訪問
フィンはフェイスに連れられ家に辿り着いた。だが、そこは想像していた以上に家って呼べるようなところではなく穴が空いているのか、屋根に所々藁が引いてあり今にも崩れそうだった。
ー私も大抵人のこと言えるような立場じゃないけど流石にこれは…
フィンは目の当たりにし、ついそんなことを考え呆然としていると、フェイスが恥ずかしそうに顔を赤らめモジモジとしていた。
「す、すみません…こんな家で…まともに人をお呼びできるような家じゃなくて…」
「い、いや。うん、その凄くいいんじゃないかなあはは」
呆然としていたもんだからフェイスの呟きに反応ができず、咄嗟に変な回答をしてしまい気まずい空気になってしまった。
「じゃ、じゃここに立っていても仕方ないのでそ、そのフィンさん中にどうぞ」
「う、うんそれじゃ遠慮なく」
フィンはフェイスに案内されるがままに家の中に入る。だが、そこには目を疑うような光景が広がっていた。中は家の外とは違いしっかり綺麗に整えられており台所も古臭いが埃ひとつなく床も磨かれている。
ーきっとフェイスが綺麗に掃除してるんだろう…
っとフィンは自分の家と見比べ感心した。
だが、当の本人はそんなところではなくすごく焦っている面持ちだった。無理もないだろうそこには病気持ちのお母さんが起き上がり苦しそうに咳をしていたのだから
「お、お母さん!大丈夫!?」
すぐにフェイスはお母さんの元へ駆け寄り背中をさすってあげ静かに寝かせた。
「ケホ…ケホ…ごめんねオイフェ…いつもありがとう…なにもしてあげられなくて本当にごめんね…」
「ううん。そんなことないよ私は大丈夫、それよりもお母さんは安静にしてて」
弱々しくいうお母さんにフェイスは心配かけまいと首を横に振り、言い付けるようにそう言った。
フィンはその様子を見て心の中で思うのだった。
ーもうこのお母さんは寿命が少ない
残念ながらフィンの言う通り、お母さんは食事が喉に通らないのかかなり痩せ細ってしまっていた。
そして、フィンはそれと同時にほんとうに若干だが強い"何か“を感じていた。
そんなことを思っている横でフェイスは少しでもお母さんに食べてもらえるよう料理にとりかかろうとし、食材棚をあけ中身を取り出していく。
食材を並べたところであることに気づいた。
「あっ、卵買うの忘れちゃってた…」
うっかりしていたのか、卵粥にするのに1番大切な卵を買うのを忘れてしまっていたようだ。
「フィンさん、すみません今から買いに行きますのでここで待っていてもらえないでしょうか」
そうフェイスは提案するが、また変な輩に絡まれるんじゃないか心配だっとフィンは拒否をした。
ーまぁ本当は話したこともないお母さんと一緒にいるのは流石に気まづいだけなんだけど
ーーー
「すみません…付き合わせてしまって…」
「ん?あーいや、別にいいよ私が一緒に行きたいって言ったんだからははは…」
ー流石に2人だけだと気まづいということは黙っていることにしよう
そんなこんなでフィンとフェイスは買い物を終え帰ろうとしていた。
「それにしてもよく1人で家事まわしていてほんと頑張ってると思うよ」
「いえいえ、お姉ちゃんはどこか行ったきり戻ってこないですし…それに、元々お母さんはあんなんじゃなかったんです…いつも優しくて美味しい料理作ってくれて風邪なんてひいたことないってぐらい元気で、いっぱい、いっぱい私を幸せにしてくれたんです。それなのにある日を境に段々とあーなってしまって…だから次は私がお母さんの面倒を見てあげる番なんです。幸せをくれたように恩返してあげたいんです」
そういうとどこか悲しげな顔をしつつも、にへらと笑顔を作りフィンにそう告げた。
ーあー、この子はほんと強いなぁ
その笑顔をみたフィンは心の中で自然とそう思うのであった。
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