初登校1
おにぃいちゃん、起きてる?ドア開けるよ。
パソコンデスクに座ったままうなだれている
私がいる。
うーむ、もう朝かぁー
お兄ちゃん、また寝落ち?
朝なんだからシャキッとしてよね。
一人じゃ何にもできないくせに、一人暮らししたいなんていうから。いろんなところに無理言ってようやく借りられた部屋なのに。叔父様も叔母様もいないんだから、あんまりルーズにしてるとすぐに追い出されるわよ。わかってるの?おにぃいちゃん。
望がついてこなくってもよかったのに。
お兄ちゃん、何いってんのよ。叔父様も叔母様も私が付いていきますって言ったからようやく承知してくれたのよ。二人にこれ以上心配かけるのやめてよね。食事できてるから、
早く顔洗って、それと今日大学へ行く日なんでしょ。
あっ 忘れてた。
第1総務局のおじさまにも相当期待かけられてるんでしょ。
みんなの期待しょってるのに、しっかりしてよね。
望には感謝してます。神様、仏様、望様。
これからどーなるのかな、望心配。5分でリビングへ集合。了解?
了解しました。
妹はリビングに引き上げた。私は眠い目をこすりながら着替えを始める。時に西暦2546年、
宇宙歴146年。6月
私は、未星一。府立総合大学の一回生だ。
大学では、近代史を専攻する。周囲は今日が記念すべき登校初日と思っている。
私は、さほど重要に思っていないのだが。
やっとのことでリビングに這い出した。
おにぃいちゃん、生川さんが来るなんて聞いてなかったわよ。しっかりしてよね。
今日も出ました望ちゃんの口癖「しっかりしてよね」。
しっかし、会うたんびに美人になっていきますねぇー。今度デートしてくんない。
生川さん!他の女の子に同じこと言ってること筒抜けなんですけど。
望様は、特別に御座いますぅ。他の女の子になんてほんの挨拶、挨拶!ホント、気にしないで!
お願いだから、嫌いにならないで下せぇまし。後生でございますぅお代官様。
プッー。
何時もながらのご弁解有難うございます。もうそのセリフ、新しいフレーズ変えたほうがよくない?
望様、何か新しいの考えますです。
生川さんひょっとしてなんだけど?朝ごはんは。
望様、なんと感激な!小生に望様の手料理をふるまっていただけるとは!
ちょっと聞いただけなんですけど。
望様の心遣い、小生身に染みてございます。
そう食べるのね。今用意するからそこへ座ってて。お兄ちゃんもさっさと済ませてね。
よっオハヨー、未星いやエリート。約束通り迎えに来てやったぞ。
朝から望ちゃんに会えて、チョーらっきーじゃん。おまけに手料理だぞ、これから毎日こようかなぁー。
おまえなぁー
エリートよ、せっかく来てやったのに「おまえぁー」はないだろ。
おまえ、妹にいつもあんなこと言ってるのか?
ピンポーン!
「・・・・・」、絶対あしらわれてるぞ!
わかってまぁーす。でもな、好きな女の子に何時も口聞いてもらえて、
おまけにいたぶってもらえる快感、やめられませーん!
お前が親友じゃなかったら、警備隊へ引き渡してる、絶対!
おあいにく様ぁー
リビングでは、朝食の真最中
エリートよ、これで何度目かな、望ちゃんの手料理。毎回、毎回期待を上回るテイスティー。
生川さん、朝の配車って結構大変なんでしょ 。
望ちゃん、一般への配車は、予約してても結構待たされるよね。
そこいくと俺のは「営業用」だから、好きに使えて何時でも呼んでって感じだね。
特に望ちゃんの依頼ならほかの予定キャンセルしてでもうけちゃいますよー
生川さんありがとぅ!個人で車持てればいいのにねぇー。
俺の私見だけど、みんなが持てないのは、「資源の制約」ってやつもあるだろうし、行政局と一般業務で決まった台数しか走ってないってことが重要で、「渋滞」ってやつを抑えているっていえると思うよ。そんなことより俺の特権はく奪しないでおくんなまし。
生川さん!特権って?
歓送迎でぇーす。
みなさーん!ここに公権乱用の不良公務員がいるんですけどぉー。
お許しくだせいぃー、望様、お代官様ぁー。
はいはい
あんまり忙しそうに見えない生川くんそろそろいいかな?
エリートよ、よろこんで!
望様、今晩呼ばれてもよろしいでしょうか?
考えておきますぅー。
望様、なにとぞよしなに。
大学への車中
エリートよ、今晩いけるかなぁー。
別に来てもいいけど。
本当か?
妹はいないぞ。
なぬ、絶対行かない。でもどうして、考えとくって言ってたぞ!
生川よ、またもてあそばれたな。
そうゆうことですか。
はい。
ここは、惑星型コロニーAJ1001。
円筒型コロニーから進化を遂げ、全方向防御態勢を整えた航行型最新鋭コロニーである。
防御の対象は、隕石、彗星、その他である。
コロニーの現在位置は、太陽系より1光年未満である。
コロニーは、第2の地球を探査すべく、外宇宇宙を進行中である。
私は、「漢字を用いた言語」を公用語とするコロニー郡の中で19歳の誕生日を迎えようとしていた。
人類は、もう少しで星間航行技術が飛躍的な進歩を遂げる直前、
銀河へ飛翔するための最終ハードルを越えにチャレンジしていた。