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13話

「あれ、紫咲さん。さーちゃんなら帰ったけど、約束してた?」

「いいや。まだいるかなと思って」


 部活終わり、桜来のクラスへ。バレンタインのプレゼントを作る子たちの手伝いをする事は聞いてたから彼女たちがそうなのだろう。人数が多くないか? 同じクラスも何人かいるし。


「邪魔して悪かった。じゃあ、」

「ちょーーっと待った。まあまあまあ、ゆっくりしてってよ紫咲さん」


 ちょうど帰ろうとしていたのか鞄を抱えているのに、わたくしの腕を引っ張って教室に逆戻り。


「どうしたんだ?」


 あっという間にみんなに囲まれる。

 これは、ちょっと嫌な予感。


「ねぇ、紫咲さんて、さーちゃんと付き合ってるの?」


 付き合ってるかだって? 周りにはそう思われている? 確かに泊まりに行くことはあるし、ごはんだって作るけど……、


「いや。彼女とは友人だよ」

「じゃあじゃあ、久城さんは? なんかすっごい親しそうにハグしてたんだけど。距離近かったし。付き合ってるの?」

「まさか!」


 頭で考えるより先に否定の言葉が口から飛び出す。なんなんだ、これ。何故だか萌香が桜来と付き合ってるなんて考えるのもすごく癪だ。


「良かったぁ〜」

「紫咲さんがライバルだったら勝ち目ないもん」

「あたしは桜来ちゃんが幸せならそれでいいけどね」

「私は彼女にしたい! それで、毎日抱きしめたい!」


 安堵の声が広がる。


「ライバル?」


 いまいち状況を掴めていないようだ。


「ここに来てる子たち、みんな最初はバレンタインのプレゼントを作るために来てるの。でもだんだん、桜来ちゃん、すごく教え方が上手だし可愛いし人数が増えても純粋に喜んでくれるし、ここに来たことを機に手芸にハマっちゃっていろいろ作ってること言ったらすごく嬉しそうな顔しててそれが可愛くて!」


 熱く語る彼女の気持ちが本物である事は明らかだ。


「 ……つまりは何が言いたいかというと、最早ファンクラブみたいなものですよ。本気で彼女に狙ってる子もいるし。紫咲さんとお友達なのは皆知ってるけどそれ以上になりたいなら……急いだ方がいいですね」


 桜来への気持ちは伝わってきたが、正直何故わたくしにそんな話をするのかは分からなかった。


「……そうか。でも、私が恋人を作るなんてまだ早いと思ってるから」


 そうか、本人がいない今がそれを聞くチャンスだったんだな。


「そう! じゃあ、私も遠慮なくアタックできるかな。じゃ!」

「引き止めてごめんね、紫咲さん」

「いや、いいんだ」


解放されたわたくしは教室を出て寮に戻ることにする。

桜来は萌香と一緒にいるのか?

ただ一緒に帰っただけならいいんだが、なんだか嫌な予感がする。

彼女が人といるところはあまり見たことがないが、わざわざクラスまで来たということはよっぽど桜来を気に入っているんだろう。


「あ、紫咲さん。そういえば今度ね、新聞部の子がインタビューしたいって言ってたんだ。もし会ったら予定聞いといてって言われたから教えてほしいんだけど……」


インタビュー? それなら部活中に抜けても何も言われないだろうし、いつでも大丈夫だろう。


「部活の関係か? こちらはいつでも構わない。日時が決まったら教えてくれ」


だいぶ空いたな、、

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