彼女の日常
セカイとは、こんなに息苦しいものだったのかと今になって実感する。辛く、苦しく、時には、死んだほうが楽なのではないかと思うくらいだ…
でも、彼女のそんな思いもむなしく、また次の朝がやってくる。そして、冷たい牛乳と固いパンを食べ、行ってきますの一言もないまま、家を出る。学校に行くのは苦痛でたまらない。でも、家にいるのも苦痛なのだ。だったら、学校に行っている方がマシだ。
―あたしは、多分今、セカイで一番不幸な少女なんだろう―そんなことを思いながら、重い足取りで、学校に行く。
また、できもしないリンゴの浮遊やスプーン曲げを授業時間いっぱいさせられ、クラスメートに蔑まれるように見て笑われるのだろう…
大体、異能者出生率98%というのもホントかどうか怪しいものだ。
だとしたら、あたしは、残り2%の確率で生まれてきたことになるんだから!!!
ある意味、希少価値ありまくりな存在だ(笑)
そんなことを思いながら、学校まで着いた。深くため息をして、足を踏み入れた。いつもと違ったのは、その時だった。
頭の中を言葉が廻った。
―やっと、会えたね。待ちわびたよ。―――!!!―
その言葉に、後ろを振りむく。だが、誰もいない。今のは一体なんだ?
疑問を残しつつ、教室に入る。彼女が入ると、教室は、くすくすと笑い声が響く。そして机の上には、青い透明な花瓶が置いてあった。
彼女は、その花瓶を後ろの水槽の近くに置きに行く。それが、いつもの流れだ。
つまり、クラスの連中は、―彼女に死んでほしい―とそう思っているのだ。
こんなことが続いて、二週間が過ぎた。彼女もいつか終わると思って我慢していたが、終わらない、ずっと繰り返されている。
限界だった。拠り所のない彼女には、我慢の限界だった!!!そして、今日また同じ光景を目の当たりにし、頭の中の線がプツンと切れてしまった。
「誰がこんなことしたの?」低く、冷たい声で彼女は言った。その時、一人の男子が手を挙げた。クラスに笑いの渦が起きる。
一体、何が面白いのか?まったく理解できない。彼女の矛先は、その男子に向けられている!!!
彼女の目には、怒りしかなかった。周りからは、冗談じゃんとか、そんなことで怒る??とかバカでしょ?だから、無能力なんだってとか反省の色を微塵も感じさせない言葉が飛び交っている。
そんな中、彼女の頭の中に、一つの言葉が浮かぶ!!!
そして、彼女が元凶の男子と目が合ったとき、セカイは一変する!!!