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イメージ


※3月20日、一部表現を変えました

夢を、見ていた。

そこはもはや真っ白な場所ではなかった。青い空、白い雲、緑の草原、大きな海。


「これはいよいよ偶然じゃないな」


苦笑する。


「こんにちは、・・・・さん」


「こんにちは、リータ」


定番になった挨拶をする。ゆっくり振り向くと、リータが居た。

見ているこっちも嬉しくなってしまいそうな笑顔を、自分に向けてくれている。


ふと、思った。リータは自分が来るのをずっとひとりで待っていたのだろう。いくら真っ白な世界で無くなったとしても、ひとりは寂しかったろう。


気がついたら手を伸ばしていた。リータの頭を、さらさらとした艶やかな黒髪を、優しく撫でていた。


「寂しかったよね?待っていてくれて、ありがとう」


撫でて、声をかけて…


じぶんは しょうきに もどった !


うわ何やってんだ自分!?知り合って間もない女の子の頭を撫でるだなんてなんつーことを!?これ嫌われちゃう!少なくとも距離を置かれちゃう!?ヤバイどうしよう!?


恐る恐る、リータを見る。そしてリータは…


リータは、口許を抑えて、ポロポロと泣いていた。


あああああああ!!やっちまった!


「ごめん!本当にごめん!つい頭を撫でちゃった!泣くほど嫌だったんだよね!?本当にすみません!!」


慌ててリータに謝罪する。リータは下を向いたまま、涙を流しながらふるふると首を横に降った。


「違うんです…」


小さな声で、リータが言った。


「嬉しくて…」


「…はい?」


「・・・・さんが、頭を撫でてくれて、声をかけてくれて、心配してくれて…」


「ずっとひとりでした。それが当たり前でした。だから…」


震える声でそう告げるリータ。


「ありがとうございます。・・・・さん」


お礼を言われてしまった。ずっとひとり、それは、自分には想像もつかない苦しさだったろう。えーと、こんな時、どうすれぱ良いのだろう…。


選択肢そのいち 笑う


選択肢そのに 抱きしめる


選択肢そのさん 頭を撫でる


うん、そのいちは除外だな。それは違うと思う。そのには…ハードル高すぎかな…個人的にはしてあげたいけど。


頭をもう一度、優しく撫でてあげた。何か言おうと思うけど、言葉が出てこない。これだけでも通じるものがあると思いたい。


頭を撫でられたまま、リータがこちらを見上げる。そして、するりと動き、抱きついてきた。


「!?」


「すみません…少しだけ、このままでいさせてください…」


ビックリして万歳の姿勢になってしまった。えーと、どうしよう、優しく抱きしめてあげる方が良いのかな…?


さんざん悩んだ末、また頭を撫でることにした。へたれだな、自分…。


少しの間、そうやっているとリータが抱きついたまま、話しかけてきた。


「…すみません、落ち着きました。ありがとうございました。」


笑顔でそう言って、離れる。離れる間際、ぽつりと小さな声で


「こういう時は抱きしめてくれて良かったのに」


と、呟く。すみません、へたれなんです。


「ごめんね。次にこういう機会があったらそうするよ」


苦笑しながらリータに言った。


リータが離れたあと、少し、沈黙の時間があった。自分も少し気恥ずかしかった。何か、何か話題を出さなくては…!


あ、そうだ。


「リータ」


「はい」


「自分の容姿って、どうなってる?」


「?・・・・さんの容姿って事ですか?」


「そそ。」


今更ながら、夢の中での自分の容姿が気になった。鏡なんて無い場所だから確認ができていなかった。現実と同じなのか、それともマンガやラノベみたいなイケメンになっているのか、それとも…。


「えっと、黒髪の短髪で、少しクセっ毛です。黒いメガネを掛けていて、二重瞼です。まつげも長いんですね。体格は…身長は大きいですね。175センチくらいあるのではないでしょうか。すらっとしてます。それと…」


「オーケーおーけー、わかった。わかりました。ありがとう」


つまりは、現実と一緒ってことか…ちくしょう、イケメンになっていることを期待したのに…。服装はパジャマではない。休日に外出するときに着用する、普段着を何故か着ているようだ。


ちなみにリータは身長は160に届かないくらいじゃないかな?抱きつかれたとき、ちょうど頭ひとつ分は差があった。胸は…嫁さんよりはありそげふんげふん…。大きすぎず小さすぎず、とだけいっておこう。


格好は…何故かセーラー服だ。最初からこれだった。色々なことが起こりすぎて突っ込まずに放置していたが…なぜなんだろう?


「リータ、その服は?」


「この服装ですか?私にもわかりませんが…おそらく・・・・さんのイメージでこの格好になったんだと思います」


はい、戦犯は自分でした。まあ、確かにリータは、学生くらいの年にしか見えないし、似合っているんだけど…。


「どんなイメージ持ってたんだよ自分…」


若干落ち込む。言っておきますけどロリ○ンじゃありません!


「わ、私の服装、変なんですか?」


リータが慌てて自分の服装をチェックしている。あんまりスカートを持ち上げてはいけません!見えちゃうよ!


「あー、大丈夫だよ。可愛いし、似合ってる」


んー、しかしセーラー服はどうなんだろう…


「リータさ、服装は変えられない?」


「私ひとりではダメですけど…、・・・・さんが望めば変えられますよ?」


「え?本当?どうすんの?」


「・・・・さんが強く望めば、ここではなんでもできます。」


とんでもない爆弾発言が聞こえた。


「ただ…」


リータが何故か少し恥ずかしそうにしている。


「あまりきわどい服装は…ちょっと…恥ずかしいです」


そんなことを言ってきた。


「もちろん、そんなことしないよ」


内心、慌てながらそう答える。あ、そうだ。


「リータ、イメージの共有みたいな事って出来ない?」


「イメージの共有、ですか?」


「そそ。自分が色々な服装をイメージするから、その中からリータが着たい服装を選べないかな~って思った。」


夢の中だし、これくらい出来ないかな?


「可能だと思います。」


お、出来るみたい。


「では、その…おでこを、あわせても良いですか?」


え?そういう事が必要なんですか!?


「イメージの共有をするには直接触れあわないとダメみたいで…」


…それならしょうがないか。少し恥ずかしいけど、頑張ろう。


リータとおでこをあわせる。目の前にリータの顔がある。目をつぶって、リータも少し恥ずかしそうだ。自分も慌てて目を閉じてイメージする。色々な服装をイメージ、イメージ、イメージ…。


「・・・・さん、終わりましたよ」


リータが離れる。ゆっくりと目を開けるとそこには…


そこには、白いワンピースを着たリータがいた。

膝上まである裾にはさりげなくレースがあしらっている。部分部分にフリルもついているようだが、あまり目立ちすぎず、リータが着ることで、清楚な女の子、というイメージが出ている。良い。スゴく良い。


どうやらボケ~っと見つめていたようで、不安そうな、恥ずかしそうな顔でリータが聞いてくる。


「ど、どうでしょう?おかしくありませんか?」


「似合ってる。スゴく可愛いよ」


勿論即答です。


リータは、ぱっと、花が咲いたような笑顔になる。こっちまで嬉しくなってしまう。あれ?この間もあったな…。リータにつられてしまう。


気がつく。気がついてしまった。とても重要なことに!


念じる。強く思う。そうすると、手のひらに自分の欲しかったものが出現する。うわ!本当にできた!


軽く感動していると、リータが気がつく。


「・・・・さん、何ですかそれ?……メガネ?」


慌てて隠す。


「べ、べべべ別に何にもないよ?」


言えない…!リータにメガネを掛けてほしいだなんて絶対言えない…!自分の内なる属性を押し付けるだなんて出来ない…!


「?」


不思議そうな顔をするリータ。後ろ手に背中に隠したメガネは消えろと強く思うことで消した。図らずとも、世界を作るための力?の一端を知ることができた。


眠くなっていない!ということは…


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