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戦場(いくさば)を去る

 時刻は午後四時十分過ぎ。大学の校門から出たところで立ち止まり、ふと空を見上げた。

 どんよりとした暗い空。星一つ見えないこの空に、白い息が火葬場の煙のように昇っていく。

 刺すような冷たさを纏った風がコートの裾に入り込み、体の表面を一気に駆け上る。冬がもたらした不意打ちに思わず身震いすると同時に、突如実感が湧いた。

 あぁ、やっと終わったのだ、と。

 叫びながら走り出したい衝動を抑えながら、二日間に渡って繰り広げられた激戦の地をあとにした。

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