プロローグ 狭間の世界。
ここは...どこだろう...なんで今...湖の上に立っているのだろうか。この景色どこかで。そうだ、小さい頃ネットで見た写真だ。その場所の名はウユニ塩湖。家族でいつか行きたいとか話してた、け。四方八方終わりが無い湖。死んだ時は、こんな美しい場所に行きたいな、て母さんは言ってた、け。まったく...不謹慎だよ母さんw
きっとここが天国なんだね。そっかぁ、死んだんだ...俺...
「あの2人助けたし、バンバンザイだな!そう、やることは...やった...んだ。」
納得いくはずがなかった。誰かも分からない2人を助けた代償が自分の死。それでけならまだいい。母と妹を残してきてしまったことが、もう一つの代償だからだ。母は、重い病に犯され植物人間。妹と兄である俺が、お金を稼いで生活し、母の治療費を稼いでいた。俺がいなくなる。その影響は考えればわかることだ。
毎年訪れる母の誕生日には、大好物のチョコケーキを病室に持っていくことにしている。なぜかそのケーキが手元にあった。
「天国に持って来ちゃったとは...食べない...とな...」
ケーキを一口食べる。しかし、甘くない。そして体に力が入りガクガクと震える。
「あれ、おかしいな。このケーキしょっぱいな...あはは...」
涙が溢れていた。拭いても拭いても止まらない。悔しかった。あの時、素直に母と妹がいる、病室に向かっていたのなら...考えれば考えるほど拳に力が入る。
「あのぉ...話しかけてもいいかな?」
男は、いつの間にか目の前にいた。人間に見えるが、何かが違う。その謎の男は自らを神と名乗った。
「気づいてると思うけど。君は死にました。はい。」
「わかる。いかにも、て所だもんな。ここ。天国的なやつか?」
「んん〜天国では、ないかなぁ。地獄でもない。その間の世界だね。ここで君の行き先を決める。でも通常、ここに来ることは、ほとんどないんだよね。君は...面白い人間、てことだね。」
どうやら俺は、天国でも地獄でもないどこかへ行くらしい。そこはおとぎばなしによく出てくるような異世界という所だ。生前、友達がよく言っていた転生とか、勇者とか、なろう系というやつなのだろう。けど、正直興味がない。記憶を持って生まれ変わるなら元いた場所に返してほしい。
「帰ることは、できないのか?」
「珍しい人もいるもんだ。皆喜ぶんだけどね。だから選ばれたのかな?」
「、で?できないのか?」
「答えは、NOだね。世界の理に反する。だが、君は良き行いをした。だからこそ2度目の人生を与える。」
「2度目の人生...いや、いらない。家族に会えないなら俺の人生は終わったも同然。」
「君は物事をもっとよく考えるべきだ。君を送る世界には魔法というものがある。使い方によっては、可能かもしれないよ?」
魔法?か...正直まだ実感が湧かない。だけど、少しでも家族に会える可能性があるのなら。
...俺は転生する。
そして俺の、現実世界に帰る為の探究の旅が始まることとなった。




