再会
神崎 愛海(かんざき なるみ)…人形の金髪少女
ツグミ…海未に似ている謎の少女
目の前の光景に、愛海は、言葉を失って立ち尽くしていた。
―また、逢える―腕の中で、冷たくなっていく海未の身体を抱きしめていたあの時に、彼女が最後に発した言葉!!!
あの言葉がどういう意味なのか分からずにいたが、今、目の前の光景を見て一つの仮説が出来上がっていた。【再会】を意味していたのではないかという仮説!!!
「どうしたのかしら?私の顔に何かついてる??」彼女の問いかけに、愛海は、ハッと我に返った。
「い、いや、あなたが知り合いにそっくりで、驚いたの。もういないのに、こんな事で動揺するなんてあたしらしくないわね」
「そうかしら?私には、あなたは完璧を求めすぎているように見えるけどね。どんなことも自分一人でなんとかしようとそういう性格だから、他人に頼ることができない不器用な人って感じね」
そう言って、クスクスとツグミは笑った。
まるで、自分のことを見透かされているみたいで、自然と恥ずかしさが顔に現れているのが分かった。頬が熱い。確認はできていないが、自分の顔はゆでだこのように赤くなっているのだろう…
「一体、あなたは何者なのかしら?ブックにいるというのだから、政府の人間なのだろうけど」
「どこまで理解してもらえるかはわからないけど、私は、正確には【政府に作られた人間】なの。そういう意味では、あなたとも似た境遇なのかもしれないわね。そして、あなたの知り合いにそっくりなのもあなたの予想通りよ」
「じゃあ、あなたと海未がそっくりなのは―」
「私は、柏崎 海未の遺伝子を組み込まれて作られたいわば彼女のクローンなのよ。まあ、性格とかは別だろうけど、あなたが私を見て感じた懐かしさや嬉しさは本物よ。今は、安西 愛実って名乗っているんだけどね」
やはり、彼女に会って思った感情は間違っていなかった!!!
とはいえ、クローンだから別人とはいえ、海未とそっくりなので、近くにいるだけで、胸が躍るような感覚になっている。もう、会うことはないと思っていたからなおさらだ。
「なら、あなたにとって海未は本物ということよね?やっぱり、もう―」
「そうね。柏崎 海未はもういないわ。私が作られたのも、海未の遺伝子がとても【貴重】なものだったからよ。でも、作ったはいいものの一つの【誤算】が生じてしまったのよ」
そう言うと、愛実は視線を下に向け、話を続けた。
それは、彼女にとって苦しみの連鎖といえるような内容だった!!!