4.旅は道連れ
間に合って良かった。意識のなかった2人もコーラルとシルフィーが馬車に拾って治療を始めてくれている。ヤナギとスターチスも問題なく岩の竜を仕留めてくれた。同業者が戦っていた獲物だから原型が残る、あるいは綺麗に斬り裂くように仕留めたから比較的、状態がおとなしい死体になった。竜は肉や骨、それに皮膚に鱗など使うに無駄がでないからこれで良かった筈だ。血も利用価値はあるみたいだが流れた分の確保はしなくてもいいだろう。時間の無駄だ、こっちの出血してない分で我慢してもらおう。
後ろを向けば剣を抜いたままこちらに目を向けている男性、年の頃は20代半ばの黄色い頭髪が逆立つように上がっている。その頭部以外の全身を軽鎧で覆い手には長剣が握られている。途中で会ったドワーフやエルフ達もそうであったが傷と汚れで満身創痍といった状態になっている。過酷な戦いが続いていたのだろう。竜の亡骸に背を向けて彼へと歩を進める。
「俺はカイル、冒険者だ。他の仲間が治療に当たってくれている。そちらも治療を」
「あ、ああ。助かったありがとう。あんたらが来てくれなかったら正直やばかった。恩に着る」
太く眉尻が上がっている容貌は荒々しい印象を受けるが青い瞳の目は大きめで、近くで見ると人の良さの方が際立って見える。急に俺達が来たことに驚いていたようだが今は落ち着いている気がする。彼の傍に着くと握手を求められたのでそれに応じる。かなり畏まられている気がする。
「いや、そっちも冒険者みたいだしギルドは皆の助け合いが大事なんだろ? そこまで気にしなくていい」
「それを実践出来てる奴ってのは多くないんだけどな」
はっきりと分かる苦笑を浮かべた彼は握手を終えると頭を下げた。
「俺は『カウム』って言うんだ。チームリーダーとして礼を言わせてくれ。仲間も助けてくれてありがとう。全員大事な奴らだから」
「頭を上げてくれカウムさん、先ずは治療をしよう。話しはその後にでもゆっくりとしよう」
「ああ、そうだな。ん、あの馬車が?」
カウムさんが振り返ると俺達の馬車が目に見える位置まで来ていた。長距離を全速力で走らせてしまったがエメラは疲れなど知らぬとばかりに堂々と箱馬車を力強く引いている。
「あれは騎竜の『キング』だな。あれで駆け付けてくれたのか」
「名はエメラ。仲間の1人の子飼いの騎竜だ。あの馬車の中に皆を入れてくれている。俺達も行こう、ヤナギ! スターチス! 周りの様子はどうだ!」
「平気」
「いても遠くです。ゆっくりできます」
「それは良かった。昼も近いし御飯にするのもいいな」
「・・・・・・速いな。さっきまでドラゴンの近くにいたよな?」
俺の隣に移動していた2人を見てカウルは言葉をもらしていたいた。
「皆と合流してから纏めて挨拶しようか。彼女達の紹介もその時に」
「そうしよう。俺の仲間も紹介したいしな」
『ゴオオオオ』
エメラが俺達を呼ぶように声を上げる。それを聞いて俺達はそこへ向けて歩き出す。
◆◆◆
「お疲れ様です御主人様。怪我の治療は済んでます」
「ありがとうコーラル」
「ギルドの制服、職員の人か?」
コーラルの出迎えを受けて中の様子を伺えばシルフィーが座り込んでいたドワーフとエルフの男性に飲み物を手渡していた。寝具にはヒューマンの男女が並べて横にしている。顔色や呼吸は正常に見える。顔が綺麗なのはコーラルかシルフィーが拭いてあげたからだろう。
「はい。今回私がメーティオケーへ仕事で出向くことになり、その護衛を皆様に依頼した形となっております」
「成る程。女性が多いチームなのはギルドが気を回してくれたって感じか?」
「いえ、皆様とは幸運にも縁に恵まれましたので個人的に御願い致しました」
「たまたまか。カイルさんは男1人で肩身狭くないか?」
「・・・・・・ちょっとだけ。あと呼び捨てでいいですよカウムさん」
「敬意を払える人には敬意を払う事にしてんだ俺は」
「じゃあ俺が呼んで欲しいからで」
「・・・・・・分かったカイル。なら俺も、てゆうか俺達全員呼び捨てで良いからな。あんたらみたいな人達から敬称付けられると緊張するわ」
困ったような笑みを浮かべてカウムさんがそう言った。先輩だし年上だからそう呼んでいたが本人からの提案だし乗った方がお互いの為だな。
「じゃあカウム。薬を渡すから遠慮無く使ってくれ」
「いや薬はいい。これぐらいなら自分の加護で間に合う」
「『自己治癒』系のが?」
渡そうとした魔法薬を首を振って断ったカウムさんに尋ねる。確かに土に血にと汚れてはいるが見た目ほど大きな傷はないようだ。防具に付いた細かい傷の数々が、それが彼の身を守っていたと物語っている。
「効果は高くないが、ちっせえ傷なら一晩寝てれば塞がるから傷薬代が浮いて助かってるぜ」
「そうか。それでも消毒と包帯ぐらいは受けてくれよ。シルフィー頼む」
「はいお師匠様」
シルフィーが収納具から清潔な布と水を取り出す。包帯などは他の人達の治療の為に既に出しっぱなしにしている。俺や仲間が使う前に他の誰かに使う事になるとは考えもしなかった。これも有効的な使い方の一つだろう。
カウムさんが何故か怪訝そうに俺を見ている。
「そういえば入ってきた時、職員の人あんたの事を『御主人様』とか言ってたな。あとそっちのお嬢ちゃんは今『お師匠様』って。なんか複雑そうだな、ワービーストの嬢ちゃん達もなんかある感じか?」
「ゆくゆくは『群れ』の旦那様」
「一日千秋でしたね里の言葉では」
俺の後ろにいたヤナギとスターチスが両脇から顔を出すようにしてカウムさんの疑問に俺より先に答えを返す。いやだからそれを了承した覚えはない。何で将来的になるのが半ば確定した物言いなんだ。
「・・・まああんだけ出来るカイルなら不思議はないな。まあでも一夫多妻って大変だから気を付けとけよ。嫁さん同士で血を見るなんて話しも聞くし」
「付き合ってません」
納得されても困るんですが。別に巫山戯ている様子もないのが怖ろしい。本気で助言してくれている。血を見る話しはクレアの顔を思い出すとどうなるか分からない未知数の部分があるから笑って流すことも出来ない。
「なんだ決まった人がいるのか? あの職員さんがそうなのか? 御主人様って呼んでたし」
「そんなお嫁様などと畏れ多い。私などは奉仕者で十分です」
「話しをややこしくするのは止めてくれないか」
「俺が思ってたより色々ありそうだなカイルのチームは」
カウムさんが苦笑して俺を見ている。彼に返すうまい言葉が思い浮かばない。
「まだ目を覚まさない人もいるけどどうする?」
身体はもう大丈夫だが無理に起こす必要もないと思う。それに昼食の準備もあるしな。
「いや起こすよ。こんだけ治ってたら問題ない。俺の嫁さんもこっちの男もそんなに柔じゃねえからよ。お~ら起きろ~! シャール! ヌグド!」
カウムさんが2人の身体を揺すり始める。女性は彼の奥さんだったらしい、短くした茶色の髪が振動と共に揺れる。男性の方は黒い髪を刈ってボウズにしている。そうして揺られていると2人が小さな声を上げ始める。目が覚めたようだ。
「じゃあカウム、俺達は食事の用意をするから出来たら呼ぶよ。それまでに皆で軽く状況の確認をしておいてくれ」
「何からに何まで悪いな。お言葉に甘えるよ」
「儂からも礼を言おう。ありがとう」
「・・・・・・私も助けられた。感謝する」
「ああ、どういたしまして」
水を飲んで落ち着いたドワーフとエルフの男性がカウムさんに続いて礼の言葉をくれる。それに軽く手を振ってから馬車から降りる。後ろにコーラルが付いてくる。今では完全にこのチームの料理番になっている彼女がいなければ俺達の料理事情はもっと味気なかっただろう。
「ロックドラゴンのお肉を使いましょうか。煮込めば柔らかくなって美味しいですよ」
「じゃあ御願いしようか。ヤナギ、スターチス。コーラルに付いてアレから肉を取って来てくれないか」
「やった。お肉沢山」
「道中もいっぱい食べましたけどね」
彼女達が竜の亡骸まで歩いて行ったのを確認してから、俺は食事が摂りやすいように岩でガタガタしている地面を適当に踏みならしていく。岩を砕き、それで穴を埋める。ある程度の範囲をそうすれば食事の為の空間の出来上がりだ。後は倒木や大きな岩を適当に割って椅子の代わりにする。座るときに布でも敷けば丁度良いだろう。
◆◆◆
「じゃあ改めて自己紹介を。まずチーム『ドレッドノート』リーダーのカウムだ。助けてくれてありがとう」
「カウムの妻のシャールです。主に斥候を担当しています。面倒をお掛けしました」
「僕はヌグド。弓を使って戦っています。ありがとう救ってくれて」
「バルム、見ての通りドワーフだ。儂からもまた礼を言おう、全員が無事なのはあんた達のお陰だありがとう」
「杖の民のゼル。魔法使いだ。仲間を救ってくれた恩は忘れない。もう一度感謝を贈ろう」
彼らのチーム『不屈の魂』の皆の紹介と感謝の言葉を聞き、俺達も自分達の紹介をする。
「チーム『お昼寝』リーダーのカイル。こっちも助けられて良かったよ」
「ワービーストのヤナギ。よろしく」
「ヤナギと同じくワービーストのスターチスです。お見知りおきを」
「シルフィーはシルフィーです。リーダーの弟子です。まだまだ見習いの身ですがよろしくお願いします」
「今回の彼らの依頼主という事になっているギルド職員コーラルです。ギルドとして皆様の無事を心から祝福します」
ロックドラゴンのブラウンシチューが大量に入れられた鍋を囲みながら、俺達の紹介と顔合わせが終わった。今回の料理はコーラルが魔法の使用を自重した為に品数じたいは少なくなっている。
カウムさんの隣にはシャールさんが座っている。柔和で素朴な雰囲気のある女性で、移動性を重視した皮を中心にした軽鎧を着ている。小剣と小盾を装備している。
ヌグドさんは弓を使うらしく背には合成長弓が見える。細目で体格はがっしりしている人だ。
ドワーフのバルムさんはらしい容姿をしている。ヒューマンよりも頭一つ分ほど低い背に発達した大きい上体と太い腕、短めだが力強さを感じさせる脚、赤銅色の肌に青掛かった土色の頭髪と豊かな口髭。鎖帷子に皮と金属の複合鎧を着込み、彼の身の丈ほどある大槌を装備している。
俺の武器もハンマーとか良いかもしれないな。相性が良さそうだ。
エルフのゼルさんは白い肌に光るような青い瞳に輝く金髪と、ギルドマスターのクローリアさんと同じ特徴を備えている。これらはエルフ族共通の特徴になる。しかし美しいのは変わらないがゼルさんの容姿は彼女とは違い、気難しい雰囲気をもった顔立ちをしている。言葉を聞く限り別段悪い人には思えないのでそういう顔というだけだろう。傍に緑色の魔石を填め込んだ木製の杖を置いている。あれが魔法使用時の強化と制御を助ける触媒だろう。
「じゃあここに居る全員の無事と出会いを祝して早速料理を頂こう。彼女、コーラルが作ってくれた料理は何でも絶品ですよ」
さっきから火に掛けられている鍋から食欲を刺激する良い香りが立ち上っている。竜の尾骨の濃厚な出汁に小麦粉とバターで炒められた褐色のルゥ、それに香味野菜で風味付けしたシチューに大きく切ってから炙り焼いた竜肉がゴロゴロ入っていて、シチューと肉の脂の合わさった強烈な香りが口に入れなくてもその豊潤な旨味を否応なく期待させる。それと併せて食べるパンを盛った籠をいくつか置いて今日の昼食である。
正直もう食べたくて仕方なかった。皆やドレッドノートの人達も自己紹介しながら目線は頻りに鍋にいっていた。コーラルが輝いた笑顔で俺を見ている。あの日彼女から話しを聞いた時から事あるごとにこんな感じだ。
「御主人様」
催促が来た。だけどまず食べない事には始まらない。俺から言い出した事なので彼女が差し出してきたシチューが入れられた器を受け取り、持っていた匙でそれを口へと運ぶ。
途端に来る味と香りの津波。使った素材の旨味を余すことなく溶け込まれたシチューの美味しさは破壊的な衝撃すらあるように感じる。彼女が俺の口に入る料理に込める熱を感じられる。
「・・・美味しい。やっぱりコーラルの料理は最高だな。ありがとう」
「有り難う御座います。私は幸せですよ」
これである。彼女は俺から褒められたら幸せな気持ちになるからと、良い働きをした時などはさっきのように俺からの一言を期待した目で俺を見てくるようになった。言われなくても心のまま感謝は言っているんだが、どうも感謝と褒めるは似てるようで違うらしいから、コーラルに言うときは褒める事を意識して言う事になっている。
気のせいでも何でもなく外堀を埋めてこようとしている感が半端ではなくあるが、俺から言ったのだ『コーラルを幸せにする』と。なので正面から行くしか選択肢がない。しかし夜寝るときは万が一を考えて距離を置いて寝てもらっている。これは他の皆にも同様の措置をとってもらっている。これは大事な一線である。
「うっま! 店売りなみだなこれは!」
「ほんとう。お肉にも味がよく染みてる」
「おお、外でこれだけの・・・」
「ん~、酒が欲しい!」
「もうすぐ国に着くだろ我慢しろ。確かに美味だな」
俺達は言わずもがな、彼らの口にも合ったようで良かった。コーラルの料理が他の人に褒められているのを聞くと俺まで嬉しくなる。
皆もいい食べっぷりで鍋の中を消費していく。ヤナギとスターチスがよく食べるのは知っていたがシルフィーも小さいながら健啖家である。身体の主導権を取り戻してから御飯が美味しいらしい。訓練の事もあるし食べられるのは良い傾向だ。
「ドレッドノートの皆はこれから何処へ? 俺達はこのままメーティオケーへ向かう」
「俺達もそうなんだよ。『聖剣祭』があるからバルムの里帰りも兼ねて来たんだよ」
「儂の里帰りに余計なもんが出てきたがな」
「最初に出てきたのを含めて4体のロックドラゴンですからね」
「私なんか直ぐに気を失ってしまって。馬もやられてしまいましたし」
「運が悪かったとしか言えないな」
成る程、彼らもそうだったのか。ならこのまま一緒に向かうのもありだな。
「良ければ俺達の馬車に乗って行きませんか? これも何かの縁ですし」
「・・・いいのか? それなら助かるんだが」
「ええ。エメラに引いてもらえば直ぐですよ。遅くなるなら俺も引きますし」
「ははは!・・・・・・冗談じゃあ無いんだろうなあ、それ」
「あなた? 何を言ってるのカイルの冗談でしょ?」
シャールさんがカウムさんの言葉にそう返したが、彼は別の2人に視線を向けた。
「・・・・・・ヌグドも気を失ってたしな。バルムとゼルは見たのか?」
「何の事だ? 儂達はあの後直ぐに馬車に拾われたぞ」
「リーダーが言っているのはあの轟音の事か? 最初の音がしてから精霊も静かになったのが気になっていたがそれと関係が?」
「そうだったのか・・・。精霊もびびったんかねえ」
「一体どうしたんだ? 強いのは察しているがそこまでなのか?」
「この人らは強かった。特にカイルがぶっ飛んでる。『聖撃』は覚えてるか?」
カウムさんがドレッドノートの人達に出した名前に聞き覚えがある。確かギルドでの登録時に聞いた筈だ。
「御主人様。アダマンタイトクラスのチーム『聖撃』です」
コーラルの言葉で思い出した。俺達以外に5つあるアダマンタイトクラスの冒険者チームの一つだ。
「少なくともそこで見た『断罪聖女』と同等以上だなカイルは」
彼らが急に食事の手を止めて静かになる。カウムさんが言った事がそれだけ引っかかる物だったらしい。しかし『断罪聖女』かどうも有名な人のようだ。
「・・・あなた本当? だって彼女って」
「勇者と併せて『双翼』と称される人類最高戦力の筈です」
「確か一度『未踏破地帯』に行った時に見たな。あの娘っこのチームを」
「ダークとの戦い。あまりの激しさに周辺の被害が凄まじい事になっていたな。私達では割って入るなど到底出来ない戦いだった」
「そうだよ、その聖撃のリーダーの断罪聖女『メアリー・オーデアル』だよ。いや正直俺程度じゃ力なんて計り切れないが、主観で言えばカイルの方が強いと思う」
メアリー・オーデアル。勇者と並ぶ強者か。気になるな、クレアと衝突する可能性が高い人物という事になる。コーラルの話しでクレアをどうにか出来る強さの存在はいないと言っていたが、全力を見せていない可能性もある。機会があれば顔を合わせてみたい。
ドレッドノートの皆の視線が俺に集中していた。
「どうしたんだ?」
「・・・なあカイルよ。最近6番目のアダマンタイトクラスが誕生したってギルドで聞いたことがあるんだけどよ」
カウムに言われて思い出す。コーラルに荷物を預ける時に一緒に渡していたアレの事を。戻った時に手渡された荷物を漁りネックレスを取り出す。アダマンタイト製のネックレスだ。
「『破壊者』の称号をミルドレッド王国から戴いた。アダマンタイトクラスのチーム『シエスタ』だ」
カウムさん以外の皆は言葉も無いようだったが、彼は苦笑していた。
「あれを見た後だとなんの不思議も無いな。納得しかないわ」
「まあ俺は俺だしな」
どれだけ強さに名前が付こうと俺自身が変わるわけじゃない。これも強さの証としてよりも、俺からすれば仲間との繋がりの証としての意味合いの方が遙かに多い。ドワーフの国に行けばアダマンタイトもそれを加工できる職人も居るだろうし、あと2人分作ってもらおうか。金ならある。
「・・・・・・これが本当の英雄なんかねえ」
「・・・・・・あなた」
カウムさんとシャールさん、そして残りの皆からも何か訳ありのような雰囲気を感じる。さっき出会ったばかりで他人の事情に首を突っ込むのはどうかと思うが。
「何かあったんですか?」
胸に秘めておきたいなら答えないだろう。ならこちらから少し踏み込むのも手段としてはありだ。
彼らは何かを確認するかのように顔を見合わせる。そしてカウムさんが再び俺に目を合わす。
「なあカイル、それにシエスタの全員も。こっちの事情なんだが話しだけでも聞いてくれないか?」
真剣な様子で俺を見ている。俺以外の仲間の顔も確認する。無言でだが了承の意を示してくれた、それなら。
「俺達で良ければ」
「ありがとう、道中の馬車の中でも良いか?」
「勿論」
そうして俺達は『ドレッドノート』の人達からメーティオケーに行くまでの馬車の中で、彼らの事情を聞く事が決まった。さて一体どんな内容なのか。空になった器を片付けるために俺は立ち上がった。