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9話

短いです

「桜来?」

 3人で雑談しながら、美守先輩が盛りつけてくれたフルーツをつつく。

 隣では少し前からうさぎリンゴをフォークに刺したまま、桜来が船を漕いでいた。

「眠いなら寝たら?」

「寝れる時に寝ておかないとな」

 こくん、と頷いたのか。それとも眠くてそうなったのかは分からないが、その後カタンとフォークを置いた。というよりは落ちた。そのまま寝てしまったようだ。

「さーちゃんここで寝るのはダメだよ〜」

 こうなったら後はわたくしの役目だろう。いつも美守先輩はどうしてるんだろうか。流石に彼女を抱えることは出来ないだろうし。

 いつぞやと同じようにベッドに寝かせて、おいとますることにする。

「じゃあ、桜来も寝ちゃいましたし、わたくしはこれで」

「待って、今日は泊まっていかない? さーちゃんも弘美ちゃんが一緒に寝てくれたらぐっすりだろうし。これも食べきっちゃいましょ?」

 断る理由も特に浮かばず、またテーブルに着く。

 わたくしのことをファンだとか、好きだと言ってくれる人とはこういう事をしたりしない。どう接していいか分からないから。でも二人とももう、友人として接してくれている。お泊まりもたまには良いような気がした。

「いつもこんな感じなんですか?」

「まさか。いつもはお風呂上がってからまた勉強するかこうやってお喋りして、寝るときはちゃんと自分で布団に入るもの。弘美ちゃんがいる時が特別なだけよ」

 特別だなんて、まだ会って1週間も経っていない。それに今がすごく眠たくなる期間でもあるかもしれないし。そういう人もいると聞いたことがあるから。でも、美守先輩の言葉はすごく嬉しかった。


 ☆ ☆ ☆


「……?」

 翌朝目が覚めると、桜来のつむじが視界いっぱいに飛び込んできた。夜中のうちに腕の中に潜り込んできたらしく、わたくしが抱いているような体勢だ。

「ん……」

 わたくしが身じろいだせいで起きたようだ。まだ時間は早いだろうし、悪いことをしてしまった。時計を確認する事も今は出来ないが。

「ひろみちゃん……?」

「おはよう、桜来」

 なんだろう。この小っ恥ずかしい状況は。

 眠い目をこすりながら桜来が起き上がった。

「体調はどうだ? よく眠れたか?」

 ようやく時計を見るが、やはり早起きというにも早いような時間だ。

「うん。大丈夫……おねーちゃんと思って。ごめん、邪魔だった?」

 寝ぼけて甘えてたのか。何故だか少し、悔しい気がする。

「いや、今起きるまで気づかなかったから。ぐっすり寝れたなら良かった。時間までもう少し寝たらどうだ?」

 わたくしも準備しに戻らないといけないとはいえ、部屋は近いしいつも通り起きれば問題ない。念の為携帯のアラームを設定する。

「んー……」

 ふわぁと欠伸したあと毛布を被り直し、またもぞもぞと腕の中に戻ってきた。

 ……可愛いな。


 わたくしももう一眠りしよう。

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