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7話

今日もさーちゃんが可愛い(←親バカ

「……」

 暗い。いつの間に寝てたんだろう。すぐ隣には弘美ちゃんが眠っています。

 起こさないようにそっとベッドを抜け出す。お手洗いに行きたいけど……。時計を見ると夜中の3時です。部屋の扉を開けて真っ暗で不気味な廊下をみて、部屋に戻る。

「みぃ、いないんだった…」

 幽霊などの類は信じてはいませんが、暗いのは苦手です。いつもはみぃについてきてもらうけど、流石に弘美ちゃんをわざわざ起こすのも気が引けます。

 そのままどうしようか迷っていると、

「どうしたの? トイレ?」

「あ、えっと。はい」

「あたしが連れてってあげるわよ。まだ起きてたの」

 弘美ちゃんのルームメイトさんですね。帰ってくる前に眠ってしまったなんて、失礼なことをしてしまいました。シャンプーかな? ふんわり甘い香りがします。

「手、つなぐ?」

「……すみません」

 片手は彼女の手を握って、もう片方の手はスマホのライトで先を照らしながら歩く。ぼんやりとしてはっきり顔が見えるわけじゃないけど、多分この人すごく美人さん……。

「あたし、久城萌香くしろもか。同い年だよ。萌香って呼んでね。あなたは?」

「小野宮桜来っていいます。よろしくお願いします。……萌香ちゃん。昨日は、すぐ寝ちゃったみたいで」

 話しやすそうだし優しい人で、ホッとする。弘美ちゃんが会わせようとしないからどんな人かと思ってたけど。

「いいのよ。あたしいつも門限ギリギリに帰ってくるから。多分、それで弘美は桜来を泊めようって思ったのね」

 弘美ちゃんの時もだったけど、初めて名前を呼ばれたり、呼んだりするのはドキドキしますね。新鮮だし、新しくお友達が出来るのは素直に嬉しいです。

 いつも遅いということは、アルバイトでもしてるんでしょうか。

「弘美ちゃんと、仲が悪いんですか? さらを、会わせたくなさそうだったから」

「まー、良くはないわよねー。あたしは別になんとも思ってないけど、あっちはあたしのこと嫌いみたいだし。気にしてないからいいけどね」

 馬が合わないことなんてよくありますよね。

「着いたよ。ここで待ってるね」

「はい。ありがとうございます」


 はぁ。まだ3日目なんて。明日がやっと折り返し地点。なんだか憂鬱です。

 来た時と同じように手を繋いで部屋に戻る。

「うふふ、楽しみだな〜」

「何がです?」

「朝の弘美の反応だよ。あたしたちが仲良くなったの知ったら、びっくりするわよ」



 ☆ ☆ ☆


「桜来?」

「おはようございます……」

「大丈夫か?」

 かろうじて顔を出して、応えます。動けません。

「顔色が悪い。どこか痛むか?」

「お腹と、腰が……」

「まだ、本調子じゃなかったんだな」

 弘美ちゃんが腰をさすってくれます。心地よくてまぶたが重くなります。

「あたし薬持ってるわよ。あげましょうか?」

 萌香ちゃんだ。ちゃんと寝れたでしょうか。遅くまで起きてたみたいだけど。ベッドのそばまで来てくれて、初めてその顔を見ました。弘美ちゃんとは違った大人っぽさ。華やかで色香ただようとっても綺麗な人です。こんな人と歩いていたなんて。

「お薬は苦手なんです」

「じゃあ何か体があったまるもの買ってくるよ。待ってて」

 そのまま財布だけをとって部屋を出ようとする背中をなんとか呼び止める。

「も、萌香ちゃん、大丈夫、です……」

 いつもの事だし、寝てれば気にならないし。今日は日曜日ですから。お昼からでも勉強はできますし。

「いいのいいの。あたしも約束まで時間あるから」

 何故か弘美ちゃんを見てにこりと笑った後、萌香ちゃんは部屋を出ていった。

「知り合いだったか?」

「えっと、夜中トイレに、連れていってくれて」

 トイレに1人で行けないなんて恥ずかしいです。子供だって笑うかな……?

「次からはわたくしを起こしていいから。萌香が起きてても。気分がよくなるまで横になっているといい。お腹は空いてないか?」

 次、か。お泊まり楽しかったから、また出来たら嬉しいかもです。

「はい。あの、いつも朝は食べないので……」

「そうか。そういえば、横山先輩にはここに泊まることを言ったのか?」

「いえ。ちょうど、みぃもお友達と遊ぶことになったみたいで。その連絡に分かったとだけ」

 みぃがお泊まりするのは結構珍しいかも。いつもさらを心配するから、自分のお友達と遊ぶことを我慢してるんじゃないかって、ちょっとだけ心配してたり。

「ただいま。行く前に聞けば良かったけど、ココアは飲める?」

 弘美ちゃんが体を起こすのを手伝ってくれて、萌香ちゃんからあったかいココアを受け取る。

「ありがとうございます」

「いいのよ。友達だもの。それで体をあっためてリラックスして、また横になってるといいわ」

 普段は飲まないけど、たまに飲むココアは美味しくて好きです。手に力が入らなくて、蓋を弘美ちゃんが開けてくれました。

「本当に、弘美ちゃんも萌香ちゃんもありがとうございます。助かります」

 温かくて甘い。体がポカポカしてきます。新しいお友達も隣にいて、心もポカポカです。

 半分ほど飲んだところで、眠気が限界になってきました。また布団にもぐります。


「おやすみ。桜来」


 一昨日のように、あの温かい手が恋しくなって。ベッドに置かれた弘美ちゃんの左手に、自分の右手を重ねる。避けられなかったことにホッとして目を閉じる。意識を手放す前、弘美ちゃんが手を握ってくれるのが分かった。ポカポカだ。月経痛なんて厄介でしかないけれど、弘美ちゃんと出会えたことを思えば感謝してもいいのかもしれません。


なんとなく運動する人って寝付き良さそう。朝まで起きなさそうなイメージ。

そして萌香ちゃん、変な遊びしてるみたいだけどそれ以外はとってもいい子でしょう? 今のとこはw

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