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ダブル・デザイア 〜最強の力は神をも超える〜  作者: 真心の里
シン【神玉編】
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魔法(レイド編)

 

 シンは戦場を凄まじい速度で飛びまわる。

 魔大陸にある魔族軍の軍事施設を爆裂魔法で破壊して回っていた。



「戦略級爆裂魔法【千裂】」



 シンの手から地面に落とされた光の玉が数メートル上空で爆発する。

 一瞬で広大な範囲が爆発にのまれた。その攻撃の一回で軍事施設は崩壊していた。



「早く出てこい、仲間が死んでもいいのか…ぅ!」



 シンが空中で急停止をして頭を抱える。



「俺は、今何をしようとしていたんだ…軍隊とは言え関係のない…」



 シンがブツブツと呟いていると前方から一体の魔族が急接近してきた。

 魔族は少し手前で急停止をしてシンを睨みつけた。



「貴様か!我らの同胞を、支援兵までも殺す、残虐な人間は!」


「俺が…殺した…?」


「とぼけるつもりか!」



 息を乱しながらいつもの優しい表情のシンが魔族に聞く。

 魔族は激怒しながら叫ぶ、それと同時にシンは再度頭を抱える。



「……ぅ!」



 シンの表情は段々と苦しみから邪悪な笑みへと変わって行った

 その恐ろしい顔の変化に魔族も少し身を引いていた。



「……はっはっはっ、そうだよ俺だが何か悪いか?」


「いきなり性格が、貴様は二重人格者か?」


「あぁ?二重人格って言葉がこっちにもあんのか」


「何を言っているか分からないが、貴様がやったことに変わりはしない!我、魔族軍第二部隊隊長、ヅーガ・ベージュが討つ!」



 ベージュが叫びながらシンに襲いかかる。

 シンはその様子をにやにやと不敵な笑みを浮かべて見ているだけだった。



「立ち止まって、舐めているのか!炎の精霊、敵を撃て、上級炎魔法【炎撃】」


「詠唱省略か、上級水魔法【水撃】」



 ベージュの手から放たれた炎の塊をシンは指を一本立て魔法を放ち相殺した。

 人族の普通魔法の無詠唱の使い手が少ないことからベージュは少し驚く。



「無詠唱の使い手か…最前線を張る実力は本当のようだな!風と水の精霊よ、敵を撃て、上級雷魔法【雷撃】」


「上級無属性魔法【魔法障壁】」



 至近距離で放たれた雷の魔法をシンは読んでいたかの様なタイミングで防御をした。



「この距離の雷魔法を…少し本気を出さなければならないようだ」


「あー、そんな言葉いらないんだ、噛ませ犬の言葉だぜ」


「舐めるなよ!人間!」



 ベージュの眼が充血して赤く染まる。

 それと同時に魔力が高まり、八重歯が長くなった。



「魔法使いとしての格の違いを教えてやる!毒魔法【毒槍ポイズンスピア】」


「固有魔法か、上級無属性魔法【魔法障壁】」



 紫色の槍をシンは魔力の無色の壁で受け止める。

 壁に槍が当たった瞬間に無色の壁が紫色に染まった。



「かかったな!魔法障壁は自分の周りを魔力で囲い防御する魔法、俺の毒魔法は魔力を毒に変化させる、貴様は俺の度にじっくりっと蝕まれるんだ!」


「……」


「固有魔法の有無、それが魔法使いとしての埋まらない差だ、才能の、格の、貴様と俺の違いだ!」


「くだらねぇ、聖魔法【浄化】」



 シンが魔法を放った瞬間、魔法障壁が紫色から無色に戻る。

 自分の魔法を破られたベージュは驚き、目を大きく開いた。



「毒の固有魔法なんてのは珍しくもない、聖魔法と同じレベルだ」


「貴様も固有魔法を…!」


「ゴミのお前に教えてやるよ、固有魔法ってのは才能じゃなくても、後天的に手に入れることができるのをな」



 シンは一瞬でベージュとの距離を詰め、人差し指をベージュに向ける。

 ベージュは身の危険を悟り、魔法障壁を展開した。



「毒魔法【毒槍ポイズンスピア】」



 シンの指先から放たれた毒の槍が魔法障壁に当たり紫に染めた。

 自分が使った魔法を再現されたベージュは魔法障壁の中で慌てる。



「なにぃ!毒魔法【激毒】」



 ベージュは内側から浸食してくる毒より強力な毒を放ち、毒を吹き飛ばした。

 外に出たベージュは近くにいる笑顔のシンを睨みつける。



「貴様も毒魔法を使えるというのか!」


「違う、正しくはお前が教えてくれたんだ」


「なんだと?」


「毒魔法を教えてくれたお礼だ、教えてやる」



 シンはそう言ってベージュから少し距離を取った。

 そして近くに合った壊した軍事施設にいる魔族に人差し指を向けた。



「よく見とけ、毒魔法【激毒】」



 人差し指から放たれた毒は魔族に直撃し、肌を溶かした。

 その毒は全身に回り、一瞬でその魔族をしに追いやった。



「俺がさっき使った魔法だ…あれは俺が自分で作り出した魔法だぞ、お前が使えるはずがない!」


「馬鹿かお前は?正解は自分で言っているじゃないか」


「なんだと…?」


「お前はこの魔法を自分で作り出したんだろ?なら、固有魔法ってのは別に先天性のモノだけじゃない、後から作るなんて簡単なんだよ」


「そんなことは知っている!しかし、それは凄まじい数の実験によって、何代も受け継がれてようやく完成する力だ!」



 ベージュは手を振って真剣にシンの意見を否定した。

 しかし、その様子を見たシンは呆れた表情で、ため息をつきながら言った。



「はぁ…それは才能が無いからだよ」


「なにっ!?」


「魔法は魔力によって構築された模様を使い事象を発生させる。構築する模様は魔法によって違う、詠唱をすることによって自動的に作られているだけだ。強力な魔法を使用した場合、魔法陣が出現する場合がある、その理由は模様を構築する魔力が濃密になり可視化してしまうからだ」


「それと何が関係がある!」


「まだわかんないのか?模様…魔法陣には書き方の規則性がある。魔法の属性、魔法の形、範囲、そして補足だ。詠唱省略や無詠唱できるってのは感覚で無意識に魔法陣の構築を自分でやっているわけだ」



 シンが再度ため息をついて呆れた表情で説明を続けた。



「詠唱省略や無詠唱はスキルのはずだ!」


「スキルってのは何かの行動のサポート、もしくは特殊な行動を強制的に行うものだ、イメージのサポートをスキルがしているにすぎない」


「そんなこと聞いたことが無い」


「当たり前だ、お前ごときが知っているわけがない」


「もし貴様が言ったことが本当だとしても、魔法を一瞬で再現できるはずがない」


「本頼魔法を構築する魔法陣は見えない、巨大な魔法を使用しても見える魔法陣は一部だしな、だが【解析】を使えば一瞬見ることができる」



 シンは人差し指で自分の眼を指しながら説明する。



「見えた所で複雑なうえに複数ある。だがな、一瞬あれば俺は暗記できる、いくら複雑だろうがな…他にも少し考察すれば新しい魔法を作るなんてのは簡単な話だ、再現に至っては猿でもできる」


「なんだと…」


「つまり…お前ら、俺以外は猿以下の知能ってことだ」


「ば、馬鹿にするな!」



 ベージュはシンには魔法で勝てないことを悟ったのか近接戦闘を仕掛ける。

 本頼、人族より身体能力の優れている魔族の攻撃を魔法使いのシンは避けることができないはずだった。



「なぜ魔法使いの貴様が俺の攻撃を避けることができるんだ!?」


「逆に質問だ、腹を空かして餌を目の前にした猿の行動は何だと思う?餌に飛びつくことはお前にもわかるだろ?」


「何の話だ!」


「お前の攻撃を読むのなんてそれと同じだって言ってんだよ、上級雷魔法【雷撃】」



 シンが馬鹿にしたような口ぶりで人差し指をベージュの顔に向け魔法を放った。

 その魔法が直撃したベージュは重力に逆らうことができなくなり、地面に落ち、膝をついた。



(この俺が人間ごときに負けるだと…ふざけるな…ふざけるな)



 地面に降りてきたシンを睨みながら、ベージュが凄まじい速度で襲いかかる。

 それを見たシンはため息をついて、攻撃を待つ。



「ふざけるなぁぁぁ!」


「戦術級雷魔法【雷連撃】」



 叫びながら向かってくるベージュにシンは人差し指を向けて雷を10発放つ。

 その雷はベージュにギリギリで全てかわされ、天に消えていった。



「何が行動を読めるだ、このペテン師が!」



 ベージュがシンにそう言いながら鋭いパンチを放つ。

 その攻撃を小さな動きで軽く避け、体勢を崩したベージュに二本の指を向ける。



「馬鹿は目先のことしか見ないから困る、上級爆裂魔法【爆連チェインボム】」



 シンの指先から小さな爆発が始まり、連続的な爆発がベージュのことを吹き飛ばした。

 次第に大きくなる爆発を何度もくらったベージュはボロボロになる。



「この程度の傷…上級光魔法【回復ヒーリング】」



 ベージュの全身を緑色の魔力が包み始めた。

 その瞬間、天から雷がベージュの目の前を通過し、地面に穴が開いた。



「なにっ…」



 ベージュの魔法が突如として消え、回復が中断された。

 そのことに驚いているベージュにシンが話しかける。



「魔法は魔法陣によって作られているといっただろ?その一つを壊させてもらった」


「そんなことが可能なはずがない!」


「普通の魔法ならばな」



 シンはそう言って掌の上に可視化できるほどの魔力を集める。



「魔力はこんな風に形を変えられる、だから既存の魔法を構築する魔法陣も少し工夫を加えれば特殊な性質を持たせることができる、魔法陣を破壊する性質、設定していた軌道を通るようにする、とかな」


「ま、まさか貴様は俺がここで魔法を使うのがわかってたとでも言うのか!」



 シンの言葉から予測される不可能に近い行動をベージュは恐る恐る聞いた。



「当たり前だ、言っておく、お前はもう二度と魔法を使うことは無い」


「ふ、ふざけるな!火の精霊よ、指先の敵を爆ぜばや、戦術級爆裂魔法【集中爆破スナイプボム】」



 ベージュは汗をたらし、叫びながらシンに指先を向け魔法を放とうとする。

 その瞬間、天からまた雷撃が落ち、ベージュの魔法が無効化された。



「言ったろ、お前は魔法を使うことはできないって、戦術級水魔法【水槍の雨】」


「魔法の精霊よ、上級無属性魔法【魔法障壁】」



 四方八方を水の槍で囲まれたベージュは魔法障壁を展開し防ごうとする。

 しかし、その魔法障壁も雷撃によって無効化され、水の槍が全てベージュに突きささる。



「グアァァァ!」



 ベージュが痛みの悶えながらシンから逃げようと翼を広げ飛ぶ。

 その行動さえも呼んでいたのか、二発の雷撃がベージュの両翼を貫き地面に落した。



「魔族もタフだよな」


「な…なん…でだ……こんなところで…火の精霊よ…上級炎魔法【炎斬ファイヤーカッター】」



 地面に伏しているベージュにシンが近寄り座って顔を覗き込みながらそう言った。

 ベージュは死にそうな声で、シンに向けて魔法を放とうとする。



「それも読んでるさ」


「なっ…」



 そのベージュの魔法も無効化され集まっていた炎が散り散りになった。

 そして追いうちに天からの二発の雷撃が直撃する。



「……」


「久しく変わったが目は衰えてないようだな、魔族の隊長だから少しは変わるかと思ったが期待外れだったようだな」



 シンはそう呟いて動かない無言のベージュに背を向けた。

 その瞬間、ベージュは上半身を起こし、シンに手を向けた。



「油断したな!貴様の裏をかいてやったぞ!戦術級風魔法【風槍の雨】」



 ベージュは笑いながら魔力を集め魔法を放とうとする。

 しかし、その魔法も天からの雷撃により無効化された。



「まったく、数も数えられない猿が」


「な、なに……」


「猿が人間様に顔を向けるな」



 シンのその言葉の瞬間、最後の雷撃がベージュの脳天に直撃し頭を地面にたたきつけた。

 雷撃とその衝撃によってベージュは命を手放した。



「汚らわしい猿が」



 いつものシンでは考えられないほどの冷たい声で吐き捨てるような言葉を言った。

 明らかに普通絵は無いシンは無傷で戦場に復帰していった、新しい敵をあぶり出すために…

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