表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/22

名付け

3話完成間近で操作ミスして全部消えました…orz

書き直しましたが、後日修正・加筆するかもしれません。




夢を、見ていた。

真っ白な場所だった。何もない、静寂の世界だった。


「ああ、またこれか」


ため息をついた。そして気がついた。夢の続きを、見ていることに。

今まで同じような夢を続けてみたことはなかった。そして、今回も夢という自覚がある。


「世界を、作って」


声が聞こえた。あのとき聞こえた女性(子供?)の声に間違いはない。平坦な、感情が読み取れない声。まるでタクシー無線の音声ガイダンスみたいだ。


「世界を作るってどういうこと?」


前回と同じような質問をした。


「ここは真っ白な世界。まだ何も始まっていない世界」


「世界には、色がある。それぞれの世界に様々な色が」


「ここは、きれい。でも、寂しい」


ん~、わかったようなわからないような…。つまり、世界を作ることで、この真っ白な場所に色を塗る?のが目的かな?


「ん?でも色々な世界が見たいなら、この降ってくる雪?みたいなのを見ればいいのでは?」


「ダメ。あなたの作る世界の色が見たい」


即答だった。


「ん、わかった。やってみるか」


少し悩んだ後、そう答えた。だってこれ夢だよね?だったら楽しいことしたいしね。それに、作ったものを見てくれる人がひとりは確定してるわけだし。


作品をつくるに辺り、人はそれぞれ達成感を感じられる場所が違うと自分は思っている。

さあ作ろう!と準備をするのが楽しい人。作品を作っている過程が好きな人。作品を完成させた瞬間に達成感を感じられる人。そして、完成した作品を自分以外の人に見て貰えることが嬉しい人。


そして自分は、どうやら他の人に作品を見てもらいたいようだ。自覚は一切なかったので、若干驚いている。

あれ?でもこれ夢だよね?つーことは、結局見るのは自分ってことか?あれ?じゃあダメじゃね?


…ああ、もういいや。深く考えるのはやめよう。とりあえずはご希望通りに世界を作ってみますか。


…ん?なんか忘れている気がする…



「そういや、君の名前は?」


すっかり聞くのを忘れてた。


「名前?ない。」


あら、ナナシさんでしたか。


「ん~、じゃあ自分がつけて良い?」


ナナシじゃ何かと不便だろうからね。


「つけてくれるの?」


若干嬉しそうだ。いや、声は平坦だが雰囲気が伝わってきた。


「ん~、世界…作品…見る人…あ、作品を読む人!readerだから…」


「リータ、っていうのはどう?」


瞬間、世界が変わった。


足元に、草原が広がっている。風になびいて動いているのがわかる。

空を見れば目が冴えるような青空と気持ち良さそうに浮かぶ白い雲。

遠く、前方には海のようなものも見える。


そして、自分は草原と空の間に居る。浮いている、という表現の方が正しいか。落ちないようだし、大丈夫だろう。


そして目の前には…


まだ幼さの残る顔つきながら、10人いれば10人は振り向くような美貌。腰にまで届くさらさらとした黒髪。触れば壊れるのではと思ってしまうような繊細さを醸し出している肢体。

15~18歳くらいだろうか、誰がどう見ても美少女が立っていた。眼鏡があれば完璧だった。


「これは…」


リータも混乱しているようだ。自分の身体を触りながら確認している。どうやら自分が名前をつけたことで現れた変化らしい。

一通り確認が終わったあと、不意にリータが近づいてきた。そしてあろうことか身体をペタペタ触りだした。


「あなたが・・・・さんですね?」


確認だったようだ。いや、それなら触らなくても良かったような気が…。

「失礼しました。五感というものは初めてだったので、色々試してみたくて」

若干、名付け前に比べて感情がこもった喋り方になってる。


「それで、名前の方は気に入った?」


まだ返事を聞いてなかった。


「はい!」


リータは溢れんばかりの笑顔で答えてくれた。良かった。よくよくセンスがないと言われていたけど大丈夫だったようだ。


「ありがとうございます!・・・・さん!」


よほど嬉しかったのか、抱きつかれてしまった。

それと同時に、急激な眠気が襲ってきた。


「あれ?」


意識を保とうとするが、むずかしい。


「ああ、時間のようですね。」


リータがなにかいっているが上手く聞き取れない。


「またお待ちしています。おやすみなさい、・・・・さん」


そしてまた、眠りに落ちた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ