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12.魔物の群れ

「気を取り直しまして。前回の依頼達成でチーム『シエスタ』の働きがギルドで高く評価されまして、皆様のチームをオリハルコンクラスに昇級する事が決まりました」


 あのコーラルの非常に有り難い説法の後、彼女から俺達に言い渡されたのはその言葉であった。

 オリハルコン。上から2番目の地位になるクラスである。わずか10日間だけの活動でここまで来た。


「皆様にはその地位に相応しい振る舞いを期待しています。ではカードを更新させて戴きます」


 微妙に傷を抉る言葉を聞きながら、俺とヤナギとスターチスは彼女にカードを渡して魔法具によりクラスの更新をしてもらう。返ってきた登録証は赤みを帯びた黄金色になっている。これでチーム『シエスタ』はオリハルコンクラスに成った訳だ。

 俺達の目的。この国の王女、正確には第2王女になるわけだがその者の関心を引くために今回のアダマンタイトクラスになるという目標で動き、王女と接触が成功しその機会があるならば殺害する。それがこの国を救い、ダークの野望を打ち砕く事になる。


「それでは依頼はどうしましょうか。よろしければこちらでいくつか見繕わせて頂きますが如何でしょう? 勿論最終的な判断は皆様にお願いする事になります」


 コーラルがギルド職員としての質問を行う。しかしその中身、いや裏側と言うべきものはまったく違ってくる。彼女が用意する依頼は当然ただの依頼ではない。俺達が昇級しやすい様に『強敵』と遭遇しやすい依頼を回しているのである。それは普通なら3人で対処するには荷が重いと思われる敵と遭遇する事になるが、そんな普通は俺達には当てはまらない。

 俺はそもそも目指す場所はクラスとはかけ離れた位置に存在している。そこらにいるデミヒューマンやモンスターを簡単に狩れない様では話にならない。それにヤナギとスターチスは俺と共に依頼と訓練をこなし始めてから当初からと比べて成長が著しく、ギルドが基準を決めて示す強さでは量るのが難しくなっている。頼もしい限りだ。


「そうだな。コーラル任せていいか?」


「はい。それでは――――――」


 コーラルが事前に用意していたであろう依頼を出そうとした時、ギルドの扉を激しく開き飛び込んできた者がいた。それは名前も知らない冒険者の男であったがその様子が尋常ではなく、入った途端に倒れてしまう。その彼に周りに、近くにいた他の冒険者が集まっていく。俺は皆をその場に残してそこへ向かう。


「大丈夫か!!」「しっかりしろ!」「何があった!!」


 血塗れの身体、左腕はほぼ付け根から失い、身に纏う防具は金属製のようだが殆どが腐食し崩れて形を成していない。顔は土気色になっており失血以外での要因、装備の状態を見るに毒による影響がありそうだ。倒れはしたが意識はあるらしく他の者に支えられ口を開く。しかし呼吸が速く、見るからに後が無さそうな状態。


「っああ、す・・・すぁ、が・・・」


「落ち着け! 何があったんだ!?」「これヤバイ毒だぞ!? 普通の解毒薬じゃ無理だ!」「上位か中位の解毒薬はないのか!」


「これを使ってくれ」


 俺は時間があった時に購入していた魔法薬を2本取り出し重傷者の彼を支えている男に渡す。魔法を込められた中位の解毒薬と中位の回復薬、これなら今の危険な状態は脱する事が出来るだろう。


「助かる!」


 直ぐに彼に薬が使われる。失血や体力はどうにもならないが、顔色は大分回復し呼吸も安定した。視線もこちらをはっきり見ている。


「何が、何と遭遇した?」


 彼は途切れながらも口を開き、声を出した。


「ス、狂乱の群れ(スタンピード)が、バジリスクに率いられた、スワンプマンの群れが、ここに」


 そうして彼の口から語られた詳細は、この街に大きな危機が訪れている事であった。



 『蛇の王(バジリスク)』推定危険度オリハルコンクラス

 見た目は巨大な蛇。体長は小さな個体でも10メートルは越える。竜種に連なる一種であり強靭な生命力と頑強な鱗を備え、牙には出血毒、吐息には内臓を壊す毒、そしてその瞳には対象を腐食・溶解させ死に至らせる呪毒を持ち、対策がなければ人を四半刻も経たず絶命させる恐ろしいモンスターである。

 『汚泥の男(スワンプマン)推定危険度シルバークラス

 腐り穢れた沼に、何かの切っ掛けで魔力が収束し核となり人型を形成。それが活動を開始して生物を、主に人を殺してその身に吸収、ある程度の体積まで増えると分裂・増殖していくデミヒューマンの一種。その身は汚らわしく毒と瘴気の塊であると同義であり、倒すには体の何処かにある核、魔石を破壊するか体積の4分の3を吹き飛ばさなければならない。対処に手間のかかる存在である。

 そしてデミヒューマンとは人間へと積極的に襲いかかる種族である。



 ◆◆◆



 全長40m以上のバジリスクが一体、そしてそれに群がる様にスワンプマンの大群が押し寄せてくる。それが命からがらギルドに辿り着いた冒険者がもたらした情報、ミスリルクラスだった彼が仲間の死も振り切りその仲間に生かされ、彼は騎竜を用い最高速で、半日を掛けてギルドまで一直線に帰還した。

 そうした彼らの命懸けの働きにより得られた貴重な時間でギルドの冒険者、それにその情報を国にも伝え国軍もその脅威に対応するために動き始めている。

 そんな時、俺達はコーラルに呼ばれギルドにある一室に案内されそこで集まった。


 小さな部屋である。10人入れば窮屈になりそうな部屋。そんな部屋で俺達とコーラルは机を挟み席に着いていた。

 彼女の雰囲気からギルド職員としての話しではないと悟る。それはコーラルの一言で確定する。


「この件にはダークが関わっています」


「俺はどうする。殺しに行けばいいのか?」


 単純に行こう。可能であればその方が早い、殺して終わりだ。


「そうですね。ここまで大胆に動き出すとは思いませんでした。向こうで何か大きな動きがあったのでしょう。良くない傾向です」


「王女の件はどうする?」


「そこに変更はありません。むしろこれを利用できれば時間の短縮になります。御2人には苦労を掛けますが御願い致します」


「わかった」

「完遂しましょう」


 ヤナギとスターチスは頼もしく返事を返す。


「なら俺は直接叩きに行けばいいな?」


「はい。しかし御1人で本当に大丈夫ですか? もし必要であれば私も力を――

「必要ない」


 俺の一言にコーラルは顔を青くする。


「・・・私は御邪魔でしょうか?」


「そんな意味じゃない。ダークエルフがそんな表だって俺達に力を貸すのは拙いだろう。もし他にダークがいて見られていたら拙い。それともコーラルの偽装は全力の戦闘でも問題なく機能するのか?」


 俺が一番に気に掛けるのは敵側にダークエルフの離反、その『事実』が露見して、クレアの現状が悪化するのは避けたいのだ。通常ダークには良心なんて物はない。それなら行動は制限されていてるのだとしても優しい心をもったダークエルフに面倒をお願いしていたいのだ。俺が迎えに行くまでに。


「・・・確かに厳しいですね」


「なら俺に任せろ。あんたにはあんたの使命があるんだろ。心配しなくても全部俺が壊してやる」


「・・・分かりましたカイル様」


 いつもの調子になったな、顔に笑顔が戻った。それよりコーラルはおそらく俺達がする事と並行して動きださなければならないだろう。あれだけ情報を集めていたのだ。他の国にいるダークに不審がられない様に処理しなければならない事も多いだろう。魔人1体を殺すだけならコーラル1人で十分だろうしな。1人で出来ないからこその俺達との協力だ。


「ボクもいる」

「自分も刀を振るいましょう」


「皆様・・・有難う御座います」


 コーラルが頭を下げ、俺達は席を立つ。


「気にするな。じゃあ行こうかヤナギ、スターチス」


「うん」「はい!」


 さあ魔人を追い詰める為の最初の仕事だ。



 ◆◆◆



 冒険者ギルドから報告がきてから約6時間。騎士団をようやく動かせる様になり15隊ある内の10隊を動員。首都ケリーを出立してさらに2日。我々は首都から遠く離れた平野に囲まれた森で迫りくる化け物共と対峙した。

 月明かりに照らされ森の奥から大量の化け物が行進し、全容を露わにしていく。

 事前情報と、さらに斥候が調べた現在の情報でおおよそ正確な数が知れていたがやはり自身の目で見ると数字より多く感じる。それは過去最大級の大きさを誇るバジリスクの異容を見ても似た思いが浮かぶ。


「スワンプマンの数が情報より5百増加の約2千、バジリスクのサイズは約50か。いけない事もないか?」


「隊長。別働隊による罠の設置も済んでいます。しかしアレ相手にどれだけ効果があるかは正直不明です」


「構わん。あんな大物、もはや別種だと考えて掛からねばどうなるか」


 部下の報告を聞き、バジリスクに目を向ける。赤錆びの様な色の長く太い身体を波打たせ、木々を圧し折り砕きながら進んでくる。そもそも20前後のサイズですら竜種特有の鱗の頑強さを持っているのだ。あの規格外のサイズではどれだけの厚みと硬さがあるのか未知の領域。もはやバジリスクではないと言われた方が自然な相手である。

 アレを仕留めるために罠を用意したがどこまで効いてくれるか。それに周りにいるスワンプマンも、個々の力は弱いが毒と瘴気を持ち、そして仕留めづらいという2つの厄介な特徴が・・・いや3つあるなアレには。

 しかしどうして種として関係の無いバジリスクがスワンプマンを従えるように進んで来ているのか。ここまでの行軍でそれを考えてきたが答えは出なかった。気にはなるが、事がここまで進めば後は戦うのみ、奴らの群れは最低でも壊滅させなければスタンピードを維持し続ける。それが続く限り奴らは人間の住む場所を目指し続け、死を撒き散らすだろう。

 スタンピードが起こる前から既に3つ。これが迫ってきてからは村が2つ飲み込まれたのだ。何としてもここで仕留める。


「後に続いていた冒険者も到着した様です。如何致しましょう?」


 冒険者との連携も作戦で決めていたが、アレを見たあとだ。・・・何か変更すべきだろうが。


「・・・作戦通りで行く。我等騎士団で当たり、散った物を冒険者が殲滅する」


 騎士団8隊400人が配置に付き、武器を構え戦闘態勢に入る。号令を掛ければ火蓋は切って落とされるだろう。私も武器を抜き加護を発動させる。手に持った斧槍に聖なる力が宿る。


「さあ、国土を荒らす化け物共駆逐するぞ。―――行けえええええっ!!!」


 人と化け物共の戦争だ。



 ◆◆◆



「やっぱ騎士団はスゲーな」


「ロング、ぼーっと見てないで俺達も仕事をするぞ」


「はいはい。てか俺ら冒険者いるか今回?」


 空へ撃ち出された照明用の魔道具が浮かび、周りを広く照らしている。視界の確保には困らない。

 森から続々と溢れる様にスワンプマンが飛び出してくるが、それを騎士団の連中が倒していく。装備も加護もエリートな奴らはちげえや、もう3分の1は倒してやがる。

 俺達冒険者はチームごとに群れを遠目に囲む様にして配置されている。そこへ群れから逸れた小さな6体程の集団がこっちへ来る。それを俺達のチーム6人で取り囲み危うげなく仕留める。


「うげ、くせえくせえ。こいつらマジ嫌いだわ」


 正確に中にある魔石を砕けたらそれで終わりだが毎度毎度そんな上手くいくわけもなし。結局攻撃しまくる事になる訳だ。飛び散るし汚いし臭い、死体は泥に戻って地面に積もるし最低だわこれ。これの後処理まじどうすんの? 瘴気って身体に悪いじゃん。


「こんなのあの姉ちゃん達には任せれねえな」


 この場所には俺達のチームに他に2チームいる。その一つは最近スゲー働きを見せてた姉ちゃん達だった。

 ワービーストの女の子2人、小柄な虎っぽい娘と背が高めな犬の娘。どっちもスゲー美人。最初の方で俺らが自分達に任せる様に言ったから今は後方警戒と報告で聞いた未だ森に引き籠もっている意味不明なデカさのバジリスクの方に意識を割いてもらっている。いやーでもホント2人とも美人。


「何とかお近づきになれねえかな」


「止めとけ、知ってんだろあいつら訓練所や依頼でどんだけ無茶苦茶やってんのか」


「ええ~? 知ってるけどさ~。ほら一夜の恋なんてあるじゃん?」


 あの娘らともう1人が訓練所でやらかしたのは既に聞いている。てゆうか痕跡見たし。何あれ? 上位の魔法でもぶっ放したの? って感じの破壊痕だったな。


「俺は美人でもあんなおっかないのは嫌だね。それに確かあのチーム男が1人いただろ。今回の依頼には来てねえみたいだが」


「どこ行ったんだろな」


 前にちらっと見たが傷だらけの顔にデカい剣背負ったコエー兄ちゃんだったな。やっぱあの娘らもあんな男らしいのが良いのかね? しかし3人共強いのは噂でよく聞くけどそれでもこんな危ない依頼に女の子だけ向かわせるのってどうなのよ実際。

 もしかして喧嘩別れとかしてたり? ワービーストって感情で行動しがちだし喧嘩っ早いし、結構そういうの多いらしいし? じゃあワンチャンあり?


 しかし騎士団さんも頑張るね。もう半分ぐらい行くんじゃね? この調子で本命のバジリスクも―――


「・・・・・・来る」

「ようやく重い腰を上げましたか」

「どこらへん腰かな?」

「全部腰みたいな感じですよね蛇の体」


 何かお2人さんが唐突に俺らの前に出ていた。あれ? さっきまで後ろにいたよね? いつの間に?


『ロロロロロオオオォォオオオオオオオ!!!』


「うおっ!?」「なんだ!?」「見ろ! 森からだ!」


 ヤバイ鳴き声が森を越え、平野に広く配置されていた俺らのとこまで響く。誰かの言葉につられ森に目を向ける。恐ろしいのが森から這い出てくる。


「―――う~わ。話に聞いてたけどデカすぎじゃね?」


 灯りに照らされ、赤錆色の鱗に覆われた巨体が首を上げる。遠くから見ている俺ですら身が竦む様な気持ちだ。アレを目の前にした騎士団の気持ちはどんなだろ。あのサイズは無理じゃね? オリハルコンのチームいくつ必要になるんだアレ。


「ば、バジリスク・・・なのか?」「本当に何とかなるのかアレ」「確か騎士団がアレ用に罠を設置してたぞ」


 バジリスクが森からどんどん出てくる。普通よりデカいからちっと移動は遅めか? 地面にぶちまけられてるスワンプマンの残骸を挽き潰しながらながらあの巨体が騎士団目掛けて進んで行く。

 騎士団はそれを見て反転、騎竜に跨りスゲー速さでアレから離れていく。どうやら罠を使う様だ。高位の魔法使いでもいれば戦い方も色々と増えんだけどねえ。ある手段で行くしかないわな。

 そうして誘われるようにバジリスクはどんどん進んで行く、そして遂に罠が使われる。

 ある地点に到達した瞬間、バジリスクの頭の下から光が浮かび上がる。俺らの所からじゃ見えないがそこには魔法陣が浮かんでいる筈。8位階の火炎系魔法が4重で込められた設置型魔法陣である。そしてそれは発動する。

 奴の頭部が魔法陣から噴き上がる極太の炎に呑みこまれる。周囲がさらに明るく照らされる。普通のバジリスクならこれで焼き殺せるらしいが。・・・やったか?


 炎が消える

 そこには炎に呑まれていた頭部全体を、何か別の分厚い物で覆われているバジリスクの姿だった。覆っている物は焼け焦げているがバジリスクは力尽きている様子は一切ない。


「・・・おい何だあれ?」「膜?」「いや違う!あれは!」


 頭部を覆っていた物が崩れていく。あれは土? 

 ・・・ち、違う! あれはスワンプマン!?

 焼かれ、熱で魔石が砕けて活動停止し落ちていくそれは人型。そんなのが大量にバジリスクの頭に張り付いていた。あの巨体の頭部を完全に覆える程の数、半端な数ではない。

 なんで!? スワンプマンはそんな速く動けるデミヒューマンじゃねえ! いったいあの一瞬であんだけの数がどうやってバジリスクを庇う様に!? ああ、しかもバジリスクの奴、殆どダメージなんか無いじゃねえか! 

 開いたバジリスクの口から何かが溢れ出す。


『ゴボボボボボボォォオオオオ』


 は? 何だ? 吐き出してる? !? あいつスワンプマンを吐き出してる! 腹の中に飼ってんのか!? そんなの見た事も聞いた事もねえぞ!?

 バジリスクから吐き出され周囲に広がっていくスワンプマン。それが次に取った行動は。


「やべえ! 仲間の残骸吸収してんぞ!」「何でだよ!? 人が目の前にいるんだぞ!?」「知るか! これは俺達も本気で加勢に行かなきゃ拙いぞ!!」


 仲間の残骸を吸収し、膨張していくスワンプマン。それは倍ほどのサイズまで大きくなると左右に裂ける様に分裂し2体になる。奴の増殖だ。

 でもおかしい、あいつらの吸収も増殖も近くに人がいる時は絶対やらねえ行動だ。何故ならその時核の魔石は中央部に絶対にあるし何より動きが止まる。つまりは恰好の的。そんなの悠長に人前でやったら危険だと本能的に感じてんのか普通ならやらねえ行動、だが今はしている。バジリスクが吐き出す分も合わせてどんどん増えていきやがる。


「バジリスクの眼は潰れてる!! 罠の効果があったぞ!!」「呪毒対策無しの冒険者も加勢できるぞ!」「だがそれでも危険だ! ゴールド以下は絶対に近付くな!!」


 良い情報だ。アレの目は厄介すぎる、なら俺達のチームもやれるって事だ。てゆうか刃が通るかなアレ、剣士や戦士系の加護持ちでも厳しいんじゃねえか? 鱗の厚み普通のと比べて倍ぐらい違うだろ。


「おい『シエスタ』!あんたらも加勢・・・あん?」「い、いないぞ?」「何処へ?」


 あれ、ホントだいねえ。ん? いや、は? なんであんな所に!? あの2人もうバジリスクのすぐ近くまで!? てゆうか強えええ!?



 ◆◆◆



 騎士団の人がスワンプマンを必死に倒している。でも数は減らない、それよりバジリスクが吐き出しているのが速い。ならそれを止める。


 スーちゃんと一緒に疾走、騎士団の人達の間を縫う様に通り抜ける。その時すれ違いざまにスワンプマンの魔石を剣で突き砕き、風刃で貫いていく。スーちゃんも斬撃でまとめて魔石を斬り裂いていく。駆けて行けば駆けて行くほどボク達の後ろに泥の残骸が出来上がる。体の何処に魔石があろうがボク達には手に取る様に分かる。

 騎士団の隊長っぽいおじさん発見。


「ヤナギ!」

「うん」


 あの人の近くまで敵を処理しながら行く。なんか驚いた顔でこっち見てる。まあ多分ボク達が片手間みたいにスワンプマンを仕留めてるのに驚いてるんだと思う。故郷でもボク以外じゃスーちゃんぐらいしかここまで正確に出来る人いなかったし。


「き、貴殿達は冒険者の!? 何と云う手際!」


 話しは後にしてもらおう。それはこの人も多分分かってるだろうし。驚きながらも他の騎士の人達よりも速く、槍斧を振って突いて敵を仕留めて行く。落ちて行く残骸がそんなに汚くない。毒と穢れ、瘴気が浄化されてる。この人多分『聖騎士』の加護持ちだ。便利そう、スワンプマンの残骸って気持ち悪いし。


「アレを仕留めに来た」

「バジリスクを殺す。でなければジリ貧でしょう」


 冒険者の皆も外側から戦い始めてる。今のスワンプマンの数は3千程、今も増えてる。皆の加勢で拮抗してるけどあんまり戦況は良くない、いや悪い。じゃあ親玉を殺そう。


「なら私も行こう! おそらく私の攻撃は通らないがそれ以外でなら力になれる!」


 浄化が使えるなら確かにバジリスクの毒をどうにか出来る。でもボク達には必要ない。この人はここで皆と一緒に抑えてくれていた方がボク達もやりやすい。


「いらない」

「隊長殿にはここで皆の力になっていてほしい」

「ボク達だけでヤる」

「他の者にも手出し無用とお願いします」


 風をボクとスーちゃんに纏わせる。そして前の方にいる鈍間な大蛇目掛けて走り出す、後ろで隊長のおじさんが何か言ってるけど無視。殺すのは早ければ早い方が良い。


 さあスーちゃんと一緒にアレを開きにしてやろう。



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