第6話 寝ぼけ注意報
翌朝、俺は扉をノックする音で目が覚めた。
「おはようございます。ルキ・アルデット。」
「おはようございます。ミシェル先生。」
扉をノックしてきたのは、俺のクラスの担任である、ミシェル・ノーマン先生だった。
「ミス・ミィに制服をお届けにきました。」
「あぁ、ありがとうございます。」
ミシェル先生からミィ用の制服を渡される。
ついでに朝食時の食堂の時間も教えてもらった。
「ほら、ミィ、起きろ。」
ミィが潜ってるであろう布団を揺すると中から腕が伸びてきて俺の頭を掴んで引き寄せた。
「お、おい、ミィ……起きろ……」
「えへへ〜」
こいつ……寝ぼけてやがる……よく見るとワイシャツのサイズがデカイのか肩がはだけて危うく見えそうになっている
「ルキー?起きてるー?朝食食べに行くよー?」
扉の前からロレッタの声が聞こえる。……マズイ、この状況はどう見てもマズイ……下手すればこの部屋丸焦げだ……
「ルキ?入るよー?ルキおはよ……う」
「お、おはよう。ロレッタ……とりあえず、その拳を下ろそうか…」
「ルキの……バカー!」
「バカってなんだバカって!不可抗力なの丸わかりだろうが!」
「どうせ起こそうとして寝ぼけたミィが抱きついたとかでしょ?」
「わかってるんじゃん……」
「……だってミィが羨ましいし…それ認めるみたいじゃん。」
?ロレッタがそっぽ向いて、 なにか言ってるんだが、声が小さくて何も聞こえない
「ロレッタ?なんか言ったか?」
「な、なんでもない!ほら、ミィ!起きなさい!」
ロレッタがミィの布団を少し強めに揺らす。
ミィも目が覚めたのか、腕の拘束が弱くなったから抜けようと思ったが、足の拘束が抜けずに四苦八苦してると、ミィと目があった……
「あ、ロレッタ、ルキ、おはよ〜」
「おはようミィ、朝ごはん食べに行こうか」
「ロレッタ、一応俺もミィも準備あるから少し外で待ってて貰えるか?」
そう言うとロレッタは退出してくれた。
「ルキ……」
ミィが寝ぼけてるのか、それとも、かなり空腹なのか、いきなり俺を押し倒してのしかかってきた。
血、吸われてるから捕食される餌の気分だ……一生経験したく無かったよ……
「ごちそうさま。」
「今回はだいぶ余裕あるな」
「朝は余りいらないの。」
「とりあえず着替えるぞ、髪も整えないといけないだろうし」
準備を終えて部屋を出ると、壁に寄りかかってロレッタが待っていた。
「お、来た来た。ほら行くよー。」
ロレッタに腕を引かれて食堂まで向かう。
この感じ、久しぶりだな……
ロレッタに引かれて歩いていると、シュウ君とリサさんと合流した。
「おはようございますルキさん」
「あ、おはようございます。」
「おはよう二人共。これからロレッタとミィと食堂行くんだ。一緒にどうだ?」
「あ、行きます。」
食堂に着くと、券売機の前にゲールが仁王立ちしていた。
「……食券とれないんだが?」
「平民……いや、シュウと呼ばせて貰おう。昨日の決闘でよくわかった……貴族を代表して謝罪する。済まなかった。そして、対等な立場で、共に切磋琢磨していこう!私の事はゲールとよんでくれ」
ゲール、実はいい奴だった?とりあえず昨日の決闘騒ぎで貴族は、平民を認めたって事でいいんだな?
まぁ、俺達も体を張った甲斐があったよ。
「わかったよゲール。それじゃ一緒にご飯食べようよ。」
「あぁ!そうだな!」
食堂内を見渡すと、貴族と平民が同じ席に付いているのがちらほらと見える。溝が埋まったようで、何よりだな。
「朝飯何にするかな……これでいいか……おばちゃん、日替わりパン1つね」
「日替わりパンって……日替わり定食なら聞いたことありますけど……」
「日替わりパンお待ち!」
おばちゃんから出されたのはサイズがそこそこあるクロワッサン3つだった。
これはうまそうだな
メニューはそれぞれ、ロレッタは目玉焼き定食。
シュウ君は牛丼。リサさんはサンドウィッチ。ゲールはカレーだった。
「ミィは食べないの?」
「朝は食べられなくて」
ミィの飯は血だからな……今度ごまかす為の方法考えないと
「ごちそうさまーっと……さて、教室行くか」
「そうね。」




