参上! かたじけない侍 3
パンツイッチョマン(以降、「P1」と表す。): とぅ!
ナレーター(以降、「>」と表す。): 近くに生えている大樹に駆け寄ると、跳躍しスルスルと木登りをするパンツイッチョマン。常人ならざるジャンプ力で――あ、視聴者の皆様は、一気に太い枝に跳びのった、と思われたかも知れませんが、さすがにそこまでジャンプ力はなくて、途中で幹を掴んでよじ登っていましたよ。そのあたりの様子が「スルスル」部分ですね。
>「カッコ悪い」という声が届きましたが、太い木の幹にへばりつくのはかなりの握力ですよ! 試しに、河川敷にまでひとっ走り駆けていって、手ごろな木に取り付いてごらんなさい。……あ、別にその時に半裸になる必要はないですよ。「条件を対等に」「少しでも身軽に」……意外にも、半裸になるべき理由が幾つかあるんですね。でも、警察に職務質問されて、その結果、本番組が有害指定されたら困るので、やっぱり大人しくしてください。
>おっと、職質といえば、パンツイッチョマンも危ないところでした。突然の木登りは、それから逃れるための緊急退避行動でした。いつもは、何らかの体術を披露する時には、「イッチョマン・ナントカ」と言うのに、それがなかったということは、本人はかなり余裕がなかったのでしょう。
>しかし、あのパンツイッチョマンも「警察に手をあげてはいけない」という常識を守るようですね。これはある意味、警察が弱点とさえ言えます。職質されたくなかったら、普通に服を着ればいいのにね。……あ、それじゃ『文明の○○ パンツイッチョマン』が終わっちゃいますね。
>『最終回 さらば、パンツイッチョマン!』とか言って、服を着るだけ。……最勝寺先生! そんな最終回は止めてくださいよー!
>と言っている間に、二人の制服警察官が保育園の面々の近くまでやってきました。パンツイッチョマンは傍目から気付かれないように、枝葉の中に身を隠していますが、……多くの園児が木の下からパンツイッチョマンを見上げているぞ! これでは警察官が下から見上げた時にパンツイッチョマンに気づいてしまう。ただでさえ「どうして半裸なんですか?」と訊かれるでしょうに、今だと「どうして半裸で木に登っているんですか?」と詰問されるに違いない。
銀子先生(以降、「お銀」と表す): ん? セミ、いないねぇ。
>おっと、銀子先生が援護射撃! さりげなく園児たちの行動に理由を付与しています。もう冬の気配が近づいている中、「セミはねえだろ」と思いますが、まあ何も言わないよりましだ。
女性保育士: あ、お巡りさん! あの人です。
>銀子先生の同僚が、ふわふわした口調で忝い侍を指差した。……これもパンツイッチョマンへの援護なのでしょうか? 私たちの知る(勝手な推測)パンツイッチョマンなら、誰かを囮にして自分だけ助かろうとはしないと思うので、たぶん助力とはみなさないでしょうね。……あ、銀子先生も蛇睨みで同僚を見つめています。確かに、窺い知る養老家の家風からも、安易に弱者を犠牲するのは良くない行為のようですね。
>おっと、銀子先生の同僚の方は見ている方向が違うので、銀子先生の蛇睨みに気づきませんでしたが、二人の警察官のうち、年長と思われる方は、その気配に思わず腰の拳銃に手を掛けました。その瞬間、眼差しをふわっと和らげる銀子先生。年長の警察官は急に霧散した殺気を不思議そうにしているが、まさか若い女性からそれが発散されていたとは思えないようで、気のせいだと済ませたみたいです。
若い警察官: 延則さん、こちら。
>年長の警察官へ若い方が声を掛け、示した先にいるのは忝い侍だ。もうほとんど椀に入っていた食べ物を平らげている。
忝い侍(以降、「忝」と表す。): いやあ、やはり米は美味しいのう。今様の米はかように派手でござるが、なかなか味もなかなかでござる。
>言葉遣いが色々おかしいが、満足しているのは伝わってきますね。ちなみに、俵おむすびは白米ではなくふりかけご飯で作っていますので、勘違いもしているようです。
年長の警察官: お食事中のところ、申し訳ありませんが、ちょっとよろしいでしょうか?
>話しかけた先はもちろん忝い侍だ。忝い侍は落としていた視線を上げ、自分を挟むような立ち位置をとった警察官を確認し――
忝: 暫し待たれよ。
>――食べ続けた! しかし、椀の中はほとんど空になっていた。二人の警察官も目配せしただけで少しの間待つ。
忝: ふぅ。……馳走になった。
>食べ終わると、胡座から正座に改めて、両手を合わせる忝い侍。その後、近くの芝草を一本摘み取ると、それをクルリと縦長に丸めて、口元へ。ほほう、これは爪楊枝ですね。草楊枝と言った方がいいのかもしれません。それで、しばし口腔内の掃除をした後、ぷっと吐き捨て、もう一本草楊枝を作って咥えます。それからようやく、いったん一旦脇に置いていた刀を突いて立ち上がる。もぞもぞと腰帯に差し直す刀に、当然警察官も警戒を示す。
年長の警察官: その前に、そちらの刀を検めさせてもらっていいですか?
>敬語の体を取っていたが、その声は硬く威圧的でもあった。その言葉を向けられた忝い侍の目が細くなり、危険な光を帯びる。
忝: 良かろう。
>忝い侍が柄に手を掛けると、二人の警察官は慌てて距離を取る。
>忝い侍が鼻息を吹くと、表情が和らいだ。……あ、表層思念にアクセスできますね。えーと、「その気があらば、斬れていた」だそうです。
>どうやら、警察官の反応は、忝い侍からすると、間合いが開き切れていないか、動きが遅すぎた。あるいは、その両方だったようです。……確かに、刀の長さで考えると当たらないスペースはあるようですが、踏み込みを考えると不十分な気がします。返す刀でもう一人、というイメージまで湧いていたかもしれません。
>警察官の二人が無能というより、時代的な問題でしょう。現代では抜刀術に長けた侍なんかには普通、遭遇しませんからね。
>なんにせよ、忝い侍にとっては、興醒めとなったようで、緊張が緩和されて良かったです。
若い警察官: ゆっくりと!
>警告に近い強さをはらんだ声に、忝い侍薄ら笑いすら浮かべています。きっと「だから、その警告が遅いのだ」と思っているのでしょう。忝い侍が左手の親指で、鍔を押して刀身を少し晒すと、右手で柄を持ち、ゆっくりと刀を抜く。
>忝い侍が正眼に構えた刀身は、くすんだ黄土色をしていた。パンツイッチョマンが指摘したように、竹の節は確認できませんが、市販の竹刀もよく見ないとわからないですからね。
忝: ご覧あれ。かように、この刀は竹光でござる。
>二人の警察官は、とりあえず真剣ではないと確認できたようで、小さく頷く。その直後、忝い侍は手早く竹光を鞘に納めてしまう。
年長の警察官: もう一度、鞘と合わせて調べてもいいですか?
>言いながら警察官は、片手を出して引き渡すよう示す。……なるほど。鞘の中に危険物が隠されている可能性ですね。例えば、鞘が太ければ、中に白刃と竹刃の二本を仕込むことが可能です。それぞれをどう切り替えるかの工夫は要りますが、一見無害に見せた凶器を作ることは……あ、こういう情報は悪用されかねないから控えるようディレクターから注意を受けました。今後、気を付けますね。
忝: 竹光といえども、刀は武士の魂。手放すわけにはいかぬ。
>淡々とした語り口だったが、明確な拒否の意思表示。二人の警察官の表情が硬くなります。……まあ、面倒臭い奴だ、と思っているのは間違いありません。ついでに、鼻にも臭い奴だ、と思っているかもしれませんね。
年長の警察官: ……では、場所を変えてお話をお聞きしたいので、ご同行願えますか?
>お、任意同行というやつですね。子供たちの前で、やりとりするのはよくないという配慮なのでしょう。時に暴れ出す輩もいるでしょうから、市民、とりわけ守るべき子供たちを危険から遠ざけるという観点では正しいと思います。
>しかし、任意同行は意に任せると言うわりには、拒否しても同じ提案が繰り返される恐ろしい交渉術です。拒否しても、結局根負けして――
忝: 断る。
>――おっと、忝い侍、また明確に拒否した! これは「任意同行」「だが、断る」のループ会話が続く気配。やっぱり、音楽鑑賞のコーナーに突入する定めなのか!?
忝: ぬしらの詮議には、もう飽きた。
>ちらりと視線を通わせる二人の警察官。これはおそらく「やっぱり、こいつは常習者」という確認でしょう。忝い侍、やはり既に何度か職務質問を受けているようです。
年長の警察官: では、確認ということでもう一度……。
>やはり簡単に「そうですねぇ~。ではまた~」と立ち去りませんね。私なんか、いつも放送時間終了が迫ったら、走って逃げるように閉めるのに。
>忝い侍、深くため息をつきます。まあ、面倒臭いんでしょうね。でも、声を掛けている方の警察官も面倒臭いと思っているから……あれ? 実は、これ勝利なき戦い!? ……はい、お仕事ってそういうもんなんです。
忝: ぬしらの同志である医躑躅殿が詳しく知っておられる。そちらに当たられよ。
若い警察官: え? もう一度。
>手帳を取り出すと、メモをしようと備える。具体的な名称が出てきたからには、何か理由があるに違いない、という反応でしょう。ゴツゴウ・ユニバースの日本では、ご存じのとおり、ヒーローが実在しています。花鳥風月という有名な職業ヒーローがいる一方で、ヒーロー連盟の試練を乗り越えてヒーロー認定を受けたけれど、一般人としての生活を続ける匿名ヒーローも存在します。もし忝い侍がそれ関連であれば、警察としても不審者対応しなくてすむわけです。忝い侍が発した単語が、もしかしたらそういった関連かも知れず、そこに問い合わせれば厄介事から解放される糸口になるかも知れない。そうならないとしても、失った情報を拾い直すのは難しいので、「とりあえずメモ」なのでしょう。
年長の警察官: それは警察官の名前ですか? どこの所属ですか?
忝: ……所属?
年長の警察官: はい。何署? ここであれば、枚鴨署の管轄です。
>年長の警察官は、言われたのが名前だと判断したようだ。そう返されて、忝い侍は、両腕を袖の中に入れると、胸の前で左手は右肘を持ち、右手は胸元から出して右顎を支える。うん、考えるスタイルですね。ささっとこういうポーズをとれるあたり、やはり和装に慣れています。
忝: ……南町奉行?
>首を傾げているので、本人としては自信ないんでしょうが、もちろん丸っきり外れです。もう時代が変わって、北町か南町の二択問題ではなくなっているんですからね!
>二人の警察官は「あ、そういう事ね」とお互いわかり合った目配せをした。一言で表すなら、オカシイ人、です。どうオカシイかについて追及すると、人権問題にかかわってくるので掘り下げないでおきましょう。しかし、臭い物に蓋をしたからといって、こういう人たちが存在しているという事実は消せませんから、メディアではあまり取り扱われませんが、みなさんもこの機会に、こういう人たちとは社会としてどう向き合っていくべきか――あ、今はそんな事、どうでもいいですね。
年長の警察官: では、そのあたり、詳しくは別の場所で。
>結局、やはり任意同行へと水を向けられた。このやり取り、社会の見えないところできちんと経験を積んでいる警察官はさすがですね。そのあまりの自然な流し方に、忝い侍も直ちに拒否発言を出せていません。……というか、急に目を細めて、一点を見つめています。
>カメラをそちらに向けてみますが……何も見えませんね。若い警察官も釣られて、そちらを見ますが、何もないと判断して、再び忝い侍に視線を戻しました。年長の警察官は最初からそちらを見ようとしません。……「あっ!」と何処かを指差して、そちらを振り向いている間に逃げる、という同じ手か、と警戒していたようですね。バカみたいな手ですが、意外によく使われるらしいですね。
>周囲の人々も、忝い侍の睨みつける先を見ますが、やはり何もないと判断し、どういうことなのかと話しだします。子供たちは、……えーと、実はずっとそうだったんですが、パンツイッチョマンを見上げて色々言ったり、石を投げたりしていました。うるさいからカットしていたんですが……あ、やっぱりそれで良かったですね。ただでさえ、なかなか進まないお話がもっと遅くなってしまいますから。
>ん? 一人だけ、忝い侍側の対応に近い人がいます。銀子先生です。彼女も一旦、忝い侍の見た先から目を外したのですが、ピクリと眉を動かすと、再び視線を戻し、近くにいる幼児たちを手振りで引き寄せ始めます。……あ、これ、ダメですね。やっぱり銀子先生、異能者化が進んでいます。表層思考が読めません。まあ、異能者というか、極度に気が張った状態だと常人でもこっちの論理プローブがシャットアウトされるので、その状態に近いのでしょう。
>あ、いこい君のお父さんも息子を抱き寄せました。この人も何か異変を感じているのでしょうか? そういえば、パンツイッチョマンから遠ざかるのは一番早いですからね。逃げ足の早さでは作中トップクラスなのかもしれません。
>ともあれ、我々ももう一度確かめてみましょう。
>……やはり、何もないですね。……いや、何もなくありません! あ、何もないのはそのとおりなのですが、歪みが生じています。川のずっと向こうに見える橋が、一点だけ、ゆらゆらと陽炎のように――いや、渦です! 急に歪みがはっきりし始めました。お、周りの人も見続けていた何人かは異変に気付きました。
>ん? 強い風が……いや、これは! 渦に向けて風が吹いている。いや、渦が周囲の空気を吸い込んでいるのか? 風はみるみる強くなり、近くにいる人たちの髪をかき上げ、敷いていたシートをバサバサと揺らし始めます。慌てて押さえる大人と、それの手伝いをする子供たち。警察官たちも異変に気付きましたが、唖然として行動がとれていません。銀子先生は、園ちゃんを捕まえて渦から背を向ける。その銀子先生の行動に刺激されたのか、警察官は木の下で棒立ちになっていた子供たちを保育士さんのいる場所へと誘導し始めた。あのふわふわした感じの保育士さんは……呆然として役に立っていません。前回登場時もそうでしたが、パニックに弱い人なのでしょう。他の保護者の方は、もちろん自分の子供たちを優先しつつ、近くにいる――
# バフッ!!
>――爆発!! 爆発です! ただし、爆音が轟く火薬的な爆発ではなく、突風が――周囲の大気を吸い込んでいたはずの渦から噴き出したようです。大人たちはよろめくだけでしたが、子供の中にはパタリと倒れてしまった被害が出てしました。……あ、でも、倒れる高さが低いうえ、芝生の上だったの怪我はしなかったようですね。しかし、驚きから泣き出す子もいます。仕方ありません。
>銀子先生は――おぉ! あの一瞬に反応して、園ちゃんに覆いかぶさっていましたね。
お銀: みんな! あの渦から離れて!
>自身の行動だけではなく、周囲に指示を発し始めました。これはきっと、養老家の血がそうさせているのでしょう。
お銀: 早く! シートやお弁当なんか今は気にしている場合じゃない!
>これは、指示に従わずにいる大人に向けられています。えっと、ふわふわ保育士さんもうろたえている一人でしたね。うん、急に変われませんよね。
>警察官よりずっと頼りがいがあると見られたのか、動き始めた子供たちと保護者の方々は自然と銀子先生の後ろに集まり始めます。いつもは、ライバル関係にあるといってもよい園ちゃんも銀子先生の足にピトリとくっついています。
>忝い侍は、両手を懐の中で組んで立っています。両袖と長い髪が風に揺られて、目は細めて渦を見つめています。動じている気配はないですが、だからといって、逃げる気もなく、周囲を助ける素振りも見せません。静観というところでしょうか。
若い警察官: あ、あの、これは一体何が起きているんでしょう?
>おっと、ついに警察官の一人までが銀子先生に頼り出した。もちろん、忝い侍を尋問していた時に持っていた手帳はもうしまっています。しかし、銀子先生はそちらを見向きもしません。そういえば、いつだったか、似た状況がありましたね。集中して対応しなくてはいけない場合、銀子先生は不要な情報を排除する傾向にあるようです。……あ、思い出した。ふわふわ保育士さんを見て思い出しました。以前、このような銀子先生はパンツ一緒マンと対決していた時に見かけましたね。ふわふわ保育士さんが丸っきり無視されていました。
P1: とうっ!
# シュタッ!
>おっと、ここでパンツイッチョマンが隠れていた木の上から、銀子先生の前に降り立った。
お銀: パンツイッチョマンさん!
>張りつめていた銀子先生の表情がふっと和らぐ。これで大丈夫だ、という安心感でしょうか?
若い警察官: え!? パ、パンツ、パンツイッチョマン!?
>年長の警察官の方へ振り返り、「どうします? 確保ですか?」というようなジェスチャーをし出した。パンツイッチョマンはそんな警察官を無視して、半身で銀子先生へ語り掛ける。
P1: ここは危険だ。立ち去りなさい。
お銀: はい。
>いつもはポヤポヤモードに入る銀子先生ですが、時と場所はわきまえていますね。養老家、こういう時には頼りになります。地元で支持されている理由がわかりますね。
お銀: さあ、みんな! 手を繋いで。保育園に帰るよ。
>シートやお弁当の事を気にする大人がいたが、蛇睨みで竦み上げると、顎で「後にしろ」と示す。……頼りになるかもしれませんが、怖いですね。
年長の警察官: 君は待ちたまえ。話を――
>腰の警棒に手を掛けつつ、年長の警察官がゆっくりとパンツイッチョマンに近づく。格闘能力が高いのは、色々な事件からの報告からわかりきっているからこその警戒だろう。しかし、その呼びかけをパンツイッチョマンは渦へと向き直り、背中越しに遮る。
P1: 君たちも避難した方がいいかもしれないな。
>パンツイッチョマンを半包囲しかけていた警察官は、お互い目配せをして立ち止まる。もちろん、彼らの目の中に「逃げるべきか?」という迷いはなかった。半裸の変態とはいえ市民を置き去りにして逃げるような者はそもそも警察官などになっていない。止まったのは特異性からだった。彼らは市民から「先に逃げるべきだ」などと言われたことがなかったし、そういう想定もしていなかったからだ。
若い警察官: しかし……
>彼はどう言葉を掛けていいのかわからないようだ。務めとして、パンツイッチョマンを見かけたら確保しなくてはいけない、という行動指針はあったのだが、それには異常事態が発生しつつある状況、という条件は全く考慮されていなかった。
年長の警察官: 一体、何が起きているんだね?
>落ち着いて対処しようとしているように見えるパンツイッチョマンに語り掛けると、背を向けたまま答えがすぐに返って来る。
P1: わからぬ!
>自信を感じさせる断言! しかし、未来に対する答えはない! 我々はこのパンツイッチョマンの投げっぱなし回答にいくらか免疫がついていますが、二人の警察官はさすがにポカーンとさせられています。
P1: だが――
>パンツイッチョマンが何か続けようとしたその時、冷静な声が割り込んだ。忝い侍だ。
忝: 来るぞ。
>渦から光が漏れてきた。その光の筋は見る間に増えていき、すぐに溢れ出す輝きとなった。この光に、退避していた銀子先生たちも立ち止まり、振り返る。……銀子先生たちから見ると、パンツイッチョマンが後光を背負っているみたいに見えますが、見えているのはパンツイッチョマンの背中です。でも、もうそこは影になってよくわからないくらいの光量です。
>比較的近くにいる警察官たちは眩しくて腕を翳していますが、パンツイッチョマンはバイザーサングラスのおかげでフロントラットスプレッド風のポーズで立ったままです。
# バリバリッ!!
>何かが裂けたような音がすると、突然、光が消えました。ふいに漂ってくる異臭。これはオゾンの臭い……なんですけれど、良く考えたら臭いって言葉で表すのは難しいですね。まあ、音声多重(以下略)システムがそもそも臭いを伝えないって理由は、この嗅覚の表現の難しさから来ているのかもしれません。同様に、味覚も――って、そんな脱線をしている場合じゃない緊迫シーンでした。
>警察官たちが腕を下ろして確認すると、そこにはそれまで存在していなかった物体がありました。高さ二メートルくらいの……ロボットなのか?
若い警察官: あれは……何だ?
P1: わからぬ。
>若い警察官の呟きに、また同じセリフで応じたパンツイッチョマン。
P1: だが……危険だ。
>パンツイッチョマンがハの字の構えを取る!
>しかし、ここで放送時間終了だ。
>うーん、この番組ってロボットが出てくるものでしたっけ? という疑問を抱きつつも……また来週~~。




