プロローグ
※はじめに
この作品は私が8年間妄想し続けたものを、とりあえず形にしようと書き始めたSF作品です。
設定の粗雑な部分、不明瞭な部分や私自身の知識不足により不愉快な思いをされる可能性もありますので、それらを重々ご承知いただいた上でお読みください。
また、内容や設定に一部改変や追記、削除などがされる場合もあります。
西暦、2056年。地球に宇宙より謎の物体が落着。隕石やデブリなどの類ではなく、それは有機物であった。まるで硬い甲殻のような、シェルターというべきもの。
内部からは生体反応が確認され、それは「遂に地球外生命体との邂逅か」と一時は世間を賑わせたものだった。
だが、そんな能天気な人間達の思惑は脆くも崩れ去ったのだった。
「ベイド」。初の人類との邂逅を果たした、そう呼称される彼ら地球外生命体は、宇宙より次々に飛来し地球に、我々の世界への無差別な侵略を開始した。人類は、地球外より現れた未知の脅威に対処することを強いられたのである。
西暦2077年。
ベイドによる侵略はいくらかの落ち着きを見せ小康状態に入りながらも、徐々に人類の劣勢に傾きつつあった。その最大の原因が、ベイドの高い環境適応能力にあった。陸、海、空。湿地、砂漠、凍土。地球の多種多様な環境に適応し独自の進化を続けていく彼ら侵略者の能力に、従来兵器では太刀打ちが難しくなっていた。
無論、人類もただ何の対策をしていなかったわけではない。
機動兵器、リジェクター。「排除する者」の名を冠されたこれら機動兵器は主に
:戦車などの戦闘車両以上の機動力
:戦闘機、ヘリなどの通常戦闘用の航空兵器以上の火力
:多種多様な環境に対応しうる汎用性
これらの要求性能を満たす兵器として各国家、各地域の環境や用途、戦術に合わせ様々な機体が開発され、ベイドへ対する決戦兵器として最前線に次々と投入されていった。
・・・・・が。
当初こそベイドに対して優位に戦闘を進めていたリジェクターであったが、戦いが激化していくにつれその殆どの機種において、ある共通の「弱点」が露呈し始めた。
ベイドに接近された際の近接戦闘能力や、ブースターなどの推進器に頼らない移動を司るもの、
すなわち「運動性」と「パワー」の圧倒的な不足である。当時、世界中の技術を結集して開発されたリジェクターであったが、その内部構造は技術の「寄せ集め」であり、決して洗練されたものとはいえなかった。現在においても、いくらかの技術進歩こそしたものの基本は当時の未成熟な設計を基準としてリジェクターは設計されていた。それゆえ巨大な生物であるベイドに力勝負では押し負け、攻撃の回避もままならず。さらに、全体的な挙動の遅さや駆動系のパワー不足はパイロットのとる行動の選択肢を極端に制限されることにも繋がった。
だが苦戦の原因はそれだけではなかった。ベイドの持つ特殊な能力「侵蝕」によりある一定のエネルギー(これには熱エネルギーや運動エネルギーなども含まれるが、その「一定のエネルギー」の質量などの基準については不明)を下回る、また相対速度のほぼ同等な物体に接触した場合にはそれを取り込み、自らの能力とされてしまうことであった。この能力によって取り込まれた兵器はそのまま敵の戦力となってしまい、人類に対し牙を剥くこととなる。
これらの様々な要因により、リジェクターはベイドに対する切り札といえる存在でありながら今だ絶対的な戦力となり得ずにいたのだった。
こうして、人類はベイドとの遭遇から20年が経過した今でも彼ら地球外生命体との戦争を続け、その脅威に押しつぶされそうになりながら、抗っていた。
日本、中部・東海地方。この地方は以前より自動車の生産業が盛んであり、また丁度日本の中心辺りに位置するという立地上各基地への製造したリジェクターの輸送もバランス良く行うことが可能と判断され、日本でのリジェクターの開発・製造も必然的にここに集中することとなった。
ここでは今、進化を続けるベイドへ対抗することの出来る最新型のリジェクター、通称「オーガシリーズ」の開発が進められていた。
物語は、ここから始まる。