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15.こいつが間男だ!!

◇ ◆ ◇


写真だけでなく手紙の内容も確認してみると、文章が少し変化していた。

先日、デートで行った遊園地に複数回行ったことも書かれている。


『あそこには二人で何回も行ったね。本当に……楽しかった』


うん……間違いない。


このタイムリープが有名なアニメと同じ理屈なのかは分からないが、一旦分かりやすくするために、俺が何もしなかった世界を「俺ヘタレ世界線」と名付けよう。


「俺ヘタレ世界線」での美奈は、ショートカットだった。

彼女は高校三年生でショートカットにして、一番似合うその髪型を大人になっても続けていたということだ。


だが、今の世界線──「俺ぐい世界線」とでも名付けよう──では、美奈は一番かわいい姿は俺だけが知っていればいいって言ってくれた。

だから、俺とは別の人間と結婚することになった「俺ぐい世界線」では、ショートカットを止めたという事だろう。


俺の都合の良い妄想ではないと思う。


「よっし!」


まずは喜んで良いと思う……俺は軽くガッツボーズをした。

この「俺ぐい世界線」の未来では、美奈が俺のことを「俺ヘタレ世界線」よりも強く想ってくれているのだから。


「だけど……」


問題は……結局、美奈が別の人間と結婚するという未来が変わっていない。


「そもそも……誰なんだよこいつ」


美奈の隣で軽薄そうに笑っている男を見る。

美奈よりも年上だと思う。

顔は確かにイケメンだ。

どっかで見たような気もするが、思い出せない。


「ムカつくなぁ……」


タイムリープをする前は、正直こいつなんてどうでも良かった。

相手の男なんて関係なく、美奈と疎遠になってしまったのは、単に俺がヘタレていたからだと思ったからだ。

だが、いざ美奈と恋人になって、美奈が別の人間と結婚するということを突きつけられると、こいつに対する腹立ちを抑えきれない。


「いっそ、写真を破ったろうか!」


そんな考えも頭をよぎるが、さすがに貴重な未来への道しるべとなる写真を破るわけには行かない。

イライラとした気持ちを、息を吐いて落ち着かせる。


「はぁ……寝よ!」


その日は、写真と手紙をしまって眠ることにした。


◇ ◆ ◇


数日後──


学校の昼休みに入り始めたところで、美奈がクラスメイトに囲まれていた。


「浅草さん、水上みなかみ先輩から告白されたってホント?」


「うん……だけど断ったよ」


「え〜、チョーもったいない〜」


「ふふ……私には達也がいるし……あ、お昼一緒に食べることになってるから……失礼するね」


そんな感じの会話をした後で、トテトテと歩いて俺の席の方まで来る。

美奈も周囲のあしらい方を覚えたところがあって、俺との時間をできるだけ作ろうとしてくれてるみたいだ。

俺みたいな嫉妬深い男に合わせてくれる、本当によくできた彼女だと思う。


「今日はエビフライ作ってきたぞぉ!」


「おう、いつもありがとな!」


弁当を受け取って、いつもの中庭に移動しようとする。


「……タクくんも一緒にどう?」


「いい加減やめてくれー、その社交辞令。目の前で石○ラブラブ○驚拳を見せられたら、俺の中のDG細○が死滅するから!」


「えへへ……ごめん」


美奈にはよく分からないネタだったろうが、意図は伝わったようだ。


「すまん……幸せ掴んでしまって……」


俺はそんなセリフを残して、美奈と仲睦まじく弁当を食べた。


そんなこんなで幸せな日がしばらく続いていたある日──


放課後、俺は日直の仕事で職員室まで日誌を届けに行かなければならなかった。

職員室は三階だ。

俺たち一年は一階に教室があるので、三年生の教室がある三階を通って職員室に行くことになる。


その途中──ふと三年の教室にいた若い教師の姿が目が入った。


「……えっ!?……」


見間違いかと思って、立ち止まって教室に近づいて、もう一度確認する。


「……間違いない……あの男だ……」


そう……未来で美奈と写真に写っている男だった。


【あとがき】

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