たどり着いた場所
神崎 愛海(かんざき なるみ)…人形の金髪少女。
研究所を出て、愛実達と別れた。外は、日差しが強く照り付けていて、立っているだけで、汗が愛海の顔を伝っていくのが分かるほどだった。これからどうするか…考えた末、ある場所に向かうことにした。
立ち入り禁止のテープが所狭しと貼りめぐられていて、廃墟のような状態になっていた。正直、好きな場所とはいいがたい場所だったが、こんな無残な姿になっていると少し寂しい気持ちになる…
中は、まだ荒れていて、所々に血の跡が残っていて、教室の中の机や椅子が散らばっていた!!!窓ガラスは、ほとんどが粉々に割れていて、数日前までいた場所とはとても思えなかった…
―今回の出来事は、君が引き起こしたんだから― 情景と一緒にあの時の言葉が蘇った。
―本当にあたしが、あんなことをしてしまったのだろうか?実感はないし、分からないとしかいいようがなかった。あの時は、自分が異能者なんて知らなかったし、第一、学校をこんな状態にすることなんて、人為的にできるのか?―
考えても一向に答えは出てこなかった。その時――!!!
ガラスを踏む音が中から聞こえた。音は、次第に大きくなっていき、こちらに近づいているのが分かった。おそらく、複数いると思う。しかし、愛海の表情に恐れはなかった。むしろ落ち着いていた!!!
そして、近づいていた者が姿を見せた!!!
「あれー?なんでこんなとこに女の子がいるんだ?立ち入り禁止のテープがあったのになー」
「まあ、どうでもいいじゃん。それより好都合なんじゃね?一人みたいだしよ」
なにやら、ガラの悪そうな男達がやってきた。おそらく、ここを根城にでもしているのだろう…こんな状態じゃ人が寄り付くこともないだろうし…それにしても、ホント馬鹿そうな連中だな。
何気ない顔で教室を後にしようとしたが、腕をつかまれた。
「そんなすぐ出て行かなくたっていいじゃん!!!俺たちと遊ぼうよ」 「あたし、もう帰るところなんですけど、忘れ物取りに来ただけなんで」冷たい目線で男に伝えた。
「怖い顔しないでよ。美人なのにもったいないよ」
男は笑いながら、視線をあたしのある一点に向けながら言った。身体目当てだとまるわかりだった。
「それならさーボクと遊ばない?お兄さん達?」
声の方に視線を向けた。 柊 水蓮が教室にいることに気付いた!!!
「そんな牛女より、ボクだったら、喜ぶサービスしてあげるけどなー」そう言って、柊は、着ているセーラー服のスカーフを取って、胸元のボタンを一つ開けた。男たちは、自然と柊に釘付けだった!!! こんな連中にどう思われてもいいんだが、なんか柊に負けた気がするのが気に食わない!!!なにより、牛ってなんだ牛って!!!
そんなことを思いながら、柊と目が合った。鼻で笑われた…
愛海の中で、何かが切れる音がした!!!