表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
探偵シリーズ ~ 大怪盗の夢 ~  作者: 土井淳
第一章 ~ プロローグ ~
3/129

Prologue -003 [大怪盗シュヴァルツ]

どうも、土井淳です。

前述でも申し上げた通り、部分的に作った部分をタイピングで肉付けという作業なので、ナンバリングが変わったりすることがあります。

話作りの上でごっちゃにならないように心掛けてはいますが、悪しからずや。

プロローグで躓いたりしてる内は、まだまだなんですね(汗)

2016年2月14日、夜。

そんなこんなでシュヴァルツ捕獲隊に迎えられた僕は、美術館外の南側にて待機していた。

昼間はあんなに汗かいて暑かったのに、今じゃ真逆だもんなあ。

しかも汗で濡れたシャツが乾いて余計に身体が冷える。

こんな時、あったかいコーヒーでもあればなあ。


「…だ…ちの調……い!」


「はい!すみません!なんでしょうか!?」


手に持ってた無線から突然怒号が聞こえた。

ボーっとしてたからね、そりゃあ怒られるよね。

頭を数回横に振った後、怒号の消えた無線に応答した。


「こちら津田、南側異常ありません」


異常なんてあるもんか。

絵画があるのは北側、入口のある南側にいたってシュヴァルツは現われやしない。

もし入口から侵入したら、新生のアホだよ。


そう高を括っていたが、予告時間が近づくにつれてだいぶ緊張してくるわけで。

予告では20時ジャスト、現在19時50分――あと10分か。


「いよいよだな・・・」


世紀の大怪盗と交戦するのではないかという緊張と、どこか怪しいと感じる違う意味での緊張が、不安という形に擬態して心を徐々に蝕んでいく。

さっきまで頻繁に連絡のくれた先輩方も、時間が進むにつれて連絡が来なくなった。

やっぱり緊張しているのだろうか。


空は雲一つない暗黒に、月明りが幻想的に映えている。

幸い雪も降っておらず、視界は良好だ。

この分ならシュヴァルツが飛んでたとしても見えるよな・・・ん?


「なんだろう――?」


西側で何かが薄く光った。

予告まで10分、少し様子を見に行くだけなら大丈夫だよな。

安易な考えを抱いてしまった僕は、そのまま西側に足を運んだ。




今思えば、ここがターニングポイントだったのかもしれない。

もしここで留まっていれば――




西側に回った僕は、大きな違和感を覚えた。

さっきから、配置されているはずの捜査員が見当たらない。

それだけじゃない、30分近く無線から何も反応がない。

嫌な予感が胸を過った。

刹那―――


凄まじい音と光が美術館から放たれる。

幸い少し距離があり、とっさにガードした為目はやられていない。

まさか――僕は美術館の中へ駆け込んだ。

階段を登りながら無線で応答を試みたが、やはり返事はない。

これもアイツの仕業なのか・・・?


北側展示スペースの扉は、開いていた。

部屋ごと覆いかぶさる程の鉄格子は、影も形もそこにはなかった。

そして部屋の奥に、誰かいる・・・

僕は胸ポケットの拳銃に手を置き、少しずつ部屋に入る。

人影あるところを見て、センサーはオフになっているか壊されているかの二択だ。

部屋に5歩進んだところで、大声を上げた。


「誰だっ!」


暗くて前がよく見えない。

相手は月明りの死角にいる上、ライトも持ち合わせていない。

すると、人影はこちらに足を進める。

コツ、コツ、靴の音が部屋に反響する。

無意識の内に拳銃のグリップを握る力が強くなった。

そして、月明りの陽だまりの中に、彼は現れた。


「やあ、刑事さん、こんばんは」


変声機によって低く響く声で問いかける。

その悍ましさたるや、まともに立っているのもやっとのくらいだ。

ふと目線を少し下げると、少し大きめのアタッシュケースらしきカバンを持っていた。

おそらく、絵を回収した直後だろう。

最中、僕の頭の中では拳銃を抜くか否かの脳内会議が凄い勢いで議論を行っていた。

過半数が現状維持で精神は安定しているものの、気は緩められない。

何より、プレッシャーが凄い。


「ひょっとして君は南側にいたのかな。東・西・北側では見なかった顔だしね」


やはり、こいつが犯人か。

よくも先輩方を――


「では、このシュヴァルツ、確かにお宝を頂きました」


彼は細いロープに掴まり、宙に浮いていく。

マズイ、逃げられる。

そして自制心が抑えられなくなった僕は、とうとう胸のポケットから拳銃を抜いた。

刹那、彼へめがけて発砲してしまった。

さっきまで脳内では『No!』と言い張っていた面々が『Yes!』と反旗を翻し、理性を一時的に封じて行動に取り掛かった。

だが案の定、彼には一発も当たらなかった。

当てなかったのではない、本気で当てようとしていた。

でも、当たらなかった。

彼が天井近くまで上がった後、窓を蹴破り、そして消えていった――


3秒くらい落ち着く時間を自らに与えた。

そうしないと僕が僕でなくなりそうだったからだ。

脳内をリセットしたのち、シュヴァルツを追いかけようと部屋を出た。


外に出たとき、美術館の東側がやけに騒がしかった。

空を見るとヘリコプターがサーチライトを撃っていた。

きっとあそこにいる、そう踏んで一目散に走っていく。


すると、建物の上を走る人影が見える。

シュヴァルツだ、間違いない。

遅れを取らないよう、彼を追いかけた。

どうやら車道の車もこのパニック様に引っかかり、渋滞騒ぎになっていた。

その隙を狙い、信号も点滅だろうが赤だろうが構わず走った。

200mくらい走ったころだろうか、突如シュヴァルツの姿が消えた。


「何っ!?」


思わず声を上げてしまった。

ちくしょう、逃げられたか――

刹那、空を割くハヤブサの如き轟音が鳴り響く。

形容しがたいその音は、紛れもない銃声であった。

僕はシュヴァルツが消えた建物の方向へ走った。


道中更に3発分の銃声が聞こえた。

何が起こってるんだ、何なんだ、誰か説明してくれ・・・!


シュヴァルツが消えた建物――ビルに到着した。

正面入口には異常がなかった為裏側に回ってみたところ――シュヴァルツを目撃した。

ただし、先程までのプレッシャーを放つ威厳ある姿ではなく、変わり果てた姿で。


「う・・・うぅ・・・」


声にならないような声で、何かを発している。

慌てて彼に駆け寄ったところ、足元から異音がした。

グチャ――

その気色悪い踏み心地と音と臭い・・・おそらくこれは血。

響いた銃声からすれば、何者かに狙撃されたのだろう。

しかし誰が――警察か、それとも・・・?


囃し立てる心臓をよそに、僕は携帯電話を取り出し救急車を呼んだ。

そこからの出来事は、正直あまり憶えていない。


気が付いたら、僕は自宅のベッドの上で朝を迎えていた。




To Be Continued...


※本作品はフィクションです。実際の個人・団体・地名・事件等とは一切関係ありません。

『探偵シリーズ ~ 大怪盗の夢 ~』プロローグ第三話、如何でしたでしょうか。


大怪盗との対決を描きました。

ガチな対決だと推理モノというよりアクション系といいますか、アドベンチャー系の全く違うテイストになってしまうので、ここでは少し薄味で終わらせました。

正直、この二人の対決は今後の展開にはさほど響きません(←キッパリ!)

あと、方角についても特に意味はありません、場所がわかりやすければと思って設定しただけです(←キッパリ!!)



さて次回は、シュヴァルツが何者かによって大怪我を!

入院の報告を受けた津田が病室に入ると、意外な事実が――!?

プロローグも折り返し、もうすぐ本編・・・ハヤクネタヲカンガエネバ。


それでは次回も、乞うご期待!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ