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探偵シリーズ ~ 大怪盗の夢 ~  作者: 土井淳
第五章 ~ 名もなき招待状 [前編] ~
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調査ファイル 064 [もう一つの鍵]

「あの・・・レイさん?」


気が付くと、コウキ君は悲しそうな表情をしている。

絶句した姿を見て動揺を隠せないのだろう。

上目遣いで様子を伺っている。


「―――!

あ、ああ、すまない・・・」


あの言葉は、私が夢で聞いたものだ。

当然口外などしていない。

どういうことだ・・・?


「あれってどういう意味なんでしょうね・・・」


「そ、そうだな・・・」


思わず動揺してしまった。

その上彼の質問を受け流してしまった。

もっとしっかりせねば。

もっと―――!




「レイさん、僕からも1つ聞いてもいいですか?」


「ああ、構わないが・・・」


「先程の件ですが、堂島さん・・・でしたっけ。

何故彼は殺されたのでしょうか?」


私たちが決して見逃してはいけない案件。

堂島芳次氏、殺人事件。

あの時洞窟奥に行った際、何者かにスタンガンを当てられ、別室へと運ばれた。

そこにあった堂島氏の遺体―――


「恐らく、私たちが気絶している頃には既に亡くなっていた―――時期的には2回目に洞窟へ向かった辺りかな。

彼らとの間に確執があったのだろうが、詳細は不明だ」


「どうして死亡時刻がわかるんですか?」


「遺体の温度、血痕の乾き具合、そして部屋から出た時の陽の当たり具合・・・

それらを考慮すると、大体その辺にあたる」


亡くなってからそう時間は経っていなかった。

しかしあの部屋が殺害現場となると、妙な点が浮かぶ。


「それにしても、血痕が少なすぎる。

刺殺にせよ銃殺にせよ、何かしらの痕跡が残るのが必然だ。

だが何もなかった・・・ということは、彼は別の場所で殺害され、犯人があの部屋に移動したということか」


「つまり、レイさんに濡れ衣を着せる為・・・?」


可能性は否めない。

実際問題、捕まったしな。

それ以上に気になるのは、誰が()ったかだが―――




「あっ!」


素っ頓狂な声を上げるコウキ君。

不覚にもちょっと可愛いと思ってしまった自分がとても悔しい。

ニヤつきそうになるも、上っ面の冷静さで隠しながら問う。


「そういえば、洋館にいたとき、あの人たちの会話が聞こえたんです」


どえらいビッグヒントを繰り出した。

詳しく聞こうじゃないか。


「隣の部屋だったんですけど、壁越しに何となくなんですけどね?

『珠が・・・』どうとか言ってたんです」


(たま)―――

それは恐らくボウリングや野球で使うような“ボール”ではなく、儀式などに使う宝珠の類。

仮にそれが宝の正体だとしたら、何となくわかるような気がする。

だが宝探しに来たわけでもない彼らがそんな事を口にするのも変だ。

オカルト研究会だけに、呪いの儀式に使う宝珠を探しにきた・・・とか。

いや、それも前者とあまり変わらないな。

何れにせよ、その宝珠も秘密を知る上の鍵の1つだろう。


「ふむ・・・

コウキ君、一度洋館へ戻ろう。

珠の正体―――宝珠の在処を一度調べておく必要がある」


「ええっ!

外は真っ暗ですよ、返って危険じゃないですか?」


「すぐには出ないさ。

夜が明けたらここを出る、いいね?」


微笑みを渡すと、コウキ君も納得してくれたのだろう。

彼自身も微笑みを返してくれた。

硬い地面を考慮したのか、彼は鞄からシートを広げる。

そして私たちはシートの上、寄り添いながら眠りへと向かった。




翌朝―――

まだ幼い朝日が生まれた矢先、洞窟を後にした。

さすがに何度も訪れたせいか、テトラポッドの昇降が軽快なものになっていた。

道行く道を警戒しながら、草むらを掻き分け、川を越え、洋館へと向かう。

その道のりは裏道を使った為、激しく険しいものだった。

流石に“裏道”というだけあって人っ子一人いなかった。

反面、洋館に到着した時には、体中汚れと怪我でボロボロの状態に。


洋館の裏手から中に入ると、エントランスには相変わらず誰もいなかった。

人の気配はなく、これはシメたと階段を登る―――


「・・・!!」





階段を登り切ると、そこにいたのは―――




To Be Continued...


※本作品はフィクションです。実際の個人・団体・地名・事件等とは一切関係ありません。

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