4 毛玉良好にて
「ここってこんなんだっけ」
「明らかに風景違うよな」
ラグジュアブールはあのあとどうなったのは知らないけど、あちらこちらに岩がある。しかも下から生えてる。
それに合わせて、あちこちの地面に穴があきまくってる。
「……あの穴の下ってどうなってんだろうねー」
「さあ、見てこいよ」
「嫌よ」
目の前に数百単位で穴開いてたら大体の想像は出来るでしょうが。
「で、ラピスってどこいんの」
「この先にある湖畔」
「……この先?」
目の前に数百の穴が開いてるこの先?
「それマジで言ってんの?」
「大マジ」
「「………」」
2人そろって目の前に広がる数百の穴を見る……うん。
「……ねえ、迂回とかしない?」
「賛成。もうあれに追いかけられるのヤダ」
一々殺していくのも面倒だし、殺した先から湧いてくるだろうし。
ということで、ワームがいるであろう数百の穴地帯を避けて迂回ルートを通ることに。
「でもさ、なんでこのラピスって子一人ぼっちなわけ?」
「さあ」
ラグジュアブール唯一の獣人……。
「そもそも、ラグジュアブールって人いんの? ワームしか見てないんだけど」
「無人惑星だよ。しかもラピスなんてのがいるなんて初耳だぜ?」
「でもこれ依頼でしょ? どっかの誰かがラピスって子の救出依頼を出したってことでしょ?」
「まあ、そうなるな」
んー……あれこれ考えるの面倒だし、本人に聞けばいいか。
迂回ルートはいいけど、ジャングルみたいに木々が覆い茂ってる……燃やしたい。
「燃やすなよ」
「燃やさないわよ……」
ちっ、燃やせば見晴しいいでしょうに。
「で、ラピスって子助けた後どうなるわけ?」
「さあな、依頼主が引き取るなりするんじゃねぇの? じゃなきゃ救出依頼なんてださねぇだろ」
「ふーん……」
獣人の扱いで一番多いのは――
「で、今目の前に飛び出てきたコレなに」
「あー……なんだろうな」
ジャングル地帯を歩き進んでいたら目の前に30センチくらいの毛玉が転がってきた。
「ケサランパサランとかか?」
「何それ」
「まあ、簡単に言うと願い事叶えてくれる毛玉」
地球ってそんな毛玉いるの? ティアには片手くらいの大きさの毛玉みたいなのならいるけど。
「で、そのケセなんとかってこんなサイズ?」
「ニワトリの卵くらい」
「じゃあコレ違うじゃないの」
「だな」
「「……」」
とりあえず消そうかなぁとか思ってたら、毛玉がこう……パカって開いた。うん、開いたというか丸まっていたのが開いた。
「……」
「……」
「みー」
いや、みーって……。
「なんか無害そうなのでてきたな」
「どうすんのコレ」
目の前には開いても毛玉みたいな体形の……ウサギみたいなのがいる。うん、けっこうかわいい。
「どうするって言われてもねぇ」
「みー」
「……連れてく?」
「邪魔じゃね?」
「クソムシ相手程度なら別にいいでしょ」
その場にしゃがむと毛玉はちょこちょこと寄ってきて、抱きかかえても特に抵抗はしなかった。うわー、抱き心地ちいいわー。
「それ連れてくにしてもどうすんだよ」
「どうするって連れて帰るにきまってるでしょ」
ふわっふわしてるから抱きあきないわ、コレ。
「で、ラピスって子のとこまであとどのくらい?」
「目の前」
「は?」
「いや、目の前」
朋弥が指差す方に目をやると雑木林の合間から湖畔が見えた。
「じゃ、さくっと終わらせますか」
はい、更新です。
今回はラピスの家の手間までですね、はい。そして、毛玉の登場です。この毛玉、毛玉のクセに後々の重要キャラという設定です、毛玉なのにね。
そろそろ戦闘描写入ってくる予定なんですが、うまくかけるかなぁ~ってとこです。でも頑張りますよ!