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探偵シリーズ ~ 大怪盗の夢 ~  作者: 土井淳
第一章 ~ プロローグ ~
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Prologue -001 [片鱗]

どうも、土井淳です。

肩こりが酷いときは、主にストレスです。

PCのやりすぎは肩こりの原因の一つですので、適度に羽休めすることをオススメします。

また、小説を読んで下さる読者様にも、例え面白い作品がございましても、適度に休まれることを推奨します。

いつまでも健康に。

2016年2月21日、14時10分。

僕は303号室に戻り、前田さんを呼んだ。

事情を話すと、前田さんは警察へ応援を要請した。

そして二人で手分けして看護師並びに医師に事情を説明し、この病室のある階と病院入口を封鎖した。

幸い、大島さんは病院を出る寸前で騒ぎに気付き、病室まで戻ってきてくれていた。


10分後、パトカーの音が響き、警官や鑑識さんたちがやってきた。

大島さんは他の警官と共にシュヴァルツの監視を、僕は前田さんと現場検証を行っていた。

亡くなったのは305号室の『林原一朗太』さん、54歳。

死因は凶器で胸を刺されたことによる失血死。

検証を行ってから暫く、先程から感じている違和感、どうやら前田さんも感じていたらしく、


「この仏さん、なんか妙だな」


いつになく真面目なトーンで呟いた。

そう、確かにこの部屋は少し妙なのだ。

ただ、部屋の内装は303号室と変わりはない。

が――


「あれ?」


――ない。

仮にここで殺害されたとしたら、絶対にあるはずのものがない。

そしてこの凶器と思われるナイフ、これが絶妙な違和感を放っている。

なんだろう、何かがおかしい。


「前田さん、このナイフおかしいと思いませんか?」


「ふむ・・・これが致命傷となった凶器だろ?」


やはりそうだよな。

ではこの違和感は――?


「違うわよ」


ギョッとして、僕たちは振り返った。

そこにいたのは――シュヴァルツだった。


「おいおい嬢ちゃん、現場に入っちゃ――」


「このナイフ、凶器じゃないわ」


空気が固まったかと思った。

凶器じゃ・・・ない?

じゃあ胸へ垂直に刺さっているこちらのモノはナンデゴザイマスカ?

前田さんも同意見だったようで、


「はぁ・・・嬢ちゃん、これは凶器だ。身体にぶっすり刺さってる以上は凶器だろうがよ」


そうだよ、これが凶器じゃなければ一体何なんだ。

もしや、警察を混乱させる為にわざとデタラメなことを・・・?

いや、それにしては目の色が違う。


「これは凶器以外のものを凶器に見せかける為のフェイクよ」


フェイクだと?

ということは、本物の凶器で殺害したあと、凶器を抜いてこのナイフでもう一突きしたってことか?


「嬢ちゃん、いくらなんでも憶測で物を言っちゃあ――」


「刺さってるナイフと、傷口をよくご覧なさい」


恐る恐る見ると・・・あれ、サイズが違う。

傷口が4cmくらいなのに対して、ナイフの幅は2cmくらいだ。

もしこのナイフで刺したとなると、傷口はもう少し小さいはず。


「あとこの部屋、血痕が飛び散ってないわね」


「あ?血痕だと?」


そうか、違和感の正体はこれか。

もしここで殺害されていたならば、床や壁に血痕が飛び散っているはず。

でもこの部屋には飛び散った血痕はどこにも見当たらない。


「とりあえず、この部屋に立ち入った人間全て洗い出して」


「なんでオメェが仕切るんだよ、警察をなんだと――」


「いいから集めなさい!グズグズしてると迷宮入りするわよ」


シュヴァルツが・・・怒った。

ホント、さっきまでの彼女は一体何だったんだ。

そして年下の女の子に怒られるおじさんというのも・・・


20分くらい経った頃だろうか、前田さんは男女計3人を連れてきた。

一人目は医師の『高柳宗一』、事件発生の2時間前に305号室に入ったという。

二人目は清掃員の『溝端ノブ』、事件発生の1時間前に305号室に入ったという。

三人目は看護師の『宮川茜』、事件の第一発見者だ。

シュヴァルツは、この3人の中に犯人がいると睨んでいる。


「シュヴァルツ、本当にこの中に犯人がいるのか?」


「ええ、間違いないわ」


どっか来るんだその自信は。

僕はついさっき凶器がフェイクって知ったばかりだぞ。

それにこの洞察力と滲み出る謎の余裕――本当にただの泥棒なのか?

そんな不安をよそに、彼女は話をトントン進めていく。


「それじゃあ、事件のおさらいをしましょう」


事件の概要

①14時10分、事件発生。

②死因は胸を刺されたことによる失血死。

③被害者の凶器は偽装工作がされており、本物の凶器は未発見。

④部屋に血痕がないことから、殺害されたのは305号室ではない可能性が高い。

⑤容疑者は高柳宗一、溝端ノブ、宮川茜の3名で、それぞれ事件発生2時間前、1時間前、事件直後に部屋へ立ち入った。


「とりあえずこんな感じかな」


「さて、一体誰が犯人なんでしょうねぇ――」




To Be Continued...


※本作品はフィクションです。実際の個人・団体・地名・事件等とは一切関係ありません。

『探偵シリーズ ~ 大怪盗の夢 ~』プロローグ第五話、如何でしたでしょうか。


プロローグも終局、事件の真相に迫ります。

最初は犯人側のシナリオや巧妙なトリックを用いて、みんなで謎解きスタイルを考えましたが、その脚本を考案して10秒で諦めました。

そこまで頭よくないものでして・・・(汗)


さて次回はシュヴァルツが大活躍!

乞うご期待!

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