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探偵シリーズ ~ 大怪盗の夢 ~  作者: 土井淳
第二章 ~ 探偵の夜明け ~
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調査ファイル 010 [シンボルマーク]

2016年2月27日、13時59分。

本日も、拳銃の所持は認められていない。

胸ポケットには手帳しか入っていない、仮に撃たれた場合貫かれるだろう。

防弾ジャケットを用意しておけばよかったと後悔したのは、言うまでもない。


何時にも増してガチャ、と重い音を立ててカギが開く。

扉を開けた刹那、風が割り込んで部屋へと跋扈する。

舞い上がる書類、それはもう呪術師に従う御札の如し。

一しきり暴れまわったそれらは、疲れて落ち着きを取り戻した。

その奥に、人影はない。


「やはりな―――」


派手に散らかさられた部屋は、まさに空き巣の現場である。

椅子は脚が折れ、テーブルは真っ二つ、あろうことかクローゼットまで犯されていた。

玄関に佇み、レイは辺りを見回す。

しかし推理が当たった故の事だろうか、妙に冷静でいらっしゃる。


「まさか、本当に冬弥君のご両親が・・・?」


レイの推理を疑うわけではないが、未だに信じがたいのも事実。

そんな僕の不安をよそに、レイは部屋を隈なく調べ始める。

ふとしゃがんで手にしたファイルを見て、何か考え始めた。


「そういえば、ファイルを探しているんだっけ」


「春香ちゃんの書類がなければ、黒だな」


暫く僕らは書類を集め始めた。

先程鬼のように舞い散った様子からすれば、それはそれは骨の折れる作業だ事で。

ヒジョーに腰に来るんだわコレが。


「こっちにはなかったよ」


「そうか・・・」


その様子じゃ、なかったみたいだな。

ということは―――


「・・・ん、なんだこれ?」


A4サイズの書類に混じっていたのは、メモ用紙だ。

書類の隙間に挟まっていたのが、不意に落ちたのだろう。

えーっと、何々・・・?


「『Cerberus』・・・?」


英語・・・だろうか?

サーベルス、と読むのかどうかは知らないけど、何なんだ?

メモに夢中になっていると、肩越しにレイがメモを覗いてきた。

こんな状況でも少しドキッとしてしまうモンなんだな、良い香りが鼻をくすぐる。

慌てて煩悩を振り払ってメモについて考えていると―――


「っ!ちょっとまて、このメモ―――」


「ん、何かわかった?」


どうやら何かに気付いたらしい。

因みに書かれていたのは、この英単語だけだ。


「ここを見てみろ」


指を指したのは、メモに薄くプリントされてある柄だ。

たまにメモ帳を見ると、こういった柄付きのものも売ってあったりする。

てっきりお洒落か何かかと思っていたのだが。


「これがどうしたの?」


「この柄、建築会社のマークに似ている」


鳥が木材を担いでいるイラストがプリントされている。

そういえばこんなイラストをシンボルにしてる会社があったっけな。

しっかし、レイもこんなイラストを見て『可愛い』とか思ってるのかな?


「どうして建築会社だってわかるの?」


「あの病院に着ていた車にそんなマークがあったのでな」


・・・どうやら違うらしい。

ともあれ、犯人の目星はだいたい付きそうだ。


「恐らく冬弥君のご両親は、この会社の従業員を装って、ここに侵入した。

作業着を着てワゴンタイプの車を用意すれば、少なからず怪しまれることはないだろう」


一見すれば家の改築しに来た業者だよな。

となると、窓を割って部屋に侵入した後、春香ちゃんの書類を見つけてからあちこち荒らしたってことかな。

しょっぱなから暴れまわったら流石に周囲に気付かれるだろうし。


「そして彼らは、侵入する前にこのメモを書いて、ここに落としてしまった・・・」


そのメモが何を意味するのかはわからない。

でも次のヒントがわかった。

よし、このイラストがある建築会社に行こう。


僕は車を回す前に、前田さんへ電話した。

秘密事項が絡んでいるとはいえ、空き巣被害に遭ってしまった以上放置はできない。

数回のコールの後、前田さんは出た。


「前田さん、すみません。お願いしたいことが―――」


「た、大変だ津田!春香ちゃんが―――!」


その慌てっぷりに、僕も驚く。

まさか奴らが襲ってきたのか?


「ど、どうしたんですか!?」




「春香ちゃんが・・・いなくなっちまった」




To Be Continued...


※本作品はフィクションです。実際の個人・団体・地名・事件等とは一切関係ありません。

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