襲来
それから、色んな話をしながらゆっくり帰宅していると、突如反対の道から騒がしい声が聞こえてきた。
「に、逃げろ!」「な、なんなんだよあいつら!」「おい!早く警備呼んでこい!」
フィンは怪訝そうにみてみると、いつもの市場から焦ったように逃げ惑う人の姿がみえ、その中心に首輪をつけた魔物が2匹と、間を挟まれるように白い帽子にスーツを着て目には眼帯、手には杖状のものを持った男がいることが確認できた。
なにやらその男が杖を持つ反対側の手を振り下ろすと、それと同時にその魔物達は暴れ出した。
フィンは初対面のはずの男に何処か違和感を感じた。
ーあの男何処か見覚えがあるのだが一体何処で
そんなことを考えていると、ある女の人がその男たちの前に勇ましく立ち塞がった。
「いい加減にしてくれないかい!あんたらのせいでこっちはいい迷惑してんだ!とっとと失せな!」
その立ち塞がった女性はあのいつも親切にしてくれるおばさんだった。
「なんだ、この知能に欠けたばばぁは、失せろと言われましてもね、こっちはただある女を探しているだけなんですよ。知ってるんですよね、でしたら早く口割ってくれませんかね」
男はどうやら''その女’’を探しに襲撃していたようだ。
「だから、そんな女知らないって言ってるんだい!もし仮にそんな女がいたらとっとと渡しちまってるよ!あたしりゃはここでただ商売したいだけなんだよ!」
「あー、そうですか。あくまで死ぬまで口を割らない気ですか。なるほど、わかりました。ではそのお望み通りに死んでもらいましょう!」
そう男が叫ぶと手を振り下ろし、魔物たちがおばさん目がけて襲いかかった。
不味い!そう思うとフィンは手に持っていたものを下ろし、フェイスを置いて瞬足でおばさんへ駆けつけた。
魔物が拳を地面に叩きつけるとおばさんの悲鳴と共に砂埃が舞った。
砂埃が舞い落ちると男は殺ったかと思いニヤけたがそこにはおばさんの姿がいなくなっていた。
「き、消えた?い、いえこれは」
男は目線をやるとその目先にはおばさんを大事そうに抱え睨みつけているフィンの姿があった。
「おい、いい加減にしろよおまえ」
暴力で解決しようとする男に怒りを覚えフィンは言い放つ。
「おや、おやおや貴方は」
男はフィンの怒りをものともせずまじまじとみてきた。
「そうですか、そうですか。貴方生きていたのですね、こんなところに身を隠していたとは。これは中々面白いことになりましたね」
フィンの素性を知っているかのように意味深なことを言う男はニヤニヤしていた。
「おまえ、何者だ。私のことを何か知っているのか」
フィンはずっとニヤニヤしている男に気味悪さを感じ問いかけるがなにも答えが返ってこなかった。
フィンはいつ男が攻撃をしてくるかわからなく身構えていると背後から名前を呼ぶ声がした。
「フィンさん!待ってください」
フェイスが先程フィンが持っていた荷物を抱え息を切らしながら走り近寄ってきた。
「フェイス!近寄っちゃダメだ!」
その声に驚いたのかフェイスは足を止めたが一歩遅く男は目を丸くし反応した。
「おや!おやおや!!いやいや、まさか、あーなるほど。そうでしたかお二人が一緒にいるとはこれは運命ですねぇ!」
男は興奮気味に嬉しそうにしていた。
「これは手間が省けてラッキーでしたよ。では、早速消えてもらいましょう!」
っと男がフィン達2人に魔物をけしかけようとし、フィンが構えた瞬間街の衛兵達がここぞとばかりにやってきた。
「おい!そこのお前!なにをしている!」
「おっと、余計な邪魔が入ってしまったようですね、仕方がありません。スマートにことを運びたいですしここは退くとしましょう。それに、美味しいものはあとにとっておいた方がさらに美味しくなりますしね。ではまた」
男は魔物の肩に乗るやクククと笑いながらその場から逃げようとする。
「クソ!逃すか!」
名も名乗らないで逃げ出す男に、側にあった石を投げつけるがバリアみたいなもので弾き返され砕け散ってしまい逃してしまった。
ーーー
「おばちゃん、大丈夫?怪我はしてない?」
フィンは逃げた男に若干苛立ちを覚えたがすぐに冷静になり、おばちゃんの元へ駆け寄る。
「あー、あんたのおかげでなんとか大怪我せずに済んだよ。ありがとね」
おばちゃんは若干の擦り傷を負ったのか隠すように手のひらで覆っていた。とりあえず、大怪我せずに済んだことにほっと一息つく。
「フィンさん、大丈夫ですか」
そこに、心配そうな顔でフェイスが近寄ってくる。
「あー、うん。私は大丈夫。フェイスも何も怪我してなくてよかったよ。それより、なんであの普段温厚な魔物が暴れてたんだ」
「そうですね…なんか、苦しそうにしてた。そんな気がします」
確かに、あの男が魔物に命令するたび何処か苦しそうにしてたそんな気もしなくもない。だが今は
「今はそんなこと考えても仕方がないか。とりあえず、ここをなんとかしなくちゃ」
「それでしたら、私も手伝います!」
フェイスはムンッ!っと感じに気合い充分に拳を作る。
「いや、フェイスは危ないだろうし家に戻っていてくれる?」
「えっ!で、でも!わ、私なら大丈夫です!フィンさんもいますし!」
「そうなんだけど…ほ、ほらまたあの男が戻ってきたら次こそ何してくるかわからないし、それにもし何かあったらお母さんも心配するしさ!お母さんのこと守るんでしょ?」
正直猫の手が借りたいほど忙しい気もするが、それよりこれ以上ここにいたら危険だと判断しフェイスも渋々了承する。
そして、1人で帰らせるのも危ないと思い、近くにいた衛兵に家まで護衛して欲しい旨を伝え、フェイスとまた合流すると約束する。
それからどのくらい経っただろうか、辺りはすっかり暗くなってきてしまい、散らかってしまった瓦礫もある程度修復できる程度に完成した。
「ふぅ、まぁこのぐらいかな」
「そうだね、もうこんなに暗いしこのぐらいにしようかね。手伝ってくれてありがとね」
おばちゃんはそう告げるとお礼として色んな種類の果物が入った紙袋を渡してきた。フィンは折角の行為だと遠慮なく受け取る。
「じゃ、私はフェイスとの約束もあるしそろそろ帰るよ」
フィンは颯爽とその場を後にし、約束を守る為フェイスの家に向かうことにした。その瞬間ある考えを浮かんだ。
「そういえば、あの男フェイスをみた瞬間やけに興奮してたが」
そう考えた瞬間。ブワッと血の気が引くような感覚を覚え、嫌な考えが身体中を巡った。なぜ、今まで気がつかなかったのだろうか。今思うと全ての辻褄が合い全速力で向うことにした。
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