第1話 マナの過去~母の死、リーダーとの出会い~
「今日の依頼と依頼内容は?」
「今日は隣町に住む田辺彩香さんを殺る。依頼者は20歳女性。依頼内容は彼氏の浮気相手を殺してくださいというものだった」
「浮気とか不倫とかそういうの最近多いよね」
「そして浮気をする奴についていく女性も多い。変な世の中だよ」
「マナはそういうやつについていかないでよ」
「…………」
私は手に持っていた写真を眺めていてメンバーの話を聞いていない。
「マナ?」
「…………あっ、すみません。聞いてませんでした……」
「気を付けてよ」
「仕方ないよ。だって今日はマナのお母さんの命日なんだから」
この話の意味はどういう意味なのか、どうして私はここにいるのか。それは13年前に遡る…
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「まなちゃん、ママ来たよー」
「ママー」
「よしよし。楽しかった?」
「うん」
「じゃあ帰ろっか」
「うん」
この時の私は3歳。1歳の時に父を亡くし、母が女手1つで育ててくれていた。私には父がいなかったがそれなりに楽しい日々を送っていた。そんな時だった。
「うっ」
「動くな」
「ママ?ママ!」
私が振り返ると母がリーダーに首を絞められ殺されかけていた。
「まな…ごめんね…ママ…殺されるわ…まな…これからは…人の言うことを…よく聞いて…明るい子に…なって…ね…」
そういうと母は目を閉じガクッと崩れ落ちた。
「ママ?」
「死亡確認。ご臨終ね」
医師免許を持っているヒカリさんが心拍数を確認し、こういったとき、私はとても笑いがこみ上げてきた。
「ふふふふ、あはははははは」
自分の母が殺されたのに笑ってる。人ってこうやって殺されるんだ。自分の母が殺されて寂しいはずなのに心の底から笑いがこみ上げてきた。普通の人だったら変な人にしか見えないだろうがリーダーや、ヒカリさんは笑った意味をわかってくれた。
「お前、まなっていったな。いくつだ?」
「いくつ?」
「何歳?ってこと」
「3歳」
「3歳か。お前父さんは?」
「いない」
「そうか。お前俺らについてこないか?」
「え?」
「おじちゃんたち別に悪い人じゃないし」
「十分悪い人に見えるんだけど?リーダー」
「そんなことないって。で、どうかな?」
「えっと…」
「突然こんなこと言われても分からないよね。でもさ、このまま知らない人に育てられたり、孤児院に行くよりはずいぶんいいと思うの」
「孤児院?知らない人?」
「私たちについてくれば人を殺すことがたくさんできるの。どうかな?」
「やりたい。私、おじちゃんたちについていく」
「おし、わかった」
「でも、今連れて行ったら警察に怪しまれるよね」
「おし、だったらこいつの葬式が終わったら抜け出してこい。その時に連れていく」
リーダーが母の死体を足蹴りしてそういう。
「わかった」
「おし」
「それじゃあいったん逃げるぞ、ヒカリ」
「はい。リーダー」
リーダーとヒカリさんは、去っていった。それから、近所の方が私ともう死んでいる母を見つけ警察に連絡してくれた。次の日、母のお葬式が終わったのち、リーダーに言われた通り、抜け出すと、ヒカリさんがいたので、ヒカリさんと一緒に車に乗り込み、アジトへ向かった。そして、アジトに着くとそこには今のメンバーがいた。リーダーが私が来ることをみんなに教えてくれていたみたいでみんな私の存在にすぐ気づいてくれた。
「昨日言っていた新入り?」
「ああ」
「まなちゃん自己紹介出来る?」
「岸原まなです。3歳です」
「3歳にしてはしっかりしてるじゃん」
「確か昨日リーダーが殺した奴の子供なんだってな」
「ああ。こいつは恐らくサイコパスの人格を持っている。父親がいないみたいだから殺人科に招き入れた」
「サイコパスか。リーダーがそういうんだったら間違いないな」
「そうね」
「じゃあ、こいつを殺人化に入れていいんだな」
「ああ」
「よろしく、まなちゃん」
メンバーが握手を求めてきて、私はメンバーの手を握る。これから、どうなるんだろうそういう気持ちで当時3歳の私は前を向いていた。