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7/12

なぜ怒っているのか、それがわからない

 それから二日。

 ルハネスたちは無事、王都セレナートへ到着した。


「で、でかい……」


 目の前にそびえる鉄の壁を見上げながら、ルハネスは思わず感嘆の息を漏らす。


 王都の周囲をこれが守っているようだ。


 鉄壁――まさにそんな言葉がピタリと当てはまる。

 この壁の前には、どんな賊や魔獣でもなすすべないだろう。


「ふふ。王都ですからね。もしかして、来たことないですか?」


「ああ、うん。ずっと山で過ごしてたから……」


 鉄壁の向こう側からは、人の喧噪が間断なく聞こえてくる。山と違って賑やかそうだ。


 鉄壁の中央部には巨大な門が設えられている。出入りはそこで行うようだ。


 警備のためか、門の左右を兵士が監視していた。入場の際、ルハネスとミレーユも一瞬だけ視線を向けられたが、問題ないと判断されたか、そのまま入ることができた。


 王都の警備というだけあって、なかなかやり手の兵士が配置されているようだ。通る際、全身がくまなくチェックされているのを感じた。


「おおお、でかいっ……!」


 門を抜けたルハネスは、さらなる衝撃に見舞われることになる。


 人、人、人。

 どこを見ても人がいる。

 そこかしこの住居や商店などもなんだか垢抜けており、まさに別世界のようだ。


「ちょ、ちょっとルハネスさぁん」


 そんなルハネスの手を、ミレーユがぎゅっと握り締める。


「あんまり動かないでくださいよう。見失っちゃうじゃないですか……」


「あ、ごめんごめん、つい」


「次からは気をつけてくださいね――って、あ!」

 瞬間、ミレーユは恥ずかしそうにルハネスから手を離した。

「すみません、手なんか握っちゃって。そ、その、不快じゃなかったですか……?」


「ん? 別に。むしろ嬉しかったよ」


「う、嬉しい……そ、そうですか……?」


「うん。俺が迷子にならないためにやってくれたんだろ? 有り難いことさ」


「…………」

 そこでなぜか、がっかりしたように肩を落とすミレーユ。

「そうでした……。ルハネスさんはそういう方でしたね……」


「え? なにが?」


「なんでもありませんっ」


 ちょ、なんで怒るんだよ。

 という突っ込みを入れる間もなく、ミレーユが次の言葉を発した。


「それで、教会に行くんでしたね。ご案内します。ついてきてください」


「う……うん」


 ちょっとした威圧のようなものを感じながらミレーユの後をついていくのだった。




 セレナート教会。

 そこが、ミレーユの案内した場所だった。


 中央通路には赤い絨毯じゅうたんが敷かれており、その先には祭壇がある。両脇には長い椅子が等間隔で設置されていて、所々で祈りを捧げている人々も見られた。


「えっと……」


 ルハネスが戸惑っていると、


「なにかご用ですか?」


 修道服をまとった女性に話しかけられた。質素な服装ではあるものの、かなりの美人だ。


「その……適正魔術を調べたいんですけど……」


「まあ。新入生の方ですか?」


「はい。そうですね」


「わかりました。専用の部屋までご案内致します。ついてきてください」


 そうして、ルハネスとミレーユはシスターに連れられ、奥の部屋へと消えていった。



 

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