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主従契約とは……?

ブックマークが、ついに1件っ!!

 グリフォンの説明によると主従契約とは心と心に繋がりを作ることらしい。そしてその効果はまだわからない部分が多く、影響を与え合う事例もあるという。


「事例?」


「ワシも噂程度で詳しくは知らん。その数も膨大で統一性もないがーー」


 なんとも要領を得ないが、契約を期に変化する個体も多いらしい。そして非常に業腹だが命令権の有無があり、その他にも千差万別の効果があると。そして嬉しいと感じていることに違和感がありつつも、それを好意的に受け止めている自分がいる。


(なんともまあ、よく分からない感覚だ……)


「そしてだな、主従効果にはメリットもある」


「……メリット?」


 その影響は契約者に引っ張られるもの、同期したように呼吸が合うようになること、関係によっては力の一部を受け取ることができることなど……グリフォン曰く、運が良ければ俺も力を得ることができるらしい。もちろん主人となった者には及ばないまでも、という制約はあるらしいがーー


(確かに統一性がないようにも聞こえるが、契約した者によって効果が変わるだけじゃないのか? 日本でのサブカル知識がこの異世界転移に役に立つのは本当だなーーっ!!)


 疑問もなくここが夢だと、転移したことが分かっているか受け入れている。俺はそのことに驚愕しながらも、別段それは当然のことで自明の理だと感じてもいる。


「ん? どうした、何の影響が出たか分かったのか?」


「……夢じゃないのか」


「おいおい現実逃避するな、ちゃんと質問に答えろ」


「ああ、俺は夢だと思っててな。だってそうだろ? いきなり世界をまたいで移動するなんて考えられるか……!!」


 するりと質問に答え、切り替わったかのように気持ちも変わった。俺はなんとも薄ら寒いと感じながらも、履行できた喜びも感じている。


「ああそうそう、別にこれは自由意志をなくすような契約ではない。安心しろ」


 そうか、なら安心だ。俺はそう安堵するも少し引っかかるーー


「そうだ、なんとなくだがお主の考えていることは分かるぞ」


「なんだってえ……!!」


 そう驚愕する俺が面白いのか。気持ちを察してなお、グリフォンは口の端をあげて良い顔を作る。悔しいが雄々しく、知性に溢れ、夢にまで見た空想上の生き物だ。そして確信に近い感覚をともなって”別に嘲っている訳じゃなく、ただ純粋に曇りなく愉快と思っているだけだ”と理解できる。


 そう、このグリフォンはただ単に俺の料理が目当て。そして俺の人柄を暇つぶしには丁度良いと好意的に思い、意思疎通できる存在を面白がりつつも役に立つと期待しているだけだ。


(別に、悪意を持って下僕にしたいわけじゃないのか……)


 それにこのグリフォン、安全の保証をと話をした時もそうだったらしい。俺の戦闘力を把握し、この世界では生き残れないだろうからと思い。便利である能力を、可能性を潰してしまうのは惜しいと感じていたらしい。今はなそれが分かる。そして子供くさいことに、怒ったときは本当に腹を立てていたらしい。


 俺は本当に殺されなくて良かった、と心にかいた冷や汗を拭った。


(だが怒りっぽい、注意が必要だ)


「だから考えていることが分かると言っただろう……」


「え、いやあのその」


「ワシは理性的な生き物だ。いっときの感情に任せて行動などせん」


「まあ、確かに。現に殺されていないしな」


「そうだろうそうだろう」


 その時に俺はふと思った。あの時、弁当に夢中になっていた瞬間は違うのかと。本能には負けるんじゃないかと、そうしたら腹が減ったら俺は非常食扱いなのかーー


「この阿呆がっ!! ワシをそこら辺の獣畜生と一緒にするな、あれは好奇心ーーそう!! 探究心というものよ」


 嘘というのが分かる。だがどうやら俺は非常食ではなく料理人のような扱いで、戦闘能力のまだ未熟な稚児。出来の悪い仕方のない奴、これからに期待するも現状は面倒を見なければならない弱者。庇護下になったからには守るべき対象、というような位置付けらしい。


(これはなんとも妙な仲間をーーいや、主人を得てしまったか……)


「……それはこちらもだ。楽な方法とはいえ、面倒な道を選択してしまった」


 そう言ったグリフォンの顔には既視感がある。だが思い出せない、でも悪いことじゃないもの。


 それだけは分かる。


「ほれ、荷物をまとめて出発するぞ」


「どこにだ?」


「人の住む街に決まっておろうが」


「……なんだって?」


 この主人、本当に知性はあるのだろうか。

もう気長にやるしかねえ、そうゆう精神性でやらないと保たない。

どうやら、というか痛感したくはなかったが自分の作品は一気に伸びるタイプではないようだ。

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