世界
取り敢えず、3話続けて夢の話です。ようやく少しだけ、物語がすすんだ…
決意を新たに、世界作りに取りかかろう。まずは確認だ。
今、この世界に生物はいない。いるのは自分とリータだけだ。まずは生態系を作るべきだろう。生き物を作っても、食物連鎖が成り立たなければ生きていけないはず。…なんとかなるかな。
強く思う。この世界に適合した、植物、昆虫、魚、鳥、獣…。
自分の今までに見たもの、触れたもの、得た知識や情報をそのまま使用するのではなく、この世界にあわせる。その結果、ベースになった現実のものと姿形が変わってしまっても構わない。
むしろ変わってほしい。自分は、現実の地球を作るつもりはない。この世界の、この場所だけの生態系を作るつもりだ。
集中する。頭の中の情報をベースに、この世界の為だけに、作り替える。現実ではこんなこと出来ないだろう。でも、ここなら、この世界なら可能なはずだ!
瞬間、頭が割れるのではないかと思う痛みが走る。情報量が流石に多すぎたか。意識が遠退く。ダメか、そう思ったとき、手を握られた。誰だ?それすら理解できない。この場所にはもう一人しかいないはずなのに。
「無茶しすぎです!私も手伝います!」
そんな声が聞こえた気がした。痛みが和らぐ。完全に消えたわけではないようだが、これならいける!
そう思って、強く望む。強く思う。
リータが寂しくない、リータが笑ってくれる世界を作る……!
どれくらい時間が経ったのだろう。気がつくと横になっていた。
地面に倒れているのだろうか?それにしては頭が痛くない。頭の下に何か柔らかい物が敷かれているみたいだ。寝返りをうつ。うん、柔らかい。
「くすぐったいですよ、・・・・さん」
声が聞こえる。目を開けて確認する。これは…誰かの足?
「気がついたみたいですね。もう、無茶しすぎです」
リータの声だ。上を見るとリータの顔が見えた。少し怒っているような、安心したような表情。…この状況はなんだ?えーと、リータに膝枕されている…?
急に意識がはっきりした。勢いよく上体を起こそうとするが力が入らない。
「まだ休んでいてください。頑張りすぎですよ」
リータが優しく声をかけてくれる。頭を撫でられる。何度も何度も、優しく、労るように。頭を撫でられるだなんていつ以来だろう。
「わかった。少し甘えさせてもらうよ。重くはない?」
声をかける。
「はい、大丈夫ですよ。」
微笑みながら答えてくれる。
少しの間、リータの膝枕で休む。頭を撫でられながら。
そうだ、結果はどうだったんだろう…?
「リータ、どうなった?」
「横を見れますか?」
リータに言われて顔を動かす。すぐ近くを、ウサギのような生き物が跳ねている。一匹だけじゃない。よく見ると周りに何匹かいるようだ。
ふと、鳥の声が聞こえた。小型の鳥だろうか。まるで雀のような鳴き声だ。
「そっか、上手くいったんだね」
「はい」
リータが微笑んでくれている。良かった。成功か。
「ありがとな、リータ。手伝ってくれたんだろ?」
ぼんやりだが、覚えている。多分、自分ひとりでは成功しなかっただろう。リータのフォローのお陰で、なんとかなったんだろう。
「ほとんど・・・・さんがしたようなものですよ。ほんの少しお手伝いをしただけです」
リータが答える。
だいぶ体調も良くなってきた。上体をゆっくり起こし、立ち上がる。ビックリしたのか、ウサギが逃げていく。
「おっと、驚かせちゃったかな」
ウサギは一度こちらを振り向いたが、そのまま跳ねていってしまった。さっきは気がつかなかったが、周りから生き物の気配がする。ウサギ以外にも生き物がいたようだ。安心した。本当に上手くいったようだ。
さて、もう一仕事。さっきは動植物、昆虫などの作成をした。その中で意図的に外したものがある。それは、[人間]だ。
動植物の作成が上手くいくかどうか不安だったので、それが成功してから人間を作る予定だった。それに、人間を作る、というのは、とても重要で、難しい事だと思っている。
この世界では、自分は思うだけでほとんど、どんなことでも叶えられるようだ。それはつまり、人間の[人格]すらも操ることが出来るのではないだろうか?
実験したいとは思わない。自我がない人間は、人間と呼べるのだろうか。それは、ただの精巧な人形なのではないだろうか…?
だから一手間掛けて人間を作る。自我を持ち、自分で考え行動できる本物の人間を、作る。
「リータ、今から[人間]を作ろうと思う」
リータに告げる。
「この場所には作らない。どこか遠くへ作るつもりだけどね。」
「わかりました。」
リータは短く答えてくれる。
集中する。そして強く思う。人間よ、生まれろ!
どこかで、人間が生まれた気配がした。赤ん坊からは作っていない。成人した大人を300人ほど、作った。
確認したい気持ちもあるが、今回はしない。そろそろ時間だと思うからだ。その前に、もうひとつ、することがある。
「今から、次に自分がここに来るまでに、1000年、時間が経過するようにしようと、思う 」
「なぜですか?」
リータが聞いてくる。
「動植物や人間が、ちゃんと命の循環に乗れたか、確認するためだよ」
おそらくすぐには答えは出ないだろう。だから、1000年、時間を置く。次にこの世界へこれたとき、何か不具合があればその都度修正をしよう。
ここまでして、考えて気がついた。
「はは、まるで、神様みたいだね」
苦笑しながらリータに話しかける。
「神様、ですよ。・・・・さんは、この世界の神様です」
リータに言われてしまった。何か、わからないけど、何かひっかかる。
深く考えないようにする。これは、今は考えちゃいけないことだ。
「じゃあリータは女神様だね」
ニッコリ笑って、リータに言う。
「からかわないでください」
少し顔を赤らめたリータが言う。
さて、そろそろ時間のようだ。その前に、時間をいじる。次に来るときは1000年後か。
「あ!リータは大丈夫だよね!?」
慌てて確認する。
「はい、私は大丈夫です。すぐ上に戻りますから。」
リータが答えてくれる。どうやら移動はひとりで出来たのね…教えてくれれば良かったのに…。でも安心した。あの場所なら、世界からの影響はないはずだ。なんとなくだけど、わかった。確実に大丈夫だ。
眠気が襲ってきた。フラフラしてるとリータが支えてくれた。
「お疲れ様でした。・・・・さん。ゆっくりお休みください」
「ありがとう、リータ。次に来るまで、世界を見守っていてね」
「わかりました。お待ちしています。」
そろそろ限界だ。最後に、リータにお願いをする。
「頑張ったから、おやすみのちゅーをお願いします」
リータは微笑みながら、まるで子供にするように、おでこにキスをしてくれた。
「おやすみなさい。・・・・さん」
その言葉を聞いたあと、眠りについた。
疲れすぎてハイテンションになっていたため、最後のお願いをしたようです。これ完璧浮気じゃね?さあ、どうなる主人公!
※作者もこの時間にようやく仕事が終わってテンションがおかしいです。最後らへンは、後日直すかもしれません。平日の17時間勤務はきついっすよ…。