2人の出会い
この世界は魔王軍により脅かされている。魔王軍それは人ならざる者つまり"魔物“を時に違法に密猟や捕虜し人工的に人を襲わせる者達がいた。そして魔王軍を取り締まる者達も存在しその名を
「ナイト・オブ・スレイヤー」
と呼ばれていた。彼ら彼女らは日々魔王軍の侵攻に怯える市民達を守り危険と隣り合わせのなかで日々活動している。そんな集団の中には生きる伝説と呼ばれていた者達が存在していた。市民を助けた回数、壊滅させた組織は計り知れずみなこの者達がいれば安全だと安心し切っていた。だが、ある日突然その者達は姿を完全に消してしまった。
そんな不安に怯える世界の朝、飛び起きるものがいた。
白髪に目元が特徴的な女性。フィンだ。
「まただ…また同じ夢…」
フィンは荒い息をあげそう呟き手元は手汗が酷く全身も汗まみれだった。
シャワーを浴びることにしたフィンは浴びながら考えていた。
ーあの夢だけは忘れるわけがない。忘れてはいけない…
そう呟くフィンの体には無数の切り傷の跡があり考えれば考えるほどその傷跡は痛んだ。
フィンはシャワーを浴び終えると素早く支度を済ませいつものフードを被り街に出るのだった。
ーーー
フィンは朝ご飯のためにいつもの果物屋の前に来ていた。
「おばちゃんこのリンゴを1つ」
そうおばちゃんに告げる。おばちゃんは見た目は筋肉質の小太りといった感じだが性格がとても穏やかで街の中でもたくさんの人に愛されている。
「はいよ、いつもありがとね。たまには違うもの食べてみたらどうだい?栄養も偏っちまってるだろう」
そう心配してくれるおばちゃんにフィンは
「うん、ありがとう…でもこのリンゴはどのリンゴの中でも格段美味しいんだ」
他の果物もきっと美味しいだろうし決して不味くはないだろうが、このリンゴは思い出がありフィンが路頭に迷っていた時おばちゃんがこのリンゴをくれたのが、それがずっと頭から離れないでいた。
「そうかい。まぁあんたがそう言うなら私は嬉しいよ」
そうおばちゃんは言いながらもこっそり袋の中に別の果物を忍び込ませた。会計をしようとしたところでフィンは気づいた。
「おばちゃん。あいつなにやってるんだ?」
そこにはきょろきょろとしている女の子がいた。
「ん?あーあの子ね時々あーしていらないもの貰いにきてるのさ。ろくな食べ物も食べれないで全く可哀想な話だよ」
そうおばちゃんはフィンに告げフィンはまじまじと女の子を見て既視感を覚えた。それは昨日助けた女の子だった。
「おばちゃん悪いけどリンゴもうひとつ頂戴」
「あんたもしかしてあの子にあげるつもりかい?」
おばちゃんはあんたらしいねと言いながら袋にリンゴを入れた。
もしこれで懐かれてしまったらそれはそれでめんどくさいなと思いながらも先に体が動いてしまったのだから仕方がないと半分諦めフィンは早速女の子の元へ向かった。
「やぁ、また会ったね。ここでなにしてるの?」
フィンはそう女の子に話しかけると、女の子はフィンの方向を向いた瞬間花が咲いたかのような笑顔になった。
「あっ!フィンさん!あっ、いや…その…ご飯をもら、買いにきました」
もらいにきたっと言おうとしたのだろうか。女の子は言葉に詰まる。
「ふーん、じゃさこのリンゴでも食べる?」
フィンは女の子にリンゴを差し出した。女の子は一瞬喜んだが直ぐに困惑するような曖昧な顔になった。
「い、いえ!昨日助けてもらったのにそれでもらうなんて、恐れ多いですぅ…」
女の子はそう言うが体は正直で大きくお腹が鳴った。
「ま、まぁ…じゃ、ちょと付き合ってよ。丁度今日は誰かと一緒に食べたい気分だったんだ」
それをカバーするかのようにフィンは咄嗟に言い訳をし女の子は赤面しながらも受け取るのだった。
ーーー
今日は、昨日のようになると面倒だと考えたフィンは、いつもの裏道をやめ出来るだけ人通りがあるところを探しベンチに腰掛けた。
「昨日はなんであんな薄暗い場所に?」
フィンは昨日なぜあの場所にいたのか気になってしまい問い掛ける。
「そ、それはですね…配達のお手伝いしていたのですが、その時道に迷ってしまい気が付いたらあの場所にいて…」
それで、道を聞こうとしたところ絡まれたって訳か…まぁあるあるだなっとフィンは思う。
「なるほどね。まぁたまたまあの時あの場所に私がいたから良かったけど気を付けないと…」
「はい…本当にフィンさんには感謝してもしきれないです…私ほんと昔からおちょこちょいで…」
シュン…っと小さくなる彼女を見て苦笑いをする。
それから暫くたわいもない会話をしていくうちにフィンは忘れていた大事な事を聞くのを思い出す。
「そういえばさ、まだ君の名前聞いてなかったね」
フィンは思い出し女の子に話しかける。女の子はそのことに気づき、食べていたりんごを途中喉につかえながらも急いで飲み込み口にする。
「ゲホ、ゲホ…す、すみません!すっかり自分のことばかりで名前すら言うの忘れてしまいました!改めまして私の名前はオイフェ、オイフェ・イスカーンと申します。」
そう言い女の子はにこやかに笑った。
オイフェ・イスカーン。彼女はそう言った。見た目はフィンより5つほど年下で、お風呂に入ってないのかぼさぼさ髪の茶髪、目は青く透き通っておりよくよく見るとかなりの美貌の持ち主だ。
「オイフェ・イスカーン良い名前だね。あのさ、どうせならあだ名考えても良い?」
フィンは若干名前が長いなと感じあだ名を考えていいか提案する。
「は、はい!もう全然自由に呼んでください!!」
フィンはなにか呼びやすいあだ名はないかと思案する。
「フェイス。間をとってフェイスってどうかな?」
「フェイス?フェイス!いいですね!凄くかっこいいです!フェイスか〜」
かなり安直だがオイフェはそのあだ名を気に入り何度も嬉しそうに自分のあだ名を言う。
「気に入ってもらってよかったよ、これからよろしくねフェイス。それはそうとフェイスは家族はいるの?」
「は、はい…お母様とお姉様がいます…ですが…お父様は私が生まれる前に死んでしまい…お母様は病気で寝込んでお姉様はどこか行ったきり戻ってこなくって…」
フェイスは、嬉しそうな顔から一瞬で暗い顔になってしまい、フィンはまずいこと聞いたなと後悔した。
「それで家もお母様も守るために働いてはいるのですがどうにかお母様の食べる分のみ入る程度で…なのでこうしてゴミをあさ…要らないものを貰って食い繋いでいるんです…だから、昨日も助けていただいたのにりんごまで貰えるなんて感謝しかありません…本当にありがとうございますフィンさん」
そうフェイスは言い、笑顔でこっちを向いたがその目には薄らと涙が浮かんでいた。
それをみたフィンは切ない気持ちになり何かしてやれないかと考え袋を見てみるといつの間にか袋の中に他の果物が入っていたことに気づいた。これぐらいしかできないがっと思いながらフェイスにその袋を渡そうとするが、フェイスは遠慮気味になかなか受け取ろうとしなかった。フィンはそれでも無理矢理手渡しフェイスは困ったようなけど嬉しいような表情でそれを受け取る。
そんなやり取りをしていく中である感情が生まれた。
(なんでこんな女の子を置いてその姉はとごかに消えてしまったのだろうか)
フィンはその姉に対して若干怒りが込み上げてきたが、同時にふとある事を考えた。
「あのさ、フェイスがもしよければなんだけど家にいかせてもらえないかな」
なにかこの子の力になってあげられないだろうか。そんな事を考え提案してみる。
フェイスはそう告げられると驚きと共に喜びに満ちたような満面の笑顔になった。
「ぜひ!ぜひ来てください!なにもないのですがが…お礼もしたいので!」
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