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4話

我ながらめちゃくちゃややこしい感じになった( ꒪⌓꒪)

「昨日の今日でしょう? 本当に大丈夫なの?」

「大丈夫」

 昨日は紫咲さんにお世話になってしまいました。今日は学校は休みですが、電車で一駅の実家まで日帰りで帰省します。歩く距離は大したものでは無いし、今日は調子がいいので……おっと、電話がかかってきました。あれ、愛夢(あむ)お姉ちゃんからだ。

「もしもし?」

『さーちゃんっ!』『さらちゃん!』

 音夢(ねむ)お姉ちゃんも一緒だ。

「どうしたの? 今学校を出ようと思って……」

 自作のポシェットを肩から提げて、準備は万端です。

『うん! ニアマートで待ってるからおいで!』

『待ってるからね〜』

「え、なんで、」

 ……切れちゃいました。わざわざお迎えなんて、大丈夫なのに。

「なんて?」

「ニアマートで待ってるって」

「それなら安心だわ。行ってらっしゃい」

「行ってきます」


「愛夢お姉ちゃん、音夢お姉ちゃん、ただいま」

「「さーちゃん(さらちゃん)おかえり!」」

 ライトグリーンの軽乗用車で2人は待ってくれていた。黒髪ロングの髪をおさげにしているのが愛夢お姉ちゃん。同じく黒髪ロングだけど天然パーマでふわふわな髪をしているのが音夢お姉ちゃん。今日の運転手は音夢お姉ちゃんみたい。

「なんでお迎え来たの?」

「昨日みもりんからさーちゃん調子が悪いみたいって聞いたからー」

「音夢ちゃんが迎えに行くって言い出したの。私は軽いから分かんないけど、音夢ちゃんは昔から重たいのよね。さらちゃんきっと歩いてられないからって」

 みぃか。そういえば番号交換してるんだった。大丈夫

 なのに。音夢お姉ちゃんが元気無いの、見たことないような気がするけど。そういうふうに振舞ってくれてたのかな。

「さーちゃんもお薬飲んだら? すっごく楽になるよ」

「さら、病院もお薬も嫌い」

「でも、今の方が辛いと思うよ?」

 産婦人科なんて行きづらいし、お薬飲むの難しいし。

「嫌なの」

「もー、さらちゃんは頑固なんだから」

 愛夢お姉ちゃんが助手席から手を伸ばして頭をポンポンしてくれる。これで嬉しいと思うあたり、まだお姉ちゃんたちに甘えてるんだなと感じる。こんなんじゃダメなのに。

「勉強は大事だけど、結構なんとかなるものよ。肩の力抜いていいんだからね」

「そーよ。体調崩される方が、こっちは心配になるからね。なんならお姉ちゃんたちで養ってあげるし」

「そーそー」

 お姉ちゃんたちなら本当にそうするんだろうと思う。そうならない為に、今寮生活でいっぱい勉強してるんだけど。

「……うん。ありがとう」

 そうして家に着き、ママたちに迎えられる。

「桜来、おかえり〜」

 ギュッと抱きしめられる。あれ、ママすごく髪がはねてる……。

「さーちゃん! おかえりなさい。もうちょっと待ってね〜。叶香ママったら今起きたばっかりなのよ」

 そうやって叶香(きょうか)ママを引き離して洗面台へ引っ張っていくのは和奏(わかな)ママ。和奏ママはもう着替えもお化粧も終えて、料理でもしてたのかエプロン姿だった。


「ゆっくりで大丈夫だよ。ママたちへのプレゼント、もう少しで出来るの」

「まあ! 楽しみにしてるわ!」

 テーブルに着いて、編み物を始める。

 さらのお家は、他のお家とちょっと違うらしいです。パパはさらが小さい時に事故で死んでしまいました。さらを産んでくれたのは叶香ママ。和奏ママは元々中学からの後輩で、恋人です。同じお家に住んでずっとさらたちを可愛がってくれてて、お世話もしてくれています。だからさらもお姉ちゃんも、和奏ママと呼んでるの。

「叶香ママねー、さーちゃんが帰ってくるのが楽しみで寝れなかったみたい」

「今日は和奏ママが朝ごはんを作ってくれたのよ。お昼も昨日から仕込んでたみたいで」

 さらはあんまりたくさん食べれないんだけど、帰ってくるといつも気合いの入った料理で迎えられる。ママたちの料理、すごく美味しいんだけどね。

「和奏ママも楽しみだったみたい。もちろん音夢たちもだよ」

 そう言いながら2人にギュッと抱きしめられます。

「もう、たった一週間ぶりなのに大袈裟だよ」

 パパはいないけど、みんなさらを大事にしてくれるから、寂しくないしとっても幸せです。


「それで、今週は何かあった?」

「そんなに毎週毎週話すことなんか……あ」

 ふと紫咲さんのことを思い出す。昨日のことは、いつものことを考えたら少しだけイレギュラーだったかもしれない。

「昨日、保健室で休んでたんだけど、帰りは同い年の人におんぶして送ってもらったの。みぃがずっと前からカッコよくて好きなのって言ってた人なんだけど」

 また一緒にお茶する約束したから、ちゃんとその時はさーちゃんもいなきゃダメだよって、みぃに言われた。さらはあんまりお話ししてないし、まだお友達ではないかもしれないけど、もう少しでそうなれるかもしれない。

「あらまあ! じゃあ、ついにさらちゃんからそんなお話が!」

「よし、じゃあ来週はその子連れてきなさいな。お礼もしなくちゃね」

 そんなつもりじゃなかったんだけど。ママたち、途端にやる気になっちゃった。

「お礼はしなくちゃと思ってたけど、家に呼ぶなんて大袈裟じゃない?」

「いいじゃない! だって、桜来が実守ちゃん以外の子のお話するなんて珍しいし」

「面白そうだから連れておいでよ! お姉ちゃんたちも楽しみにしてるね!」

 多分、愛夢お姉ちゃんが言ったことがみんなの本心なんだと思う。でも紫咲さん、部活やってるみたいだったし。週末は忙しいのかもしれない。連絡先を交換したわけでもないから次いつ会えるか分からないし。

「今度会った時にお誘いだけしてみるよ。よし、出来た。長さこれで足りるんじゃないかな」

 ママたちはとっても仲良しで、よく二人でお出かけしてるから。

「あら、マフラーを作ったのね! 叶香ママと一緒に?」

「うん。2人一緒だったらもっとあったかいでしょ?」

 2人一緒に巻けるマフラー。巻いてあげるとちょうどいい長さだった。

「うふふ、さすが桜来ね」

 ギュッと抱き合って自然とキスする2人。さらもお姉ちゃんたちも、仲のいいママたちを見るのが大好き。とっても安心する。

「さっそく今日から使いましょ! お昼ご飯を食べたらショッピングにでも行こうかって話してたのよ。ね?」

 ショッピング。何か欲しいものあったかな。

 週に一回会うことも周りによくびっくりされるけれど、やっぱりさらには必要な時間なんだなって思う。だってなんだかんだ言ってても、楽しみなんだもの。


愛夢→さらちゃん

音夢→さーちゃん

叶香→桜来

和奏→さらちゃん

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