだ。」
「ほうぅ。その名前...いいだろう!気に入った!」
契約をする為に錆びた刀を引き抜き、封印をとく、光の柱が目の前に現れ、中から巨大なドラゴンが顕現した。その大きさはとてつもなく、足の爪先の先端ににいたショウは、その大きさ故、バハムートの顔を見上げていた。翼が折り畳まれていたが、身体より大きいのは、一目瞭然だ。物凄い貫禄を感じる。
「ショウ我に捕まれ...一気に外に出るぞ。」
「は?どうやって...ここ以外外に出る通路ないけど。」
「いいから。早くしろ。」
バハムートは、無理やりショウをつまみ、胸にしがみつかせる。翼を広げ、今にも飛び立とうとしていた。しかし、上は天井。外に出ると言っていたが、どうやって。
「ギャオオオォォオオオン!!!!」
バハムは、咆哮した後、口に光を凝縮した。もしやとは思ったがこの竜、天井にデカイ穴を空けるみたいだ。
口に溜まった光を全て空へ解き放つ。凄まじい威力だ。地上までのルートが一瞬で、できあがった。太陽の光がここ、最下層まで届いていたが、バハムの光線の光が強すぎて眩しくなかった。
「しっかり我に掴まるのだぞ。時間が無いからな。」
「ちょっとまて!まだじょうきょぉぉお!!!?」
バハムは答える暇を与えなかった。俺はとんでもない速度で上に飛んでいるのがわかる。頭が上がらない。Gがかかっているのだ。この状況立ち上がることはまず不可能。
穴がみるみる塞がっていく。バハムの速度が更に上がる。体が壊れそうだ。
やっとの思いで外へ出た。一気に体が軽くなり、浮いているようだった。いや、浮いている。
俺は空を飛んでいた。何だ...この景色。美しすぎる...
ショウの目には、現世ではありえない。人間に汚されていない世界が広がっていた。植物も生き物も沢山いる。
「凄いな...この世界...」
「ショウよ。この世界は広い。こんなものは、その1部に過ぎないぞ?」
「世界は広い...か。ん、あれ何?」
どーみても俺のいた世界にはいなかった生き物だ。ライオンと牛と蛇?改造されたのか?気持ち悪い見た目してるな。
「そうか、ショウは転生者だったな。教えることが多そうだ。」
「あぁ、この世界のこと教えてくれ。帰る為にな。」




