見え始める、澱んだ思慕
今日は代羽くんに用事があり一人で帰ることになりました。
なんだか…一部の時間を除いて常に一緒にいるせいでしょうか
少し…落ち着かない心に自分で驚きました。
それほどまでに…代羽くんと居ると安心できて
嬉しくて…楽しくて、好きという気持ちが溢れてしょうがなくて。
彼を想うと自然に口元が笑みを作る程に、私は満たされていました。
もう、代羽くんのいない日々には…戻れないでしょうね…。
「…?なんでしょうか…」
カタンと音をたてて靴箱を開けると
靴の上に置かれた一通の手紙が。
…一瞬、思考が止まりました。
これは…よく読み物などに出てくる…恋文というモノでしょうか。
だけど何故私に?
そんな思いが浮かんで、消えて、しばらくして。
ふと気がつきました。
表に置かれている真っ白い封筒には何も書かれていなくて。
手紙は取りやすい様に斜めに置かれています。
そして…手に持つだろう部分に何か…
刃物が見えた…気がしました。
「…ッ!」
ゾッとしました…。
心臓が冷えるという感覚が身体を蝕んでいきます。
足元が震えて、少しでも気を抜くと座り込んでしまいそう…。
鳥肌が立ち、指先が震えます。
でも…、それよりも…!
「(これは…代羽くんには知られてはいけません…!)」
慌ててハンカチを取り出し、その手紙を包みました。
なぜか周囲を見回しながらハンカチに包んだ手紙を鞄の中にしまいます。
誰も私のそんな行動を一々見るはずなんてないのに…
見られてはいけないと思ってしまいました。
急いで靴を履き替えて、家まで震える足を必死に動かして帰りました…。
家に辿り着き、幸いにも姉弟帰ってきておらず
鍵を開けて扉を開き
家に入り扉を閉めると、何かが切れた様に膝をついてしまいました。
その瞬間、先の恐怖が再び身体を駆け抜け
それを抑えるように…自分の両腕で震える身体を抱きしめました。
こんな事が起こるなんて…
予想していなかった、と言ったら嘘になります。
私と代羽くんが付き合って好い感情を持ってない人がいる事も知ってます。
むしろ多いくらいだとも…。
でもまさか直接ではなく…
こういう手段でくるとは思いもしませんでした…。
………
「……でも」
そう…、でも 私は。
「代羽くんと……離れたくない…っ」
彼と一緒に居るうちにでしょうか…、それとも彼に赦されたからでしょうか。
欲が…出てきました。
まだ一緒にいたい、話したい、笑いたい、ずっと…ずっと…!
そうやって気持ちに名前をつける度に、涙が零れ落ちていく。
今を 過去を 笑顔を 未来を
心に描きながら…私は、決意します。
「隠そう……隠さなきゃ…」
私を救ってくれたあの人の涙を、私は見たくないから。
だから私は
全て抱え込んでしまいましょう。
次は二章全て書き終えてから更新します。
それまでは完結扱いにします。




