屍に囲われた、一人の居場所に。
5月中に終わらせるとか言ったけど
無理でした!!
すいませんでした!!
お父さんが?
お母さんが?
死んでた…?
雨が…降ってきました…。
降っていて、気付きませんでした…。
頬に当たって弾ける度、涙を流しているような気はしました。
けれど、泣いて…いません。
泣いては、いけませんから。
「…犯人は、捕まっていない」
ぼんやりした頭の中でも
おばさんは
おばさんの声は、冷静でした。
「だって、あいつは…死んだから」
おばさんも涙は流していなかった。
ただ、その顔にあったモノは
怒りと、憎悪だけ…そんな顔…。
「あいつは藍鐘が好きだったらしいけど、藍鐘は私よりも先に結婚してたから」
「…結ばれぬ恋だって、言ってたけど…それはあいつの妄言で」
『本来は自分と結ばれるはずだった、ただ寄り道してるだけだって』
『いつか、愛想を尽かして戻ってくるから』
『だから…待ってる』
「あいつの遺したメモの寄せ集めにそんな事がびっしり書かれてて…ぞっとしたわ」
だから、あんな事を言ったの?
「……キミは、お母さんにそっくりで…とても可愛いよ」
「!!」
昔、遊びに来てた風由おじさんに言われたことがある。
「おかあさんにそっくり?ほんとう!?」
「あぁ、本当だよ。君もいつか…彼女にそっくりな綺麗な姿を見せてね?」
「うん!!」
彗翡は、お父さんとお母さんがいなくても
率先して煌生を見ていたから…寂しそうに見えなかったから
何でだろう、私だけが寂しがりやに見えちゃう。
それは、ダメな事だから
困らせないように、笑ってなきゃ
「だからでしょうか、一番一緒に居てくれた風由おじさんしか…」
依存するように
「もう居場所が無いように思えて」
だから
「あの日も」
あのヒ、あのバショ、あのジカン
「“私”が居なくなるまで、おじさんしか信じられなかった」
そうだ、そうだった…の…ですね。
「…思い出したのね?あの事件の、記憶を…」
「……はい」
おじさんが私を連れて行った記憶も
おじさんが目の前でお父さんを刺した事も
お母さんが、私を庇って…刺された記憶も。
全て全て、思い出しました…
「なんだか、一人ぼっちだったのに…更に一人ぼっちになった気がします…」
足元には死体の山が
「…ずっと、私が両親を殺したのだと…思っていました」
空にはおじさんの高らかな嘲笑が
「…一つ以外の全部は、違ったんですね」
目の前には、闇と悪臭が広がるだけ
「…ただ」
私の居場所はここだけ
「私が、あの時…着いていかなければ…両親は…死ななかった」
もう動けない。
「だから」
だから
「私は…やっぱり罪人だった」
「違うね」
「!?」
「だ、誰?」
冷たい雨の中
膝から崩れ落ち
雨に濡れて、罪を受け入れて…楽になろうとした
そんな私を
引き止める
聞き慣れてしまった声が
聴こえて…しまいました。
「代…羽……くん?」
ただ一つの、希望を持った
彼の、声を。




