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戯曲:翼をもつ盗賊  作者: 羽虫
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間章 継承と死

特になし。

 間幕 継承と死


 森、奥地にて。

 少女、傷ついた少年を膝に寝かせる。

「ハルク! ハルク、しっかりなさいよ。こんなところで、寝てる場合じゃないでしょう。もう、ガリアの軍がそこまで来てるわ」

「悪いな……もう、飛べそうにない。それどころか、起き上がることすら…… (軍馬の音) ちっ、もう来やがった。ソフィア……お前だけでも、早く行け。お前が死んだら、俺は、また親父にドヤされちまう……そんなのは御免だ」

「嫌よ! だいたい、徒歩でどうやって馬から逃げろというの? 私は、空の民ではないの! 大地の民よ。あなたの額のような、祝福の聖痕は無いの。翼はあなたにしかないのよ。何よ、ギースおじ様に怒られるくらい……生きていればこそじゃない!」

「そうだ……国を変えられるのも、お前の命があってこそだ。お前が死んでしまったら、俺たちは終わりだ……一人残らず殺されちまう。そんなの嫌だろ……さぁ、俺の腰に、ナイフがある。俺を刺すんだ」

「嫌よ! どうしてあなたを、手に掛けなきゃいけないのよ」

「お利口なお前なら、分かるはずだ。翼の継承だ。お前になら、女神の祝福も必ず現れる……民を愛しているんだろう?」

 少女涙流して、

「えぇ、愛しているわ。王宮を出てからは尚更よ……人々が田を耕す姿が好き。汗を流した後、みんなで飲んだ葡萄酒が、汚いグラスに注がれても美味しいなんて知らなかった。空の上から見る女神の大地が……美しいことも学んだわ。それは全部、あなたに教わったの。その翼で、あなたが教えてくれたのよ」

少年ナイフを取り出し、少女の手に、

「そんなお前だから、託せるんだ」

 少年手を取って、受け入れる。

「……っ……嘘よ! こんなの、こんな事ってないじゃない。血が止まらない……ハルク、ハルク! 目を開けなさい。ハルク!」

 女神慈悲深く。叫ぶ少女に聖痕と翼を宿す。




投稿はかなり遅めです。

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